中学生
地元の中学校ではなく、
札幌の私立中学の 美術科に入学した。
中学受験をしたのだ。
通常の試験とは別に、
デッサンの試験を受けたわけだ。
見たものをそのまま描くというデッサンは
実は大の苦手である。
しかし、
なかなか入るのは難しい学校だったのに
わたしが入れたのは
もしかして、本当はわたし、
デッサンが上手いのか?!
すごいじゃん、わたし!!!!!
と、当時は思ったが
本当のところは まるで違った。
試験を受けるまでの間、
母はわたしを連れて
何度も 学校説明会に足を運んだ。
母は 毎回校長先生や教頭先生に 挨拶をした。
挨拶ができるまでは 絶対に帰らなかった。
つまり、
何度も学校説明会に足を運んだのは
説明を聞くためではなく
先生方に わたしのことを覚えてもらい、
"毎回説明会に来てくれる親子"
という印象をつけさせ、
最終的に 試験に落としにくくする という
母の戦略だった。
考えてみたら
わたしのデッサンは酷いものだったので、
あのレベルで受かるはずがない。
おそらく母は
わたしの実力では受からないことを悟り、
先生方の
情に訴えかける作戦に 行き着いたのだろう。
こええええ。(笑)
そんなこんなで
よかったのか悪かったのか、
美術科に合格したわたしは
本格的に 絵を学び始めたのだった。
有島展に出展した油絵
【花のワルツ】が入選した。
中学1年生で 初出展にして初入選。
新聞にも名前が載り、
親の期待は高まった。
教頭先生に 学校で呼び止められ、
「おめでとう!今後も期待してる」
と言われた。
しかし 嬉しかったのは最初だけ。
周りからの期待は
徐々に わたしの重荷となっていった。
それから1年後---- 中学2年生。
皆の期待を背負い、再び 有島展に出展した。
結果は 落選だった。
【高校生に続く】
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