20代前半②
職場の人間関係が最悪だった。
理不尽に若い女の子をいじめることで有名な
おばちゃんがいて、
わたしと近しい年齢で
ほぼ同時期に働き始めた子たちが
次々と おばちゃんの餌食になり辞めていった。
わたしが最後の一人になった。
もちろん 徹底してやられた。
そりゃターゲットは
わたししか残っていないのだから、
当たり前だよね。
" 絶対に辞めない "
" お前なんかに負けないから "
そう決めていたが 正直なかなか辛かった。
そして同時に
調理の社員さんからしつこくされていた。
要は 職場の人間ではなく
女性として見られていた。
ダブルでストレスを感じ、ついに
また、
また駄目になってしまった。
「一体なにがあった?
数値があまりにも急に悪くなっているんだよ。
よっぽどなにかストレスを感じるようなことが
あったんじゃないか?」
と、深刻な顔をしている担当医。
「ちょっと.. 職場があまり合ってなくて.. 」
と答えると
「そっかぁ... 辞めるのは無理か?
このまま悪くなるようなら
また薬を飲まなきゃいけないよ」
悩んだ末に ホテルを辞めた。
副作用の強いあの薬をまた飲むことだけは
勘弁してくれと思ったのだ。
すべてが悔しかった。
しかも またニートに逆戻り。
そんなとき、
例の人見知りで無口な社員さんからLINEがきた。
「どうして辞めたの?」と。
それをきっかけに
彼と少しずつ仲良くなっていった。
わたしがホテルを去ったことで
同じ職場の先輩後輩という関係性が崩れ、
気を使わず話せるようになったからだ。
ある日彼と趣味の話になり、
絵を描いていることを伝えると
「どんな絵?」と聞かれたので
何枚か写メを見せた。
すると
「この向日葵の絵、売ってくれない?」
と言うのだ。
最初は冗談かと思ったし、
画家でもないのに絵を売るってちょっと...
と思ったが、結局彼に説得され、
向日葵の絵を売ることになった。
その後、
彼からホテル内にある雑貨屋さんのオーナーを
紹介された。
彼はオーナーと仲が良いらしく、
わたしの絵の写真を見せたところ
気に入ってくれたようで
「ここで販売してみないか」と
言ってくれたらしい。
こうして
わたしは働いていたホテル内の雑貨屋さんで
画家デビューすることとなった。
しかし 厳しい現実を突きつけられる。
結論から言うと、1年で1枚しか売れなかった。
雑貨屋さんは閉店した。
元々経営が厳しい状況だったらしいが、
わたしの絵がちゃんと売れていれば.. と
少なからず 責任を感じた。
画家デビューしたはずが、
1年で絵を売る場所を失ってしまったわけだ。
【20代後半①に続く】