マネージャーへ 「良いことを言わないといけない鎧(よろい)を脱ごう」 〜部下と一緒に研修を楽しむ方法〜
新人研修など、一定のスキルセットを学ばせる研修は、確かに新人のみの参加でも良いのですが、対話型鑑賞研修においては、ぜひマネージャーも含めて参加いただけるととても良いし、そうしないとメンバー全員にとって、良くないことなのです。
1、マネージャーが “研修に参加しない” 理由
Googleが社内300チームのパフォーマンスを調査したところ、パフォーマンスの高いチームは、チームメンバー全員の発言量が同じくらいだという結果が出たそうです。
チームの発言が促されるためには、何をいっても受け入れられる関係性=心理的安全性が担保されていることが大切だといいます。
対話型鑑賞の研修を企業にご採用いただくことがあるのですが、マネージャーは見学者として観察されるケースがあるのですが、実はこれ、とてももったいないこと。
マネージャーは、いつも部下から正しい選択を求められ、的確にチームを導いていかないといけないというプレッシャーにさらされています。新人や部下が参加する研修に入ってしまい、そこでの発言に上長としての尊厳を脅かすような失言は避けたいところ。
結果、できれば、「よしよし、みんな頑張ってるね」と傍観する方が安全ではあるのです。
しかし、対話型鑑賞だからこそ、上下関係に関係なく、普段の業務では決して生まれないコミュニケーションが生まれます。あえて、上下関係のあるグループで体験いただくのが本当は良いのです。
2、部下の “強み” がわかる対話型鑑賞
上画像:チームビルディング向け対話型鑑賞の研修参加者にお渡しているバーチャル背景
チームビルディング向けの対話型鑑賞研修の一つとして、人の顔が多く描かれているアート(上画像)を使って自己・他己紹介をする場合があります。
それまでにしっかりとメンバー間同士で対話したのちに、互いのことを知り合い、その上で実施するのですが、とても面白い現象が起こります。
その人の特性やキャラクターを踏まえて、それにふさわしいと思える顔を選んでもらうのですが、ほぼ100%の方が、その人の良いところを踏まえて、キャラクターになぞらえるのです。
Aさんは、いつもみんなのことを見てくれているので、この凛とした雰囲気の顔だと思います。
Aさんからは、いつも冷静なコメントをもらうのですが、きっと常にみんなの状況を俯瞰しているからだと思うので、みんなをしっかり見ているこの顔だと思います。
Aさんは、いつも着実に仕事を進めてくれていて、一緒に仕事を進めていてとても安心感があるので、この顔だと思います。
冷静に、ロジカルに、着実にというAさんの強みを、チームメンバーはこのような表現で他己紹介をされます。
一方で、そう紹介されたAさんは・・・
私は、いつも控えめで、この隅っこにいる顔です。
私は、どちらかというと、みんなの前に出るのが苦手なので、この顔です。
など、真逆な捉え方をして、自己紹介をします。
ついつい自分自身については、ネガティブに捉えがちなのですが、これ、チームの中で、Aさんの強みが共有されることって、Aさんにとっても、チーム全体にとっても、ものすごく良いことだと思いませんか?
こうしたチームメンバーからの評価は、Aさんの自己肯定感につながりますし、チームにおいても、ますますAさんに頼るところが増えてくることで、その自己肯定感はどんどん高まっていくはずです。
こうしたチームビルディングにおける大切な瞬間を間近に感じるためには、やはりマネージャーは参加すべきなのではと思うのです。
3、“若手の頼もしさ” がわかる対話型鑑賞
弊社の対話型鑑賞は、とてもシンプルな問いですが、とても柔軟な発想力を求めるものです。
3分間、鑑賞して気づいたことを自由に発言してください。
このアートにタイトルをつけるとしたら?
このアートから、意外なストーリーを考え出してください。
これら、実はマネージャー層(特に50歳代の方々?!)にとって、とーーーっても苦手な問いなのです。
私自身も前職でマネージャー経験があるのですが、役職者は、常に会社の業績を知らされ、自分が担当するグループに課題を設定して、着実に成果を上げていかなければならない立場にあります。
結果、業績目標と具体的アクションをしっかりとロジックで紐付け、選択と集中を明確にして、管理をしていく思考になるがゆえ、何の根拠もなく、唐突に提示される上記のような問いには、自分の思考がなかなかついていけず、「そもそも、何のための質問ですか?」のように、質問に対して、質問を被せてしまうケースが良くあるのです。
その点、若いスタッフは、とても自由です。
背景の描き方と、手前の描き方が異なりますね。何か、二つの異質な世界をあえて共存させようとしているのかもしれません。
私は、このアートが、とても小さな小さな世界を描いているように感じました。描かれているものの縮尺がバラバラで、本来、大きく描くべきものが、小さく描かれていて、そして、そもそも屋外の景色なのに、空が描かれていません。きっと、小さな小人の世界を表現しているのではないでしょうか?
非言語情報であるアートから、豊かな言語表現を生み出し、スラスラと新しい視点が提示されるのです。
これには、マネージャーも「◯◯くん、すごいね〜、よく気づくね」と思わず舌を巻いてしまいます。
そして「なんで、いつもの会議でも、こんな風に発言してくれないのか・・・・」と、通常業務に思いを馳せてしまうのです。
4、部下同士の関係性がわかる。
部下の強みを共有でき、若手の発言力を再認識し、加えて、部下同士の関係性も対話型鑑賞で知ることができる。
上記、京王電鉄様のインタビューでもあるように、こうしたグループ内の関係性を知ることは、業務配分、業務担当、チーム組成にとって、とても大切な情報のはずです。
これらをしっかりと肌で感じられるのが、対話型鑑賞であり、マネージャーも必ず参加いただきたい理由なのです。
マネージャーの皆さん、ぜひ、多少の赤っ恥を覚悟で、部下と一緒に対話型鑑賞を楽しみましょう!
アートファシリテーター:磯村歩
対話型鑑賞を活用した企業研修
障がい者アートによるSDGsを兼ねた社会貢献型プログラム
一般公募の「アートでおしゃべり」、参加者募集中です! 下記イベント案内ページより、ご都合の良いプログラムをお選びください。