![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/108357107/rectangle_large_type_2_9211bea735679d444cd8fff5a7f9fcb1.png?width=1200)
強すぎる念は呪いになる。 ⑤
昔から家が居心地悪かった。
家族仲が悪いとかではなく、なんとなく家全体が重たいのだ。
幼少期は、庭に祖母が四季折々の花を植えていた。
草花の手入れがとても好きだった祖母の作った庭は、色彩に溢れ、見ているだけで気分を楽しませてくれたのだが、それでも言いようのない重たさは取れなかった。
日中はまだいい。
太陽が出ている時間帯はなにかしら気が紛れるのだが、夕暮れ時になり、徐々に夜の闇の気配が強くなるにつれて、怖くなっていくのだ。
トイレに行くのもお風呂に入るのも怖い。
常に電気をつけて、観てもいないテレビの音で気を紛らわせなければ、暗闇に引きずり込まれていきそうな錯覚を覚えた。
当然母には電気を消しなさいと叱られる。
当時、姉と一緒に和室で寝ていたのだが、姉が隣で寝ていても、何かがいるような、なにかがやって来るような怖さを感じて寝付くまでに随分とかかった。怖くて布団から顔を出せず、真夏の暑さの中でも汗をかきながらタオルケットに顔をうずめていた。
目を開けたら、目の前に誰かがいるんじゃないか。
そんな恐怖に苛まれながら、毎日毎日夜を迎えていた。
見えない何かに怯える幼少期だった。
小学校の高学年にさしかかると、夜を怖がることも次第になくなっていった。相変わらずお風呂は怖いし、夜に1人で部屋にいることも落ち着かなくてできないのだが、怖くて布団を頭から被らないと寝られないということはなくなった。
ただ、このころから感情のコントロールが出来なくなっていったのだと思う。本人は全くの無自覚なのだが。
上の記事にも書いたような、どこか多重人格に近い状態が出来上がっていった。
この家には何かかがある。
それは昔から確信していたことだった。
曽祖母の土地を奪われたエピソードを聞いていたから、余計にそう思ったのだろう。
でも腑に落ちない。
曽祖母は被害者だ。
なのになぜこの家がこんなにも怖いと思うのだろうか。
我が家から土地を奪っていった〇〇家の人が、この体験をするならわかる。
それならば、曽祖母の恨みのエネルギーが取り巻いているのだろうと納得できるから。
なぜ被害者なのに、こんなにも怖いのだろう。
そのことがずっと謎だった。
「見える人」たちには、「土地の因縁があるわね」とよく言われていたのだが、じゃあそれがどんな因縁なのかを説明してくれる人はいなかった。
これより前の記事に書いた浄霊の際にも、霊能者に曽祖母のことを聞くのだが、「成仏していない」という。
※煙で浄霊した霊能者(占い師)には曽祖母のことは話していない。
成仏していないのなら、成仏させてほしいのだが、霊能者たちに「成仏させました」と言われても曽祖母が上がった気はまったくしなかった。
「彼女」と出会ったのはいつだっただろうか。
知人の紹介で知り合った女性も、「見える人」だった。
霊能を生業にはしていないが、誰よりも力が強いと豪語するような人だった。謙虚に見えて実は傲慢で支配欲が強い。これ以上書くと悪口になるのだが(もうなっているが)、独特の雰囲気と、これまで見てきた霊能者よりも見えていることに、私はどんどんその女性にのめり込んでいった。
胡散臭い太鼓持ちも数名いて、怪しさ満載なのに、当時の私は全然気づけなかった。
平気で人の心を傷つけるくせに、「私は誰よりも理解している」風な言動で惑わしてくる。ずいぶんとその女性に傷つけられながらも、霊能者たちに理解してもらえなかった幼少期からの恐怖心や、家の土地のことをわかってもらえるといたった、ずっと欲しかった理解者を得たことで私は舞い上がっていた。
結局はそんな理解者は幻想だったのだけれど。
それを知るには10年近くの月日が必要だった。
その女性の言うことに従い、私は自宅の土地の紐解きを始めた。
やはり曽祖母は上がっていないという。
人を呪わば穴二つ
ものすごく強い恨みで相手を呪ったため、呪った本人に跳ね返ってきてしまっている。鎖で雁字搦めにされていて上がれていないのだという。
呪いと言われてもピンとこないが、恨みにとらわれて上がれていないというのは納得がいった。
その女性は浄霊をすることはない。
ただ見えたものを教えてくれるだけ。その見えたものから、私が紐解きをするというパターンだった。
女性曰く、藁人形や人形(ひとがた)のようなもので呪ったらしいのだが、そこに関しては現実味がなかった。もしかしたら曽祖母は本当にやっていたのかもしれないけれど、その女性に言われて素直に信じられるものではなかった。
恨みの念が強すぎて、呪いをかけたようになっていたのではないだろうか。
実際になにか道具を使ったり、おまじないのような行為をしたわけではなく、強すぎる念ゆえではないだろうか、と私は思っている。
曽祖母の呪い返し。
どこから手をつけたらいいのか全くわからない。
私が感じていた恐怖は、曽祖母の呪い返しのせいだったのだろうか。
恨みという強いネガティブなエネルギーに同調した存在たちが引き寄せられていたのだろうか。
その鍵となるのは土地の歴史だった。