日誌六十四日目
・読んだもの(9)
前回の続きである。ここ十年で各種技術はどの程度前に進んだのかな、という答え合わせ。
ちなみに前回のと今回のは似たようなタイトルをしているが、この二冊に直接的な関わりはない。
結論から言えば、前回の書籍に書かれていた内容は概ね順当に進歩していた。医療方面では人工臓器なんかはアメリカでは大分実用段階に来ているようだし、バイオ&ナノテクの絡んだ創薬やら再生医療も着実に実用化に向かっているらしい。ムーアの法則の終焉が囁かれて久しいが、IT関係におけるカタログスペックの伸びも未だ続いている。
これらがカーツワイルなんかが言う収穫加速の法則なるものに見合うほどなのかはいまいちはっきりしない。そこまでハードではないんじゃないか? という気はする。技術そのものが加速度的であったとしても、それらを受け入れる人間の感性側が等直線的なので、そっちに引っ張られて実際世の中そこまで劇的には変わらんのじゃないかな。
それでも伸びていることは確かなわけで、未来に対して悲観的なことを吹いていた論者については、概ね認知バイアスに引っかかっていたおマヌケさんだと結論づけて良いように思う。やーいやーい。
人間の寿命延長についてはいまいち進展していない感がないではないが、これについてはブレイクスルーがあったらゴシップレベルにとどまらず世界中で大騒ぎになってるだろうからなあ。未だ下積みといったところなんだろう。今後に期待か。
ちなみに自分としては、技術礼賛志向には凡そ好意的である。ていうか、そもそも今私がまともに生活できていること自体、レミケード=生物学的製剤という過去の最先端技術の賜物なわけで、ラッダイトじみた行動原理で動く悲観主義者のお歴々にはわりと露骨な敵意すら抱いている。お前らは恵まれた立場にいるからそんなヌルいこと言って悦に浸っていられるんだよ畜生め、的な。こちとら生まれるのが10年早かったら内臓の何パーセントかロストしてたろうし、寿命だってみるみる縮まってたんだぞ。こえーよ。
若い身空でほとんど寝たきりになって、人生フイにしているなかでなおネオラッダイトをやれるのなら認めてやるわ。ドン・キホーテとしてな。いい年してそこそこ地位もあるアガリの人間が喚いてるならそれはもう蛇蝎みたいなもんだ。
……とはいえ、この書籍の大半は技術礼賛ではない。技術に対する危険性と、事前対策の必要性を説く部分が紙面の大半を占めている。各種技術発展が自明のものであるからこそ、それらアクセルに対するブレーキの掛け方の重要性が増す。それはそれで非常に良く分かる話ではある。
もっとも、そんなものは一介の重病人には然程フックする論点ではないので、ノンポリパンピーよろしく「誰か偉い人がんばってね」てなもんでもある。当事者意識をほとんど持てないあたり、やっぱり自分はどこまでいっても野次馬なのだなあという認識をより深くする次第。VR関係ではアーリーアダプターを気取っているが、結局のところ、私の本質はレイトマジョリティーなのだろう。
先頭走者とも脱落者とも距離を置く、半端ものの後追い。利益を最大化できるいいポジションだと思うし、その確信があるからこその位置取りではあるものの、この書籍みたく真正面からモノゴトに取り組んでいる人々を目の当たりにすると、ある種の不甲斐なさみたいなものを覚えないではない。
・BoxVR(29)
二日連続のプレイ。もっとも、プレイリストの再建が主な目的だったので、プレイ時間は15分弱で消費カロリーも額面200kcal程度。
昨日のスクワット避け直後のノーツがスカる異常な挙動が、なぜか今日はほとんど発生しなかった。もしかしてハード側の問題だった? 自室に三つ設置されているセンサーの位置取りがマズかったりすると、ゲーム内での挙動がおかしくなるというのは別のゲームでも今まで何回かあった。その手の異常は気づかないうちに改善していたりするので、もしかすると今回もそのクチだったのかもしれない。だといいんだが。
いずれにせよ、この件については明日以降も要経過観察だねえ。