#9 こんなはずじゃなかった!部署異動の落とし穴10選
複業(副業)やパラレルキャリアを目指す会社員の方に向け、「本業は会社員 × 複業で経営者」になる10ステップを、発信している「かける」です!
これまで記事では、会社員の取りうるキャリアアップの選択肢やその比較について、ご説明してきました。この記事では、そのうちのひとつ、部署異動に焦点をあて、部署異動でありがちな落とし穴について、実際のエピソードと注意点を中心に、ご説明します。
なお、副業の始め方や起業準備、特に、「会社員として働きながら、起業し会社経営を行うためのプロセスやノウハウ」を、以下のリンクにあるサイトマップにまとめています。ぜひ一度、ご覧ください!
私自身、技術部門から新事業部門、企画部門への異動を経験し、また、管理職としても数多くの部下の異動に携わってきました。その中で、部署異動が新たなチャンスとなり大きく成長した人もいれば、逆に壁にぶつかり苦労するケースもありました。
部署異動は、キャリアを切り開くきっかけとなる一方で、思わぬ落とし穴も潜んでいます。事前に知っていても避けられないこともありますが、あらかじめ多角的に落とし穴を把握し、対策を講じておくことで、防げるケースも増えるはずです。
1. 希望しても異動させてもらえない
エピソード
私自身、技術部門から新事業部門への異動を希望しましたが、実現したのは希望してから3年後でした。同僚の中には、5年以上、異動希望を出し続けても叶わない人もいます。
注意点
多くの上司は、異動が本人の成長につながると判断すれば、応援したいと思うものです。しかし、その人しかできない仕事が多いと、職場運営上なかなか異動を許可できないこともあります。こうした場合、自分の業務を仕組み化し、他の人でも対応できるようにしたり、後任を育成することが重要になります。
自分しかできない仕事を他の人に任せるのは、自分の優位性が失われると感じるかもしれません。しかし、仕組み化や人材育成を進めることで異動しやすくなることに加え、周囲からの信頼や評価も高まります。また、自分が抜けてもチームが円滑に回る仕組みを作ることは、自分の市場価値を高める大きな一歩にもつながるでしょう。
2. 希望と違う部署に異動になってしまう
エピソード
どうしても行きたい部署があり、そこへの異動を希望しているのに、違う部署に異動になってしまった事例を何度か見てきました。
注意点
人事異動は、本人の希望だけでなく、自部署の要員計画や他部署からの要望など、さまざまな要素を考慮した上で行われるため、複雑なパズルを解くような難しさがあります。こうした調整に頭を悩ませる管理職も多いです。特に他部署から、こういう人材が欲しい、と要望があったとき、異動を希望している人がいた場合、希望の部署ではなくても、その人を優先的に検討せざるを得ないこともあります。
このような背景を理解した上で、希望する異動が自身のキャリアデザインやキャリアプランにどうつながるかを日頃から上司と話し合っておくことが重要です。また、意図しない異動が思わぬチャンスをもたらすこともあるため、柔軟な姿勢で受け止めることも大切です。
3. 異動先の業務が期待と違った
エピソード
私と同じタイミングで、企画部門へ異動した人が、「企画の仕事は、もっと華やかでスマートだと思っていたが、実際は利害調整や後始末ばかり」と嘆いていることがありました。
注意点
異動に限らず、隣の芝生は青く見えるものです。「あの部署ならもっと活躍できる、もっと楽しく働ける」と期待を膨らませがちですが、どの仕事にも外からは分からない難しさや苦労があります。また、華やかな成果の裏には、膨大な地道な作業や雑務がつきものです。
期待と違った、とならないためには、異動を希望する部署の人に、どんな1日を過ごしているのか、どんな難しさがあるのかを具体的に聞いてみることが大切です。特に「その部署で一番大変だと思うことは」や「ここだけは覚悟しておいたほうがいいことは」といった本音を引き出せる質問をすると、実態がより明確にわかるようになります。こうした事前の情報収集が、ミスマッチを防ぎ、異動後のギャップを減らす助けになります。
4. 力を発揮できない
エピソード
本人の強い希望で別部署から異動してきた部下が、思う様に力を発揮できず、当初計画よりも早いタイミングで元の部署に戻さざるをえなかったことがあります。
注意点
人事異動は、本人の能力や職場の状況などを踏まえ、本人が活躍できるかどうか、慎重に検討をした上で最終判断します。ただし、新しい仕事で力を発揮できるかどうかは、事前に予測しきれない部分もあり、上記のようなケースも発生してしまいます。私も管理職として、自分の未熟さを反省することが多々あります。
新しい仕事で力を発揮し、成果を挙げるには時間がかかります。簡単にあきらめず、粘り強く取り組む必要があります。しかし、やってみたけど本当にムリそう、ということも実際にあります。まずは、兼務という形で異動先の仕事に携わり、異動して大丈夫そうか確認したり、万が一の場合は元の部署に戻れる様に、上司と話し合っておくことも有効です。
5. 成果を挙げたのに査定が下がる
エピソード
部下のひとりが、異動先でしっかり成果を挙げたのに、査定が下がってしまったことがありました。その部署に長くいるメンバーとの相対評価で負けてしまった、という背景でした。
注意点
圧倒的な成果を挙げれば、異動先の上司にも認めてもらいやすいですが、そこそこの成果だと、部署内で既に評価の定まったメンバーに埋もれてしまうことがあります。人事評価のやり方が相対評価から絶対評価へ移行しつつあるとはいえ、まだ相対評価の側面が残っている場合も多く、どうしてもこういうケースが発生してしまいます。
