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建築家との家づくり、住宅ローンが実は複雑。AAのお客さんに寄り添うサポートとは? #AAの仕事

こんにちは。
アラウンド・アーキテクチャー(以下、AA)社員の久保田です。


「家」、それは人生の中で最も高い買い物だといわれています。

住宅金融支援機構が実施している「フラット35利用者調査(2022年度)」によると、首都圏における家の購入価格の平均は、〈土地付注文住宅〉であれば5,406.1万円、〈マンション〉であれば5,327.7万円となっています。

新卒1年目の僕からしてみれば果てしない金額です。5,000万円なんてどうやったって貯められる気がしません。実際、これだけの大金を現金で一括払いできる人などそうはいないらしく、大半の人が「住宅ローン」を組み、長い年月をかけて少しずつ、その大金を支払っていくことになります。

さて、本題です。
入社して4か月、この「住宅ローンを組む」ということが、とりわけ「建築家との家づくり」においては、非常に複雑であるということがわかってきました。そしてこの複雑さが、どうやら建築家に設計を頼むうえで一つの大きなハードルとなっているらしいのです。建築家が住宅を設計する際に、「住宅ローン」という大きな壁があることを理解している人、案外少ないのではないでしょうか。


弊社では、先ほど書いた住宅ローンの一連の手続きのサポートを行っています。といっても実際どんな業務内容なのか、AAがいることでどんなメリットがあるのか、イマイチわかんないですよね。

今回は「AAの仕事」第二弾、住宅ローンサポートについて書いていこうと思います。
…とはいいつつ、僕は入社したばかりで経験も少なく、人に説明などできる立場ではありません。そこで今回は、会社の上司である安藤さんに聞いてみました。

安藤美香さん。AAの母的かつ姉御的存在。
美味しいお店をたくさん知っている。



住宅ローンの審査基準は銀行によって異なる

――安藤さん、今日はよろしくお願いします。

安藤:はーい。よろしくお願いします。

――さっそくですが、まずは住宅ローンサポートの大まかな段取りを教えていただけないでしょうか?

安藤:私たちの会社ではまず最初、土地やマンションを探し始める前に、お客様とライフプランを共有するところから始めます。お客様の年齢や家族構成、年収や貯金残高などをヒアリングしながら、ライフプラン・シートというものをつくるステップです。ご家族がしたい暮しを叶えつつ、将来のお金の不安がないように考えた上で、不動産にかける予算、建物の建設費、建築家の設計料、その他諸費用など、おおよその総予算を決めていきます。それに対して現金はいくら出せて、じゃあローンはこれくらい組む必要があります、と。
ある程度の予算がわかってきたら、次は実際にどの銀行ならその額を借りられるのかを確かめるステップです。住宅ローンがいくら組めるのかは、前年度の年収、正社員なのか役員なのか、あるいは個人事業主なのか、現金をどれくらいもっているのかなどで変わってきます。そのうえ、その評価基準は銀行によって全然違ったりします

――それが意外でした。どこの銀行でも大体同じものかと。

安藤:そんなことはないんだよね。だからお客さん次第で最適の銀行は変わってきます。私たちAAは各銀行の特色がある程度わかっているから、ヒアリングをしている段階でこのお客様はあの銀行は使えないなあとか、あの銀行がよさそうだなという大まかなあたりがつきます。ですが、銀行側の条件もずっと同じわけではないんです。だからその都度、銀行側にヒアリングをして、実際に借りられるのかを確認する必要があるんです。

お客さんに合わせた最適な銀行選び

――こういった仕事は普通の不動産屋もやるものなんですかね?

