短大生
将来の夢が無かった。
いや 正確には
高校生のときに 1つあった。
普通科に移ってからの高校生活の間で、
わたしはネイルにハマっていた。
高校を卒業したら、
ネイルの専門学校に行く。
将来は ネイリストになる!
と 決めていた。
しかし その夢は 呆気なく散る。
わたしが バセドウ病になったからだ。
バセドウ病とは 甲状腺の病気で
症状は色々あるが
わたしは手が震える症状が強かった。
それでも 諦めきれず
ネイルの専門学校の 個人面談を受けた。
「この手でも、ネイリストになれますか..?」
「大丈夫ですよ」と言われると思った。
なぜか根拠の無い自信があった。
しかし 現実はそう甘くない。
「あなたのその手では.. 無理ですよ」
「お母さん、わたし大学には行かない」
ネイリストの夢が断たれ、
進学する理由がなくなったのだ。
しかし
どこでもいいから進学してくれと言われ
親とも先生とも 話し合いを重ね、
結局 わたしの成績でも
学校からの推薦でいける短大に 入学した。
ちなみに 英文科に入った。
英語が得意なわけでも
好きなわけでもない。
ただ 経営学部か 英文科の 二択だったので
マシな方を選んだというわけだ。
そして 皮肉なことに
短大への進学が決まった途端
バセドウ病は治り、手の震えも無くなった。
絵から遠ざかり
ネイリストを諦め
ただただ 短大生である2年間を
無為に過ごした。
なにもしなかった。
勉強もしないし、部活やサークルにも入らない。特別交友関係を広げようともしなかった。
そんな 2年間は
あっという間に終わろうとしていた。
【卒業】へ続く
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