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多面的な臨床薬剤師の介入はハイリスク薬を処方された患者の安全性に寄与するか?

久しぶりの更新です。

インプットの時間がなく、更新ができていないです。

今回は、少し、斜め読みをした論文の内容があまりにも衝撃だったので、要旨の内容をまとめました。

論文のタイトル等

Gurwitz JH, Kapoor A, Garber L, Mazor KM, Wagner J, Cutrona SL, Singh S, Kanaan AO, Donovan JL, Crawford S, Anzuoni K, Konola TJ, Zhou Y, Field TS. Effect of a Multifaceted Clinical Pharmacist Intervention on Medication Safety After Hospitalization in Persons Prescribed High-risk Medications: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2021 Mar 1. doi: 10.1001/jamainternmed.2020.9285. Epub ahead of print. PMID: 33646267.

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薬剤師が多面的に介入を行うことで、退院後の患者にハイリスク薬による薬剤関連性有害事象が減るかどうかの報告。1:1に割り付けたRCTです。

要旨の内容

重要性
薬物有害事象(ADE)予防のためのナショナルアクションプランでは、薬物関連傷害のリスクを低減するためのターゲットとして、抗凝固剤、糖尿病薬、オピオイドの3つの優先度の高い、高リスクの薬物クラスが特定されました。

目的
多面的な臨床薬剤師の介入が,退院後,これらの高リスク薬物クラスの1つ以上の範囲内の薬を処方された患者の服薬安全性を向上させるかどうかを判断するためのものである。

デザイン、設定、参加者
この無作為化臨床試験は、マサチューセッツ州の大規模な集学的グループ診療所で実施され、退院後に少なくとも1種類の高リスク薬を処方された50歳以上の患者を対象とした。参加者は2016年6月から2018年9月までにこの試験に登録された。

介入
薬剤師による介入には、臨床薬剤師による家庭内評価、エビデンスに基づいた教育資料、プライマリケアチームとのコミュニケーション、電話によるフォローアップが含まれた。
対照群の参加者には、郵送による教育資料が提供された。

主要評価項目
この研究では、45 日間の退院後の 2 つのアウトカムを評価した。
(1) 薬物関連の有害事象、
(2) 予防可能または改善可能なADEと潜在的なADE(すなわち、まだ患者に傷害を負わせていないかもしれないが、対処しなければ将来的に害をもたらす可能性のある投薬関連のエラー)を含む、臨床的に重要な投薬エラーと定義されたサブセット。
臨床的に重要な投薬過誤が主要な研究成果であった。

結果
参加者は361人(平均[SD]年齢68.7[9.3]歳、女性177人[49.0%]、白人319人[88.4%]、黒人8人[2.2%])であった。このうち、180人(49.9%)が介入群に、181人(50.1%)が対照群に無作為に割り付けられた。
全参加者のうち、100人(27.7%)が1件以上の薬物関連有害事象を経験し、65人(18%)が1件以上の臨床的に重要な投薬過誤を経験した。
薬物関連の有害事象は介入群で81件、対照群で72件であった。
臨床的に重要な投薬過誤は介入群で44件、対照群で45件であった。介入は、患者1人当たりの薬物関連有害インシデント発生率(未調整発生率比、1.13;95%CI、0.83-1.56)または臨床的に重要な投薬過誤(未調整発生率比、0.99;95%CI、0.65-1.49)を有意に変化させなかった。

結論と関連性
この無作為化臨床試験では、臨床薬剤師の介入と関連した入院後の期間中の薬物関連有害インシデントや臨床的に重要な投薬ミスの発生率の低下は観察されなかった。しかし、研究の募集に課題があり、研究集団のイベント数が予想よりも少なかった。

感想

この報告だけ見ると、薬剤師が多面的にアプローチしても意味が無いということになってしまいます、残念ながら。
我々は、退院時にも患者が気付くように色々と説明などを行なっています。これが意味がないと。
違った見方をすれば、それ相応の理解力がある患者に文書を提供すれば、薬剤師が多面的に介入した場合と同程度の効果が得られる可能性があるという解釈もできるのかなと感じました。

また、アウトカムの設定が違えば、解釈も違ったのでは?と個人的には感じました。例えば、有害事象の症状発生から報告までの時間や来院時のその重症度など、定量的にするのは難しいかもしれないですが、その辺りが直接的に指導している場合と文書のみ提供している場合とでは異なってくるのではないかなとあくまでも憶測ですが、そういう点も見ればよかったのにと感じました。

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40代病院薬剤師
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