銀行融資の実行前には、社会保険料の未納がないかの確認があります。
こんにちは。元銀行員 勤続10年、法人融資営業をしていた谷本と申します。
現在は独立して、主に中小企業の財務担当者のアウトソーシング事業を行っています。
今回はタイトルの通りです。
業績の芳しくない企業において、社会保険料の納付が遅れたり、支払いの猶予を受けている企業があります。
銀行の実務的な動きとして、融資取り上げ時に法人税(場合によっては消費税)の未納がないことの確認を行なってきました。
なぜ、税金の納付状況を確認するかというと、税金滞納により差し押さえが入った場合、融資の返済よりも納税が優先されてしまうからです。
これは社会保険料についても同様です。
社会保険料の延滞・未納を理由に、差し押さえ事由が銀行内で発生しているものと思われます。
私の経験の中では、納付確認は税金が主であったものの、社会保険料についてもチェック対象となっているので、安易な社会保険料の未納にはご注意下さい。
もし万が一、社会保険料の納付が難しい場合は、社会保険事務所とコミュニケーションを取りましょう。
社会保険事務所と分納などの取り決めをしっかり行なえば、銀行も柔軟な対応をとってくれることがあります。
これはケースバイケースなので、先んじてご相談をして欲しいです。
何の対応もせず、未納を続けることはやめましょう。
なぜ分納をすることで銀行対応が変わるのかというと、銀行が一番恐れているのは差押え(仮差押え)だからです。
皆さんが銀行と融資取引を行なう際に、銀行取引約定書(取引約定書や信用金庫取引約定書など)という取り決めを結んでいます。
この取り決めの中に、差押えが入った場合には直ちに期限の利益を喪失すると記載があります。
これは簡単にいうと、一括返済を求めますということです。
これは両者にとって良いことではないのは言うまでもなく、そのような懸念のある企業には融資はしてくれません。
税金や社会保険料を中心とした差押えの話をしましたが、取引先からの差押えでも同様です。
「取引先から差し押さえが入る」という考えのない方もいるかと思います。
しかしながら、売掛代金を支払わないなどの理由から差押え手続きを行う企業はもちろんあります。
「口座にはお金が入っていないから、差押えなんて何ともない!」というわけにはいかないのです。
差押えの入った金融機関で保証協会付きの融資を利用している場合には、銀行は直ちに保証協会へ報告を行ないます。
そうなると、当然他行にも知れ渡ることになります。
差押えは事業を行なう上で非常に重たいことに繋がるのでご注意下さい。