元の部署の上司から異動先の上司に、「〇〇さんをしっかり育成してくれてありがとうございます。成果も挙げているようなので正しく評価してあげてくださいね!」とお願いするだけでも査定で有利に働くことがあります。そういう応援をしてもらうためにも、元の部署の上司へ、定期的に近況を報告し、良好な関係を維持しておくことが重要になります。
6. 昇格タイミングを逃す
エピソード
異動しなければ数年後には昇格できる状況でも、昇格よりもやりがいや成長を求めて、他の部署に異動する人もいます。そういう人は異動先でも活躍できる場合が多いのですが、昇格では不利になることもあります。
注意点
異動先の部署には、その部署なりの人材育成計画や昇格プランがあり、異動してすぐにそこに割って入ることは簡単ではありません。異動した人が、昇格で不利にならない人事制度にできればいいのですが、現時点では、まだ上記のようなことが起きてしまいがちです。
「やりがいや成長よりも昇格が大事」か「昇格よりもやりがいや成長が大事」の、どちらかに振り切っている人もいますが、「やりがいや成長も大事だし、できることなら昇格もしたい」という人の方が多いのではないでしょうか。そういう人が、異動を希望する場合、昇格できるかもしれないタイミングは避けた方がいいでしょう。自分でコントロールすることは難しいかもしれませんが、昇格直後が、異動のベストなタイミングです。
7. 元の部署と異動先部署の板挟み
エピソード
私は技術部門から新事業部門に異動しましたが、あるプロジェクトで、技術部門のしっかり品質を確認したいという意向と、新事業部門の早く顧客ヒアリングをしたいという意向の板挟みで苦労しました。
注意点
組織では、部門間の意見の対立がどうしても発生してしまいます。そうした場面では、両方の部署に在籍経験があるメンバーが矢面に立たされることも少なくありません。双方の部署に人間関係がある上に、どちらの意見も理解できるだけに、この板挟みは辛いものです。
しかし、双方の状況や本音を理解しているからこそ、懸念点や優先事項を整理し、妥協点や新たな視点に基づく解決策を見出せる可能性があります。このような場面を、調整力や交渉力を鍛える機会と捉え、前向きに取り組むことが、大きな成長につながります。
8. 元の部署に戻れない
エピソード
前任者から、優秀な部下を2年限定で異動させているので、時期がきたら戻すぐように、と引き継ぎがありましたが、そのタイミングで異動先の部署と交渉したら「そんな話、聞いていません」と言われ、交渉が難航しました。
注意点
元の部署の上司も異動先の上司も、いつもまでいるとは限りません。そのため、異動に関する約束事は、口頭だけではなく、書面や正式な手続きとして記録を残しておくことが大切です。部下から上司に頼みにくいことではありますが、「異動先の部署で成長してから、この部署に戻ってもっと貢献したいので、必ず戻れるようにお願いしたいです」と伝えれば、快く引き受けてくれるでしょう。
また、元の部署への復帰をスムーズにするには、異動期間中も元の部署とのつながりを維持しつつ、異動先での価値をしっかり伝えるバランス感覚が求められます。万が一戻れない場合に備えて、キャリアデザインの見直しも含め、異動先での新たな可能性を探る姿勢も大切かもしれません。
9. 異動を繰返して、中途半端になってしまう
エピソード
2〜3年ごとに本人の希望で異動を繰り返している人もいますが、成果を挙げる前に別の部署に移ってしまうため、どの分野でも中途半端になってしまう傾向があります。
注意点
様々な人の異動履歴と活躍の様子を観察してみて、異動を繰り返してどんどん成長できる人と、中途半端になってしまう人がいます。この違いは、これだけは誰にも負けないという専門領域やスキルを持っているかどうかが大きな要因だと気づきました。明確な強みを持つ人は、異動先でそのスキルを活かしつつ、新たな環境で成長して成果を挙げられる可能性が高いように思われます。
異動を希望する際には、まず現在の部署で自分の専門領域を磨き、一定の成果を出すことが重要です。その上で、異動先で何を学び、どのように活躍できるかを具体的に考えましょう。単に環境を変えるだけではなく、異動先で自分が何を成し遂げたいか、という目標を明確に持つことで、成長を続けることができます。
10. やりたかったプロジェクトが中止になってしまう
エピソード
ある部下が、「どうしても、このプロジェクトに参画したい!」と強く希望して、そのプロジェクトを主導している部署へ異動しましたが、会社の方針転換により、そのプロジェクトが中止になってしまいました。
注意点
会社のプロジェクトは市場環境や経営方針の変化に影響を受けるため、どんなプロジェクトでも、縮小や中止といったリスクがあります。異動の際には、プロジェクト自体だけでなく、その部署で得られるスキルや経験、他の可能性も視野に入れておくことが重要です。
プロジェクトが中止になったらどうするか、という可能性をあらかじめ想定し、その部署で新たに挑戦できる業務や自身が貢献できる領域を見つけておくと、不測の事態に柔軟に対応できます。特定のプロジェクトに過度に依存するのではなく、自分のキャリア全体にとって何がプラスになるかを考える視点を持つことが大切です。
この記事では、部署異動でありがちな落とし穴について、実際のエピソードと注意点を中心に、ご説明しました。みなさんのキャリアデザインやキャリアプラン、キャリアアップの検討や準備の参考になれば、とても嬉しいです。
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