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自己紹介|原体験と未来「人を診る医療」-『テクノロジーで、医療をもっと人間らしく』

はじめに


みなさんこんにちは、インダストリアでCOOを務めております、高杉聡です。
私は、「人を診る医療」を実現するためにインダストリアに参画しました。この記事ではその経緯と私の理念をお話しします。


私が体験した理想の医療の形


私が医師を志したきっかけは、高校生の頃に遡ります。
親族ががんを患い、家族として患者側に立つ経験をしました。告知を受けたときのショック、検査結果に一喜一憂する日々、支え合うことで変化していく家族の関係性——語り尽くせないほどの出来事が、その病をきっかけに巻き起こりました。
意外なことに、その経験は波瀾万丈ながらも、最終的には家族みんなにとってポジティブなものでした。無事に手術とその後の治療を乗り越えることができ、そして、苦しい時も支え合うことで家族の絆が深まる経験となったのです。
その過程で、医療従事者の存在がどれほど大きいものかも実感しました。自信を持って手術に臨み安心させてくれる医師、患者と家族の話に耳を傾けてくれる看護師の方たち。彼らの関わりによって、闘病は単なる辛いだけの試練ではなく、「支えられながらみんなで乗り越えるもの」へと変わりました。
疾患が患者の人生にもたらす影響は、医療従事者の関わり方次第で大きく変わる。 それが私の胸に刻まれた医療の原体験でした。
このような経験を、自分も誰かに届けられる医師になりたい——そう思うようになり、次第に医学の道を志すようになりました。

医療の現実


その後、医学部に入り、医師になるための勉強を始めましたが、6年間で身につける知識の多くは、疾患の機序とその治療法です。もちろん、これは医師にとって不可欠な知識ですが、それだけではやはり十分ではないという違和感が残りました。
私が大切にしたいのは、「病がその人の人生に与える影響」や「闘病のあり方をいかに良いものにするか」 ということでした。「病を見る」だけではなく、「人を診る」——それを実現したかったのです。

しかし、実際に医師としての生活が始まると、その理想を語る余裕は次第に削られていきます。朝から晩まで続く業務、膨大な記録作業、診療の合間に追われる情報共有。患者さんとじっくり向き合おうとする医師ほど必然的に負荷が増していくようなそんな現場を目の当たりにしました。できるものならもっと患者さんと話をしたいのに、表面的に病を見て、記録を書き、共有し、それを繰り返す。その医療を続けるのはむしろ心をすり減らすような時間でもありました。

よい医療について改めて考える日々


医療従事者をしていると、誰しも患者さんの顔がすぐに浮かぶような印象的なケースというのがあると思います。
それは難渋したケースだったり、珍しいケースだったりということもあると思いますが、それだけでなく、たくさんお話をして、深く関わった患者さんというのもきっと強く記憶に残っていると思うのです。

忙しい日々の中でありながらも、患者さんが心を開いて個人的なお話をしてくれたり、家族の方とも関わったり、内面に抱えた強い気持ちを言葉にしてくれたり、その人の人生に触れさせてもらえるようなケースです。その時間が増していき、気づくとお互いに会えてよかったなと思えるような信頼感で繋がった診療になる。

患者さんも医療従事者も毎回そんな深い関わりを求めている人ばかりではないと思いますが、せめてそれを望んでいる人たちには時間や体力を犠牲にせずとも、信頼感で繋がれる医療をもっと増やすことはできないか——そんな医療の姿をずっと考えていました。

代表からの誘い


そうして考えている折、医学生時代に同じ実習班の同級生でずっと生活を共にしてきた代表から「医療で社会に役に立つことをしないか」という誘いをもらいました。同期の結婚式披露宴のテーブルで誘ってくれたことを鮮明に覚えています。願ってもいないお誘いに二つ返事で是非、と答え今に至っています。

2025年現在、世の中ではAIの技術が目覚ましく発展を遂げています。我々が何年も先に起こると想像していた未来が予想よりずっと早くやってきたような感覚です。
追いついて使いこなすのに苦労するほどのスピードですが、時代が追い風なのならやるしかない!この技術をうまく応用して医療従事者が事務的な業務から解放されて本当に向き合うべきことに集中できる環境をつくりたい。その思いで事業を進めている毎日です。

自分たちだからこそできること


テクノロジーというのはあくまで手段です。大切なのは、どんな人間が、それをどう使い、どのような世界を築いていくか。私たちは、無機質にすべてが自動化される医療ではなく、医療従事者が心や時間に余裕を持ちながら、人間らしさを最大限に活かして患者や家族の気持ちや人生に寄り添えるようにするための技術活用を目指していきたいと考えています。

『テクノロジーで、医療をもっと人間らしく』
それが、私たちの挑戦です。

医療従事者であり、現場の状況を詳しく知ることができる我々だからこそ、何度も現場に足を運び、課題を細かく見つけ出し、そこに関わる方たちの方たちの話をよく聞いて、本当に医療を良いものにできるサービスを作っていきたいと強く願っています。

この想いに共感してくださる方とともに、よりよい温かな医療をつくっていけることを心から楽しみにしています。
これからも、「人を診る医療」をともに考えていきましょう。私たちは、そのための一歩を、皆さまと共に歩んでいきます。


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