大腸がん日記 1年29日目
お腹の調子は悪くなし。下ってないけど痛みもない。このままいい調子が続いてくれたらいいな。
足裏の赤味は昨夜から引いてきたけど痛みはまだあって、この日のお散歩はいつもより少なめにしておいた。
午前中は友人に手紙を書いた。
先週末、旅行に行った鹿児島の友人へはお世話になったお礼を。現地での案内はもちろん、帰ってから自宅に届いたブリのおいしかったこと。両親も喜んでいて、それがまたうれしさに拍車をかけたこと。などなど。
そして今、四国へ里帰りしている友人には、鹿児島で買った薩摩柘植の櫛を手紙と一緒に送った。喜んでくれたらうれしいな。
次は彼女と長島を訪れたい。いつか必ず。
あの旅行からもう1週間も経っていた。早い。まだまだ夢に浸っているのに。
そもそも、旅行のきっかけは福岡でのコンサートだ。
大好きなピアニスト藤川有樹さんと、彼が絶賛する九州交響楽団のヴァイオリニスト山下大樹さんのデュオ。福岡のみのプログラムだからこそ、飛行機遠征してまでもお伺いしなくては、と一大決心。
せっかく行くのなら、見どころの多い九州、あちこち観光して終点は友人の待つ鹿児島へ!と欲張ろうとしたけど、今回は博多と鹿児島のみとした。
ちょうど旅程を組もうとしていた頃、通院回数が予定より増えそうな気配があり、大事な有休をできるだけ残すよう方針転換したんだ。
結果、通院は予定どおり3か月毎となって、なんだ~休めたじゃ〜ん、ってなったんだけど。
初めて訪れる博多。直前まで迷っていたのがバッグ問題。
重たい荷物を持つと手のひらが真っ赤に痛くなるから、ボストンバッグはイヤだな。でも、キャリーバッグでもしもコインロッカーが空いていなかったら、コロコロの負荷でやっぱり手のひら痛くなっちゃうし。
どうしようかと迷っていたら、天の助けが!
地元のあるファンさんが遠征者のためにって、Xに博多駅の荷物預かり所の情報を上げてくれたの。確実に預けられるなら、コロコロ採用決定じゃん。
他にも博多駅から会場までの道順を教えてくださる方とか、とにかくあるおさんのファンの方は優しくて気が利く方のなんと多いことよ。
しかも当日、博多駅から数駅離れた会場の最寄駅でも「コンサート?ここを左ですね」ってあるファンさんが先導してくださり、無事迷わずにサロンへ到着。
会場で隣り合わせた方とも開演前、休憩中に楽しくおしゃべりできてうれしかった~。できたらSNS交換したかったけど、ちょうど他の方とお話ししているときにお帰りになられて、それだけが心残りだったな。
こんなに優しくて気さくな方が多いって、あるおさんのお人柄の賜物だと思うわ。
そして演奏会は、それはもう感動でございました。
初めて聴く山下さんのヴァイオリン。私はまったくの素人だけど、それでもとにかく激しく超絶技巧な曲だということはうっすらわかりました。
そんなフロロフの幻想曲、ラヴェルのソナタをとても楽しそうな表情で弾かれていて。
全身で音楽を表現されていて。
音と呼吸であるおさんと会話されていて。
山下さんのヴァイオリンを聴きながら、私もこんなふうに生きていけたらって思った。
音楽を奏でること、笑顔でいること、呼吸をすること、生きること。
全部違うけど、全部同じだな、とか、わけのわからないことを感じていた。
多分、10月のあるおさんのリサイタルでも同じようなことを感じたような気がする。
自然でいること、ただあることの美しさ、みたいな。
あるおさんが山下さんのヴァイオリンを絶賛されるのは、音楽よりもっとずっと手前のところに何か共通項があるからかもしれない、などとわかったようなことを思ったりもした。
そして、ズルい。(ほめてる)
フランクのヴァイオリンソナタからのアンコールにフォーレなんて、盛大に泣くに決まってるじゃないか!
アンコールは夢から現実への架け橋じゃないのか!
これではさらに夢の世界に入り込んで現実に帰って来れないじゃないか!
もう、本当にズルい。(本当にほめてる)
とにかく、初めての飛行機遠征は最高の一言に尽きた。
生きててよかったし、これからも生きてく。
だって、こんなに幸せな気持ちになれるんだから。