つまみ食いした論文 (Hall RG 2nd, Payne KD, Bain AM, et al. Multicenter evaluation of vancomycin dosing: emphasis on obesity. Am J Med. 2008;121(6):515-518. doi:10.1016/j.amjmed.2008.01.046)
本記事は、主に医療従事者向けに記載をしております。また、本記事の内容は、私の所属している施設などとは一切関係がないことを併せてご承知の上、記事をご覧ください。
はじめに
現在、業務多忙+未来の色々な発表の準備をしています。
未来の発表に関連して、論文をつまみ食いしている最中です。
タイトルを記載している要旨の内容のみ記事にしていきます(某国内医薬品メーカーの感染関連の論文要旨の英訳のようにです)。
あくまでも英語素人な一病院薬剤師がソフトに頼りながら和訳しているので異訳等があればご了承ください。
バンコマイシン投与量の多施設評価-肥満を中心に
要旨
[背景]
肥満における抗菌薬の投与に関しては、利用可能なデータが少ない。しかし、バンコマイシンは実際の体重に基づいて投与すべきであることを示すデータがある。
[方法]
この研究は、薬局主導のバンコマイシン投与プログラムや他の施設でのバンコマイシン投与方針やプロトコルを持たない 2 つの三次医療センターで実施された。2003年7月1日から2006年6月30日までの間にバンコマイシンを投与された患者を、肥満度別に層別化し、コンピュータで作成されたクエリから無作為に抽出した。年齢が 18 歳以上でクレアチニンクリアランスが 60 ml/min 以上の患者で、バンコマイシンを 36 時間以上投与された患者が含まれた。
[結果]
データは、包含基準を満たした体格指数で層別化した421人の患者から無作為にサンプリングして収集した。各体格指数区分のほとんどの患者は、バンコマイシン2グラムの固定用量を1日2回に分けて投与された(低体重82%、正常体重90%、過体重86%、肥満91%)。低体重児の100%、正常体重児の99%、過体重児の93.9%、肥満児の27.7%に適切な初期投与量(10 mg/kg/回以上)が達成された(p<0.0001)。低体重患者の97%、正常体重患者の46%、過体重患者の1%、および肥満患者の0.6%が、米国感染症学会のいくつかのガイドラインで推奨されている15mg/kg/dose以上の投与を受けていた。また、10mg/kg/日未満の投与を受けた患者のうち、投与開始から24時間以内にレジメンを変更した患者は3.3%にすぎず、薬剤師は不適切な投与量を修正することができなかった。
[結論]
この多施設共同パイロット試験では、肥満患者は日常的に不十分な経験的バンコマイシンの投与を受けていた。不適切な投与は治療濃度を低下させ、臨床成績を悪化させる可能性があるため、体重に応じた投与を確実に行うために、より大きな努力が必要である。
(本文を読んだ感想)
VCMのTDMガイドラインが出る前のパイロット試験。肥満症例でも固定用量で使用されているという現状が報告されていた。
日本では、海外のガイドライン、国内のガイドラインの内容を感染対策チームや抗菌薬適正使用支援チームの活動により遵守される傾向にある施設が多いと思うが、医師の知識がない場合は、固定用量で投与をされているケースもあるのではないかと思われ、院内プロトコルの作成など薬剤師の活動が非常に重要と考えられた。
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