廃材で絵の具をつくる エコアーティストのあやみさん
どうもどうも、Art isの里見優衣です!
私はアートや芸術家さんとの出会いを求めて全国旅をしていますが、ある仲の良い友達から「是非インタビューして欲しい芸術家さんがいる」と言われました。
なかなか聞き慣れない言葉かもしれませんが、その人は"エコアートアーティスト"と呼ばれる方で、「地球環境に貢献できるアート活動ってなんだろう」と興味津々な気持ちで話を聞いていきたいと思います。
■ayami氏
グラフィックデザイナー、イラストレーターとして働きながら絵を描いています。
人のために作る「デザイン」と自己表現の「アート」を融合させ、視線の誘導や色使いなど、グラフィックデザイナーとしての経験を生かした絵を描いています。空気感を感じられる絵を目指しています。
私の絵を通して別の世界を観て、その世界を想像して、冒険してもらえると、とても嬉しいです。
HP:アトリエ綾海
Twitter:@ayami_ecoart
Instagram:@ayami_ecoart
ーアートに興味を持ったきっかけはなんですか?
幼稚園ぐらいの物心ついた時から絵を描いていて、その時はしまじろうとかアニメキャラクターがメインでしたね。
その後は周りの大人の人達から絵の業界は難しいと言われて、会社に就職して1年間はデザイナーとして働いていました。
でも、デザイナーをやっている間にこれが自分のやりたいことではないと感じ、デザインの仕事をやりながら時間がある時に絵も描き続けていました。
ー "エコアート"について教えてください!
本来は捨てられるはずの間伐材や害獣などの廃材を再利用して、作られたアート作品のことです。
エコアートを作るようになったきっかけは、沖縄石垣島で開催された環境問題のシンポジウムでした。
森の中に絵を描くという取り組みを提案され、その時に絵の具について成分を調べたところ石油などを使っていて、動物がなめたりしたら危ないと分かりました。また、貴重な有限の資源を使っていることも気になりました。
じゃあ、地球環境に優しいアートを作れないかと考えたのが始まりとして、今のエコアートに行き着きました。
(廃棄された牡蠣の殻を絵の具にし、海を描いた)
ー最近制作した作品について教えてください!
オーダーを受けて、描いた龍の絵があります。
注文をしてくれた相手の方から龍に対する思いやストーリーを聞き、それをコンセプトにエコアートという手段で表現したものです
(画材は、蚕のフン、火山灰、牡蠣の殻)
ー作品制作する上でインスピレーションをどこから得ていますか?
私の場合は、インスピレーションを受けて自己表現をするというよりは、課題解決のプロセスとして絵を描いているという意味で、デザイン的なのだと思います。
強いてインスピレーションというなら、オーダーしてくれた人のストーリーを深掘して聞き、どうしたら相手の悩みや実現したいことを満たせるかを考えることですね。
ー制作活動の目的は何でしょうか?
ストーリーを伝えることです。
例えば、農作物を荒らす害獣として処分される鹿がいるとします。
頭に1発だけ銃弾を放てば、体が無傷だから食肉としても食べれるし、皮を皮製品として売ることができます。
更には、通常は捨てるはずの鹿の角を絵の具として、鹿の絵を描くことだってできます。
その絵を見た人の「なんでここに鹿の絵があるの?」という問いに対して、「鹿が街に降りてきてしまってそれが害獣として駆除されてしまう。もともとは温暖化への影響もある」「害獣として処分された後はジビエとして楽しむことができる」など人が自然と何かを考えるきっかけとなります。
(鹿の角でつくった絵の具)
(鹿の角で描いた壁画_ジビエWorks〜三陸やま物語〜)
ー制作活動をする上でこだわっていることは?
他のアーティストさんは作風にこだわりがあり、自己表現を行なっていますが、私にはありません。
というのも絵をオーダーした人の想いが大切だからです。
ー制作活動をしていて嬉しいときは?
オーダーした方が喜んでくれる時です。
ー制作活動をしていて苦労するときは?
廃材を使って絵の具を作る事は誰もやったことがありません。なので参考にできるものがなく、自分が想像する色が出なかったり変わっちゃったりするのが苦労します。
もっとエコアートアーティストの仲間が増えて欲しいですね。
ー大事にしている価値観は?
見たままで物事を判断することはやめることです。
ー今後の野望は?
アートが身近にある社会を作りたいです。
そのためには社会が豊かにならないといけないし、循環していかなくてはいけません。
今はエコアートの協会を設立し、廃材が有効活用されるよう、廃材とそれを活用したい人をマッチングさせる取り組みをしていきます。
ーあなたにとってアートとは
私にとって、アートの見た目をしたデザインです。
自分は自分のことを正式なアーティストとは考えてもいないので。