次の決算に向けて打ち合わせ。必ず死守しなければならないすり合わせポイントは5つある!
こんにちは。元銀行員 勤続10年、法人融資営業をしていた谷本と申します。
現在は独立して、主に中小企業の財務担当者のアウトソーシング事業を行っています。
私たちが普段、お客様とどんな仕事をしているか、まずはおさらいです。
・前期決算から次の決算後に調達をしたい融資額を見据えてどんな決算書にしたら良いかの目標設定
・毎月の訪問(場合によってはオンライン)にて月次の試算表なども確認しつつ、決算に向けての進捗確認
・この間に顧問税理士さんと決算着地についてすり合わせ(一緒にミーティングに加わって頂く場合もあります)
・メインである財務担当者として銀行担当者との普段のやり取り
(場合によっては新規開拓)
上記のような内容がメインになります。
そういった中で、今回は次回以降の必要な融資を受けるために外せない決算対策のポイントを5つあげさせていただきます。
融資に関する相談は、問い合わせフォームやFacebookのDMなどから受け付けています。
①現預金残高
銀行はお金のない企業にはお金を貸したくありません。
皆さんも、もし誰かにお金を貸してと言われたとき、その人のお財布に100円しか入っていなかったら100万円なんて貸せないですよね。
決算時点だけは、銀行が貸しやすい水準の預金残高を確保しておくことが大事です。具体的にはこの決算を見据え、売掛金の早期回収、在庫削減により手元資金確保、買掛金の支払調整といったように、この決算のタイミングだけは普段と違う動きをしてでも手元現金を増加させることが望ましいです。
例えばですが、家電量販店は決算前になるとセールをします。
これも在庫を圧縮し、現預金残高を高めるための施策の1つです。
②在庫高
決算時点の在庫金額は、銀行が決算書を見る上で大事な指標です。
なぜ、在庫が大事なのかは下記の通りです。
粗利率に直結する
在庫が増加すれば預金残高が減少する
粉飾の温床となっている
(在庫調整により利益が増減する)
これらのことから年商推移や前期決算時点の在庫高などを鑑みて、銀行から見て妥当だと思ってもらえる在庫高で着地させることが肝要です。
これは、売掛金にも同様のことがいえます。
③粗利率
「御社の利益率はだいたいどのくらいですか?」
と聞かれたことはないでしょうか?
さて、決算時点で試算表を見た際、思ったより利益が出ていないとします。
「少し在庫を増やして粗利を調整しますか?」と税理士とすり合わせ。
例えば、減収によって販売費及び一般管理費を賄いきれなかったとします。
そこで在庫を積み増し、粗利率を改善して営業利益が出たように見せれば利益はでますが、当初社長が銀行担当者からヒアリングを受けた際に伝えた当社の利益率とは乖離することになります。
そういう普段の細かい積み重ねとコミュニケーションにも、融資審査の裏付けが含まれているのです。
④営業利益
これは言わずもがなですが、会社としての本業の儲けを示します。
例えばですが補助金などが今期1,000万円あったとします。
補助金は基本雑収入なので営業外収益です。
しかし、社長は普段納税の観点から500万円の税引前利益しか許容していなかったとします。
すると、今までは営業利益600万円、経常利益(税引前当期純利益)500万円だったものが、販売費及び一般管理費などを調整し営業利益△500万円、経常利益(税引前当期純利益)500万円の損益計算書になります。
本質的には銀行員も理解していますが、本業が儲かっていない営業赤字の会社が出来上がります。これはダメな例です。
この際、補助金収入を売上に組み込む提案をされる方もいらっしゃいます。
これは本質ではないこと、粗利率などの変動の観点から注意をして対応を検討されることを勧めます。
1つ言えることは、補助金は利益であり納税に寄与するということです。
無税で美味しくいただけるものでは、そもそもないということだけ忘れないでください。
⑤税引後利益
良く経常利益や税引前利益を自社のハイライトとして記載される方がいらっしゃいますが、銀行としては営業利益およびこの税引後利益です。
銀行融資は、キャッシュフローを見ているので、会社として実際に納税後いくら残ったのかが大事なのです。
「税引後利益+減価償却費」が簡易キャッシュフローであり、返済原資であるという話は良くしていますが、何よりも税引後利益だということは忘れないでください。
納税を恐れては、銀行と良好な関係は築けません。
気になる方は気軽にご相談ください
いかがでしょうか。
今回お話しした内容は、私たちがお客様と期が始まった際に最初にすり合わせをする「今期死守していかなければいけないポイント」についての確認ポイントでした。
現預金残高
在庫高
粗利率
営業利益
税引後利益
損益計算書項目だけではなく、貸借対照表項目のすり合わせがより大事になってきます。
これらを社内だけで点検をしていくことは、簡単なことではありません。
うちの会社だとどうなのだろう?
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