会えなくなった父方の祖母
父と会わなくなって何年経っただろうか。
しかし父方の祖母とは高校生の頃に一度会った。
母「おばあちゃんが、あんたに会いたいって言ってる。行ってあげたら?」
父と会わなくなったことで自然に父方の祖母とも会わなくなっていたが、元々私はこの祖母が大好きだった。
母方の祖母は真面目を絵に描いたような堅い人だったが、父方の祖母は明るく楽しい人だった。
スナックをやっていて、おしゃべり上手。マニュアル車を運転するし、散歩に行くとただの信号待ちの間にも踊りを教えてくれたりして私や妹を楽しませてくれた。
踊る大捜査線(ドラマ)が大好きで、祖母が録画しておいてくれたものをよく一緒に見た。
身内で唯一無償の愛を注いでくれた人、それが祖母だった。
また私も、一番大好きな身内だった。
私は祖母に会いに行った。
祖母は「本当に来た…」と驚いていた。
家に上げてもらい、話をした。
私「本当にきたって、どういうこと?」
祖母「あなたのお母さんが、私が会いたがってることをあなたに伝えてくれないんじゃないかとおもってたの」
ん?そんなことある?いくらあの母でもそういうことはしないと思うけど…?
少し雑談をして、帰宅した。違和感を抱えて。
帰宅早々、母に言った。
私「ほんとに来たとか色々言われたんだけど、どういう意味?」
母は話し始めた。
私を産んだ時祖母が「女の子か」「男の子じゃないとねぇ…」と、言ったことで母は祖母を嫌うようになった。
いわゆる「嫁いびり」は日常茶飯事。
2人の仲は最悪。
母は母乳が出なくなったりして散々だったらしい。
とても驚いた。あのおばあちゃんがお母さんをいじめていた?信じられない…。
母「おばぁちゃんはああ言ったけど、実際男3人も産んだくせに、誰一人役に立たないじゃん。やっぱり女の子がいい。あんたが「娘」でよかった」
母は誇らしげに(勝ち誇ったように)そう言ったが、私は嬉しくなかった。いや、まだ高校生の時分、ピュアな部分が残っていたので、一瞬くらいは嬉しかったかもしれない。
だが、高校生は子供といいつつ子供ではない。母が祖母への当てつけ混じりに「娘」でよかったと言ったことはすぐに理解してしまった。
母が実際に言ったわけでもないのに、勝手に脳内変換して、勝手に冷めた。
まぁ、当たらずも遠からずだろう。
しかし母はこうも言った。
「信じられないでしょ。男の子じゃないと…とは言ったけど、あんたたちに対する愛情は本物だったと思う。すごく可愛がってくれてた。それはわかってるでしょ?」
実の親よりもたくさんの愛情を注いでくれた祖母。かっこよくてかわいくて料理上手でイケメンが好きで…
なにより、子供らしい子供だった妹と、子供らしくない子供だった私を、分け隔てなく可愛がってくれた唯一の人物(だと思う)。
でも結局、元気だった祖母に会うのはこの日が最後になってしまった。
なぜ急に祖母の話をしたかというと…それは次回。