安藤:いや、詳しくはわからないけど、普通に(建築家以外で)家を建てる場合は銀行選びはそこまで難しくないんじゃないかな。そこの難易度が上がるのは建築家が設計するからこそなんだと思います。

建築家住宅でローンを組むのは難易度が高い

安藤:例えば建売住宅やマンションを購入する場合は、支払いのタイミングは一回だけで、融資もそのタイミングで実行されます。対して〈建築家との家づくり〉では、支払いのタイミングが土地の購入→着工→中間→竣工など何段階かにわかれていて、その都度まとまったお金が必要になると。その場合、「分割融資」や「つなぎ融資」という方法にする必要があるんだけど、これはどこの銀行でもできるわけではないんです。

――なるほど。建築家住宅の場合、決してどの銀行でもローンを組めるわけではないんですね。

建築家住宅と建売住宅・新築マンションの違い

安藤:そう。あとは銀行によっては面積要件があったりします。とある銀行は「敷地面積40㎡以下の土地」は取扱不可だったり、他の銀行では「延べ床面積50㎡未満」は不可だったり。建築家に設計を依頼する場合、こだわりを持ってフルオーダーで造るために家に掛ける予算の割合が大きくなる事も多くて、そういう場合は土地にかけるお金を安くしようとして、面積が小さくなってしまうことがあるんです。そういう場合は銀行の要件と連動するから要注意だね。

――建築家は狭小住宅を設計することも多いですもんね。こんなところに落とし穴があったとは。ちなみに、ハウスメーカーの場合はどうなんでしょう? 注文住宅という意味では一緒ですよね。

安藤:大手のハウスメーカーなんかは予め幾つかの銀行と提携していることが多いんじゃないかな。だからわざわざ銀行選びに時間をかける必要がない。

――なるほど。そうなると、その銀行の条件に合うような家づくり以外は引き受けないということにもなりそうですね。そもそもチャレンジングなことはしない。

安藤:そうだね。そうだね。築古のリノベや、2世帯住宅、店舗併用など建築家住宅のプログラムは複雑なことが多いから、その分銀行選びの難易度も高くなってしまうんです。

建築家やお客さん、銀行の間を取り持ち、最適解を導く

安藤:だからこそ、私たちがお客さんと建築家の間に入って、そのプロジェクトに最適の銀行選びをする必要があるんです。

――ただ普通の家を買うとなったら、そういった条件にひっかかる可能性は低いですもんね。金利が低いとか、そういった理由で選べばいいわけですね。

安藤:そうだね。それと、間を取り持つというのは銀行選び以外のときもそうで。例えば、お客さんが銀行から融資を受けるタイミングと、建築家や工務店への支払いのタイミングがずれてしまっては困ってしまいますよね。そうならないように、私たちはその家づくりにおけるお金周り全体のスケジュール管理をします。建築の設計・工事のスケジュールを銀行に伝えたり、融資のタイミングで必要となる書類(確認済証や工事請負契約書など)を建築家側に伝えて用意してもらったり。これは建築家側と銀行側、あるいはお客さん側の事情を全体的に把握していないと難しいことなんです。

――建築家と銀行、両者の目線に立つことが大事なんですね。

安藤:そうだね。ただ一方で、家づくりなんて人生に一回あるかないかだし、普通の人は銀行や住宅ローンのことをここまで調べる必要はないと思っていて。もちろん建築家も、必ずしもここまでお金のことに詳しくなる必要はない。だからこそ私たちみたいな専門家がいて、お客さんが路頭に迷わないようにサポートをするんです。

――なるほど、AAはお金の専門家でもあるということですね。

安藤:ちなみに、不動産仲介の仕事が基本的には関東圏が主なのに対して、住宅ローンのサポート単体の依頼であれば全国どこでも受けることができます。だから困ってる人がいたら気軽に声かけてほしいかな(笑)

――そうですね(笑) 今日はとても勉強になりました。安藤さん、どうもありがとうございました。


今回の要点をまとめます。

  • 住宅ローンを組む時の審査基準は銀行によって異なる

  • 建築家が設計する住宅はプログラムが複雑な場合が多い
    →AAがそのプロジェクトに最適な銀行を提案する

  • AAはお客さんや建築家、銀行の間を取り持ちながら、住宅ローンの一連の手続きのサポートを行う

AAがやっている住宅ローンのサポートは、建築設計の前提条件となる資金調達の部分をデザインしているとも言えそうですね。

さて、次回はAAが定期開催している「家づくり勉強会」についてです。
こうご期待。

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