[2022年、研究会開催の事後報告]
フェミニズム&アート研究プロジェクトでは、今春、研究会をふたつ共催しました。発表や議論の様子については、フェミニズム&アート研究プロジェクトのニュースレターで報告しますので、お楽しみに!
■2022年4月26日(火)15:00~17:00 穂積利明氏(インデペンデント・キュレーター、元北海道立近代美術館シニアキュレーター)「クィア?アート?:LGBT+アートのキュレーションとアートにおけるクィア・リーディング」
今回のレクチャーでは、LGBTアートの展覧会と作品を紹介し、クィア性がどのように顕在化してきたかをたどっていただきました。また、抽象表現主義から、ミニマルアート、ポップアートに至るとされてきた米国現代美術の歴史をクィアリーディングすることで、別のアートの本流も見えてきました。「クィア・アートは定義不可能なアートだ。定義した途端にそれはクィアではなくなる」(穂積)という視点の重要性が、タイトルにも込められた今回の企画――、続編も開催してほしいという声が多数寄せられています。
■ 2022年5月28日(土)10:00~13:00 金子牧氏(カンザス大学美術史学部准教授)「現代のご真影:天皇、美術、そしてお尻の穴」
今春、出版されたばかりの金子牧さんの論考をもとに、2021年の「天覧美術」展に出品された木村了子さんの作品を中心に、美術における天皇の視覚表象について、発表していただきました。男根(ファルス)中心主義的解釈が一般的になされる男性の表象について、「お尻」(アヌス)的な読みを行うという画期的な試みです。カンザスは夜、日本は朝からの開催でしたが、クローズドの少人数で行った研究会では、金子さんと聞き手との間でカジュアルで濃密な議論がなされました。
<参考>Maki Kaneko, ”Contemporary goshin’ei: The Emperor, art, and the anus, in eds. by Noriko Murai, Jeff Kingston, and Tina Burrett, Japan in the Heisei Era (1989-2019), Routlege, 2022.https://www.routledge.com/Japan-in-the-Heisei-Era-19892019-Multidisciplinary-Perspectives/Murai-Kingston-Burrett/p/book/9780367221676
(北原恵)