読んだ論文 (Low-Dose Edoxaban in Very Elderly Patients with Atrial Fibrillation. DOI: 10.1056/NEJMoa2012883)
超高齢者の心房細動患者に対する低用量エドキサバンの投与
要旨
背景
超高齢者の心房細動患者における脳卒中予防のための適切な経口抗凝固薬治療の実施は,出血の懸念から困難である。
方法
我々は,脳卒中予防のために承認された用量で経口抗凝固薬治療の適切な候補とされていない非弁膜症性心房細動を有する日本人高齢者(80歳以上)を対象に,エドキサバン15mgを1日1回投与し,プラセボと比較する第3相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照イベントドリブン試験を実施した.有効性の主要評価項目は脳卒中または全身性塞栓症の複合体,安全性の主要評価項目は国際血栓止血学会の定義に基づく大出血であった。
結果
合計984人の患者が1日15mgのエドキサバン投与群(492人)とプラセボ投与群(492人)に1:1の割合で無作為に割り付けられた。合計681人の患者が試験を終了し、303人が試験を中止した(158人が中止、135人が死亡、10人がその他の理由で中止);試験を中止した患者数は両群で同程度であった。脳卒中または全身性塞栓症の年換算発生率はエドキサバン群で2.3%、プラセボ群で6.7%(ハザード比、0.34;95%信頼区間[CI]、0.19~0.61;P<0.001)、大出血の年換算発生率はエドキサバン群で3.3%、プラセボ群で1.8%(ハザード比、1.87;95%CI、0.90~3.89;P=0.09)であった。消化管出血のイベントは,エドキサバン群でプラセボ群よりも実質的に多かった。いずれの原因による死亡についても、グループ間での有意差は認められなかった(エドキサバン群9.9%、プラセボ群10.2%、ハザード比0.97、95%CI、0.69~1.36)。
結論
日本人の非弁膜症性心房細動患者で,標準的な経口抗凝固薬の投与が適切でない超高齢者を対象に,エドキサバン15mgを1日1回投与したところ,脳卒中または全身性塞栓症の予防効果はプラセボよりも優れており,大出血の発生率はプラセボよりも有意に高かった。
(個人的な感想など)
エドキサバン対プラセボのRCT。
実は、本RCTが出る前からも処方されているような・・・。
リクシアナの添付文書によると、15mg投与は、下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制で、腎機能が悪い場合は認められている。心房細動の際はリクシアナからワルファリンへの切り替え時のみしか適応を有していない。
→上記のような報告を行われているため、患者背景等を考慮し、添付文書を逸脱してはいますが、対象の患者と思われる症例では、そのまま交付ということになるんでしょうね。
ただ、エドキサバンを服用していることによる、出血イベントには注意を払う必要があるので、その点は、確認が必要かと思います。