【セルフインタビュー】謎解きゲーム「PARALLEL BOX」の箱に詰まった思いとは?(第1回)
2019年7月にスタートした箱なぞ型リアル謎解きゲーム「PARALLEL BOX」シリーズ。新作『TRAVELERS』が来月3月21日に福岡でスタートします。開催を記念し、過去4作の想いと新作について「インタビュー」形式でお伝えします。
【第1回】
シリーズ名「PARALLEL BOX」に隠された真実
PARALLEL BOX とは?
謎解き制作団体ARROWSが制作する「箱なぞ型」謎解きゲームのシリーズの総称。CDに例えるならば、「PARALLEL BOX」というアルバム名の中、「Cage」や「イーハトーブナイトメア」といった曲が収録されているものだと思うと分かりやすい。制限時間30-40分以内のものは全てこのシリーズとして取り扱っている。
――よろしくお願します。まずは、PARALLEL BOXというシリーズができた理由を教えてください。
ホリ:よろしくお願いいたします。本シリーズ全ての作品の制作・デザイン・装飾・運営などを担当していますARROWSのホリと申します。
さて、早速の質問PARALLEL BOXというシリーズができた理由ですが、実は「PARALLEL BOX」というシリーズ名自体にはその当時、深い意味はありませんでした。そもそもシリーズ化する予定もなかったので…。
まだ正式なタイトルが決まる前に、詳細などを提出するために「PARALLEL BOX(架空の箱)」という名前を付けて提出したのが始まりです。
――そうなんですか!しかし、(仮)みたいなのにしなかったのには何か理由があるのでしょうか?
ホリ:そもそも、箱謎を作るきっかけからお話ししないといけないですね。
――そうですね、お願いします。
ホリ:ARROWSで箱謎を作るきっかけとなったのは、2018年にナゾガク(※1)で出展した際にお部屋が同じだったかえりみち工房さんから「作って、箱なぞフェスタ3(※2)に出ないかい?(概略)」というお誘いを受け、出展するために制作を始めたのがきっかけです。
――なるほど。何もない状態からのスタートだったわけですね。
ホリ:そうなんです。『「箱なぞ」とはなんぞや。』と、いうスタートからの始まりだったのです。定義として、「入れ物に鍵がついたものであればOK」ということは聞いていたのですが、SCRAPの謎箱みたいなものだとインパクトは限りなく弱すぎる。
――インパクトが弱いとは?
ホリ:箱なぞフェスタ3にARROWSが呼ばれた理由として、自分なりに考えた結果「初出展」として、何かしらのインパクトを残してほしいということではないかと。あくまで持論ですが…その期待には応えないといけない!と思いました。
そこから、今できる箱なぞを遊んだり、研究が始まりました。その時は、AnotherVision NovaのPUZZLE RIDDLE TRIAL( #パズルルル )を遊んだり、ジェリーの謎解きルームさんで展開されるの箱なぞの写真を見たりしながら、自分なりにイメージを膨らましていきました。
ちなみに #パズルルル は 東京だと「謎が解けるCafe&Bar Switch」さんで、カフェ営業の時に遊べます。ジェリーの謎解きルームさん(運営:たぬき探偵ジェリー)は静岡にあるお店ですので、ぜひ遊びに行ってみてください!
――唐突な宣伝ですね(笑)
ホリ:すいません(笑)感謝の気持ちを込めて紹介させていただければと思いまして...
