豆腐、花になる。
映画『白爪草』を見てきました。
主演に電脳少女シロちゃん、声の出演にアイドル部から5名、出演者全員VTuberという過去に例の無い映画。
映像作品でいえば過去に『バーチャルさんはみている』や『四月一日さん家』シリーズもメインキャストは全員VTuberでございましたね。
(実はどちらも実在する人物が出演してたりもするけど、ちゃんと専用の3Dモデルを使用して出演している。後は『レイドバッカーズ』というアニメ映画にYuNiちゃんが本人として少しだけ出演、挿入歌歌ったりもありましたね。更に主題歌はご存じ親分ことキズナアイちゃん。)
VTuber自体エンタメ要素が強いところはあるので、最初に挙げた2作品はどちらもコメディ寄りの作品である。
しかし『白爪草』はコメディのコの字も無いサスペンス映画。過去のVTuber映像作品には無いジャンルへの試みでもある。
まあ、気になるか気にならないかと言えば気にならない訳がない。私元々は豆腐だし。今でも、とは胸を張って言い切れないかもしれないけど。
そんなこんなで電車に揺られて池袋へ。HUMAXシネマズに到着しチケットを買う。平日だから空いてるだろうと思ったが予想よりも人は多かった。
売店にてコラボドリンクの「AO」を頼み、座席に座る。ドリンクを少し飲み、アイスが食べづらかったので溶けるのを待つ。
上映時間、映画館ならおなじみ上映予定作品の予告。そして池袋HUMAXの公認アンバサダーにしてバルス所属VTuber、夜子・バーバンクさんから
上映中のマナーのお話。それからまた予告だったり映画泥棒だったりで、いよいよ本編が始まる。
※ここから先『白爪草』本編のネタバレを含みます※
一応ネタバレを考慮して↑みたいな注意書きを書いたけど、深い考察とかは特に無いのであまり期待なさらず。
まず全体の感想としては、一つの作品としてしっかりまとまって完成されているな、と感じました。
双子の姉妹、花屋で働く妹の「蒼」、服役を終え妹に会いに来た姉の「紅」
再会を果たした二人の会話から断片的に、少しずつ明らかにされていく真実。6年前の記憶、二人の思惑、キーパーソンとなる人物…
二人の目的は果たされ、物語は穏やかな結末を迎えるかと思いきや最後に明かされるのは更なる真実。そして迎える結末…。
最初は物語の全貌が見えてこないのと、花屋の中のやり取りのみで場面転換が無いので少しモヤっとするんですね。霧がかかっているみたいに。
しかし二人のやり取りが進むにつれ段々と霧が晴れていく。noteに直接的表現書くのって良いのかどうか分からんので一応濁して書くんですけど。
誰が×した、誰を×した、〇を×して●が〇になる、どうやって×す、どうやって×した、〇の人生、●の人生…真実と嘘の糸が、絡んでは解けていく。
気が付けば霧は晴れ、視線はスクリーンに釘付けになっていた。…別に伏字にする必要も無いんだけどこういう風に書いちゃう。
主演が双子なので入れ替わり要素あるのかな?と見ながら考えてたら案の定でしたが、ラストの展開は想像以上でしたね。
その双子を演じたシロちゃんの演技。自分は今まで沢山の映像作品を見てきた訳でも、ましてや俳優や声優でもない一般人ですが
蒼と紅の二人を違和感なく演じ分け、物語に溶け込ませたのは流石シロちゃんと言ったところ。こいつぁすげぇや!
ちなみに蒼と紅、どっちが好きかと聞かれたら「入れ替わった後の蒼」って答えますね。かわいそうはかわいい。
映像に関しては、演出やカメラワークにはかなり力を入れてるように感じました。コバエ視点のカメラとかドローンカメラみたいで色々応用出来そう。
ただ、電撃オンラインでのインタビューでシロちゃんが答えてたように
VTuberという特性上表情による感情表現に限界があり、現状の技術力では仕方ないと思いつつも今後の課題になるのかな、と言ったところ。
ただ課題があるという事はこの先VTuber技術が更に発展すれば実写映画や3Dアニメに近い表現や、VTuberにしか出来ない表現も出来るようになる
…かもしれない。言うだけならタダ。でも私がVTuberに惹かれた理由ってそういう「技術の発展」を見てみたいって気持ちも大きいので
もっと面白い物を見せてくれる可能性がある限りはこのコンテンツのオタクでありたい。それとは別に、いつか来るであろう幕引きの時。
「彼女たち」の物語の結末を、観客として最後まで見届けたいという気持ちもある。待ってるのが、結局地獄であっても、ね。
感想から少し脱線したので本線に戻りましょう。最後に声の出演の5名について触れていこう。
最初に書いた通りこの5名は全員アイドル部メンバーである。もこ田めめめ、花京院ちえり、ヤマトイオリ、神楽すず、カルロ・ピノ。
声の出演というだけあってシロちゃんのように画面に姿が映る事は無い。セリフも主演のシロちゃんと比べたら全然少ないが、一通り紹介していこう。
・花屋の店長役:めめめ
最初聞いた時ボスか?と思ったけどエンドロール見て「めめめだったのか…!?」って一番驚いた。普段と全然違う印象の声。
・花屋の常連さん役:ちえりちゃん
聞いて一瞬分からなかったけど「ちえりちゃんっぽいかなー」とは思った。めめめと同じく普段とは違った印象を与えた。
・間違い電話の役:イオリン
…イオリンだこれ!でもイオリンなら間違い電話しそうだよね。タナベさん結局誰やねん。
・花屋のバイト役:ボス
エンドロール見て「あれ?バイトの子なんておったか?」ってなったけどエンドロール後の登場。答え合わせ後とはいえあれはボスでしたね。
・カウンセラー 桔梗先生役:ピノ様
役柄が役柄なこともあり大人びた印象を与えたが、聞いてすぐにピノ様だと判別出来た。というかそんなことよりもだな…
ピノ様!?!!??何その役!?!??めちゃくちゃ物語に関わってくるやんけ!!!!!しかも一人だけ立ち絵あるの??!????どういうこと!????
他4名と違ってセリフも多めだし、蒼と紅どちらにも関わってくる超重要ポジション。何ならこの物語の黒幕という解釈も出来なくはない。
カウンセラーの先生だし優しい人なんやろな~と思ったらとんでもねぇ役だったし、それを演じたピノ様もとんでもねぇな…。恐ろしい子…!
…そんな感じで、1回しか見てないので2回3回と見れば考察も捗りそうなものですが、流石に何度も池袋へ赴くのは手間なので
劇場へ足を運ぶのは今回限りになるかと。10/2で上映終了っぽいし。もし円盤発売だったり配信があるならもう一度見たいですね。
あとグッズが殆ど完売だったので出来たら通販とかやって欲しいけど難しいんかなー。せめてパンフだけでも。
絶賛放送中のガリベンガーVにサイキ道、配信でも他のVTuberとのコラボが以前より活発になっているシロちゃんとアイドル部。
彼女たちがこの先も美しく花開かせることを一人の観客として祈りながら、この駄文を締め括ろう。ここまで読んで頂きありがとうございました。
上映後、アイスが良い具合に溶けたドリンクを飲み干しながら映画館を後にする。貰ったポストカードの絵柄は「紅」
大事なことを一つ、書き忘れていました。
主題歌『狂い花』、私は見終わってから聞きました。まさしくこの作品を表す歌詞なので、個人的には見終わってから聞くのがおすすめかな?