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大学入試での国語・数学の記述式延期は愚策以外の何者でもない
大学入試で、国語・数学の記述式が延期されるらしい。本当に呆れる。世論に負けたのだろうが、誰がそんな世論を作ってるんだ。
大学入試 国語・数学の記述式延期を発表 改革2本柱、英語に続き頓挫 - 毎日新聞
直近の受験生には同情を禁じ得ない
まず、直近で対象となる高2のみなさん、その保護者の方々には同情します。なにより不安定なこんな環境で試験を受けることに不安を抱いていることでしょう。
歓迎している保護者は冷静になってほしい
ただ、他の保護者の方はどうでしょう。受験対策がしやすい、あるいは、採点ミスがなくなるなど、安心している方は、改めて、なぜ教育が変わるのか、なぜ大学に行くのか、大学入学が目的でいいのか、真剣に考えてほしいです。
マークシートの対策に費やす思考方法、試験対策は、社会に出て全く役に立ちません。
高校の大切な時間を、将来役に立たない、ただ大学受験で点を取るための勉強に費やすことは、僕は親としてとても怖いです。
たとえ採点がアルバイトで、多少点数がブレようと、もっと本質的な学問に、社会に出て役に立つ真の学びに時間を費やしてほしいです。
僕も二児の父親です。息子たちが、たとえ採点ブレで偏差値が高いところを落ちて、違う大学になったとしても、そんなことより、大切な学びに時間を使えるかどうかの方が重要だと考えています。
上位校は元から記述式
もともと、東大、京大、一橋大、東工大などの国立や早慶などの私立は、二次試験など記述式の出題がされます。センター試験の比率も大して重要ではない。
そこを狙う人たちと、そうでない人たちで、学びに対するアプローチが、既に違ってるんです。それが後々まで大きな影響を与えているんです。
日本の教育はダメだという人もいますが、上位は極めてまっとうな学びをやっている。だからこそ、大学の偏差値以上に差がついて、結果として学歴社会になってしまっている面が大きいのです。
僕は中学、高校と武蔵高校でした。僕らの学年は40%くらい東大に進学している。そんな武蔵の特徴が表現されている記事がありました。
公立大学の准教授を務める40歳の卒業生は武蔵で教員から言われたことばをよく覚えている。
「ぼくは高2・高3のときに同級生集めてセンター試験の問題を解く勉強会を開こうと考えたのですが、『受験勉強なんか学校でやるもんじゃない。ここは学問をやる場所だ』と先生に却下されました(笑)。この学校は中学校に入った瞬間、『諸君、学校は学問をしにくるところです。勉強は各自勝手にしなさい』と叩き込まれるのです」
東大合格者数激減!? それでも、武蔵が「御三家」である理由 - 文春オンライン
いや、実際には、僕の周り、大して勉強せず、いかにサボるかばかり考えてましたよ。学校は部活をしにいったり、麻雀のメンツを探す場所だったり。
受験勉強ももちろんしました。主に浪人中だけど。駿台予備校に通いました。それがなければ東大には合格できなかった。でも、合格できたのは予備校のおかげではなくて、ベースを、学問との向き合い方を知らないうちに身につけさせてくれてた学校のおかげだと思うのです。
正しい学問と向き合い、正しい思考方法を身につければ、テストなんてなんとでもなるんです。進学率がそれを表している。
貧富の差は拡大しAIはそれを助長する
会社を経営して資本主義に浸かっていると、本当に、使う側と使われる側、持つものと持たざるもので、すごい差があることをひしひしと感じます。
それは、言われたことを忠実に行うことしかできないか、主体的に動いて問題解決できるかが大きな分かれ目です。
AI革命は、貧富の差をさらに助長します。なぜなら前者はAIに置き換わるから。労働の対価は著しく下がり、その結果得られる富は後者に分配されます。
いうまでもなく、マークシートで問題文を読み解くスキルは、AIに取って代わられます。前者のスキルを身につけることに時間を割くのでいいのでしょうか?
ちょっとした採点ブレのリスクや、大学受験対策のしやすさに目を奪われて、本質的な学びを歓迎しないことの方がよっぽど大問題です。
子どもを、AIに使われる側ではなく使う側・作る側に
たとえ記述式になったとしても、とても十分と言える内容ではないとは思います。でも大事な第一歩。踏み出せば何かが変わる。
僕は、今回の延期の決断は、日本の子どもたちの将来を損ね、更には国力を失う、愚策だと考えています。
みなさんは、子どもにどのような人生を歩んでほしいでしょうか。そのためにどのような学びをすればいいのでしょうか。