――ぜひ、タイミングが合えば行って遊んでいただきたいですね。
さて、話を戻しましょう。何かインパクトを残さないといけない義務感と焦燥感でその当時は焦っていたと。
ホリ:はい。完全に焦っていました。そもそもルーム型しか作ったことのないのに、どうすればいいのか。ひらめかないまま時間が過ぎ、箱とにらめっこする日々。
いつの間にか、詳細提出日となった時に、とりあえず仮タイトルだけでも出そう!と思った結果、「PARALLEL BOX」というタイトルが思い浮かびましてそのまま提出となったわけです。(仮)はかっこ悪いという身勝手な美学のもと予約スタートとなったわけです。
――美学ですか。
ホリ:はい。(仮)だと直す手間ができてしまうので…。最悪、そのタイトルで1作品作れればいいやと。今考えれば相当ひどい考えですね(笑)
――まぁ、考え方自体には色々とありますからね。
ホリ:そう言っていただけると助かります。
しかしながら、既に、提出する段階で箱なぞフェスタ3には複数個の箱を持っていく予定がありました。当日、1種類かと思ったら実はX種類ありました!というインパクトは、なかなかにパンチがあるぞと。参加するお客様には多少なりともご迷惑をおかけするにしろ、そういった情報を当日知ることは、ある種のエンタメにもなりうるぞと。
――「あえて情報を出さない」というスタイルですね。
ホリ:そうですね。そこで、何か包括するいいタイトルを…と思ったときに「PARALLEL BOX」でいいんじゃないかと。
――そこで、仮でつけていたタイトルが、まさかのシリーズ名へ昇格したわけですね。
ホリ:この時につけた自分をほめてあげたいなと(笑)
PARALLEL = 平行な という意味がある所から、それぞれの物語を平行な世界線で描いてみようと。よく「平行世界」なんて言葉を聞いたことがあるかと思うのですが、異なる世界を同じ時間軸に置いたときにどんな反応を魅せるのか。どんな奇跡が起こるかといった願いを込めたシリーズ名へと昇華しました。
――なかなか難しい話になってきましたね。「物語を平行な世界線で」という発言がありましたが、どんな感じなのでしょうか。
ホリ:うーん。これはネタバレになってしまうのでぜひ遊びに来ていただきたいのですが…既に3作品参加している方は分かるかと思うのですが、とあるアイテムが同じ形でずっと出てきています。
それは、「今の地球の歴史のような時間軸によって地形が変わったとも解釈ができる」し、「同じ地形の惑星がいくつも存在し、同じ時の中、別の歴史がその惑星の中で動いている」とも解釈が取れるようにしています。
――歴史ですか…スケールがでかくなってきましたね…。
ホリ:実際に、歴史を感じることはほぼないと思います。僕も「あっ、これは5秒前の記憶!」って感じることなんてないですし。でも、実際にゲームを遊んだ結果、その人の解釈によって考え方やとらえ方は様々だと思います。ハッピーエンドと思う人もいれば、バッドエンドと思う人もいると思います。その思ったこと・感じたことを大事にしてほしい。少なからずとも、僕はあなたの考えた世界を否定しません。
――各々で感じたものを大切にしてほしいということですね。
ホリ:はい。この辺の話は追々またさせていただければと思います。
大分、話がそれてしまいましたが、「PARALLEL BOX」というシリーズ名に込めた想いの大筋はこんな感じです。今となっては外せないシリーズ名として、いろんなところで活躍している次第です。
【第2回】
亜労豆探偵事務所の憂鬱な事件簿について
に続く…
(※1)ナゾガク・・・日本最大級の謎解きフェスティバル。関東問わず全国から謎解き団体が集まり、公演を行う。
(※2)箱なぞフェスタ・・・名古屋で開催される、箱なぞが集まるフェスティバル。毎回全国から7-8団体が集まり公演を行う。
お知らせ
<PARALLEL BOX Series 全国ツアー2020>
2月11日(火・祝) 東京渋谷公演(Cage)
2月15日(土) 仙台公演(BOOM! in the BOX)
2月22日(土) 横浜公演(イーハトーブナイトメア・Cage)
3月 1日(日) 札幌公演(イーハトーブナイトメア・Cage)
3月21日(土) 福岡公演(Cage・TRAVELERS)
※各公演の詳細については各ページのリンクをご覧ください。