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aromatographyを振り返って。


こんにちは!東京の高輪でアロマ講師をしながら、調香師として商品の香りなどを担当しているMikaです。今日は、今年一番力を入れてきた製品「Aromatography」がマクアケから発売開始されたので、その誕生秘話や、おすすめポイントなどついて書きたいと思います!


aromatography

こちらの製品は、私が去年の夏前に、デザイナーの辻尾一平さんに、お仕事を依頼したことから始まりました。私は普段、女性に囲まれて仕事をしているので、彼のシンプルで洗練された作品は、清潔感を感じ、女性からも好かれると思い、勇気を出してお声がけしました。特にアクリル版で出来ているものが多く、透明感があることや、「hanategami」という、華奢な花を模様したレターセットは可愛いらしく、お友達に送ると喜ばれます。当時は、このhanategamiに香りを付けて、セット販売みたいに出来たら素敵だな、なんて思っていました。その時はまだ顔も知らずでしたが、辻尾さんは実際にお会いしてみると、とても中性的で、私の意味不明な発言もケラケラと笑い飛ばしてくれる優しいデザイナーさんです。

エッセンシャルオイルの香りの良さは、ほとんどに抗菌作用や空気を浄化する様な作用がある為、清潔感が出せるという点、また、何回でも深呼吸したくなる程、フレッシュな植物の恵みを感じれるということです。これらの要素が、彼の作品から私が感じる「透明感や清潔感」とリンクしています。

エッセンシャルオイルは色もきれいです。

調香の仕事を始めてから、香りを作る上で、様々な芸術に触れるのが好きになり、展示やコンサートなどに足を運ぶ機会が増えました。これまで、子育てに追われ小さな世界に閉じこもり、特に周りを知ろうとも思わなかった私ですが、香りの仕事を通して、世界が広がり、自分の好きなものが見つかってきました。魅力的な香りを作るには、豊かな経験と想像力が必要です。

「香水とは、世界への扉を開き、自由を教える芸術であり、絶えず発展し、人を高みに引き上げるもの」

いつしか自分の香りも、何か素敵な作品で表してもらいたい、またはその何かを香りで表現したい、という想いがずっとありました。忙しい日々を過ごす皆様に、香りを通して、世界を感じてもらいたい。そして、自分があらゆる土地や文化、芸術作品から受けたインスピレーションを香りを通して表現したい、世界の美しさを感じ取ってもらいたい。

今回のaromatographyは、香りを視覚でも楽しめるもので表現した新しい挑戦であり、私の夢が一つ叶ったわけでもあります。

ブレンドは楽しい

最初の打ち合わせは、渋谷のTSUTAYAの上にあるカフェで行いました。こちらのやってみたいイメージを伝え、企画を考えてきてくれることになりました。

1回目の打ち合わせから少し時間を空け、2回目の打ち合わせで出してくれた様々なアイディアを聞きながら、私は内心焦っていました。到底実現出来るようには思えず「こんなのを商品化したら、とんでもなくお金がかかるんでないの!!」そんな不安を抱えながら帰宅し、今まで習い事の先生に毛が生えたような仕事しかしてこなかった自分を恥じ、考え込みました。大変だ・・・。そもそも製作にはお金がかかる為、もっと働かなければと資金繰りに悩み、レッスンの中身を充実させ、お客さんを増やすところにも力を入れました。その後も何回か打ち合わせをし、遂にaromatographyに辿り着きました。辻尾さんから、「共同制作にしませんか」と言って頂いた時には、肩の荷が降りたのを、今でも覚えています。そして、そこから完成までの実験が始まりました。

吸い上げの実験

ただ香りを作っていれば良いわけではないのです。紙を切ったり、インクを混ぜたり、シルクスクリーンをしたり、箱を組み立てたり、液剤の配合を計算したり・・・。

シルクスクリーンで手がいつもインクだらけに。
赤インクの時は「霜焼けですか」とか聞かれて笑いました。

簡単そうに見えて、本業ではない私はてんてこまいでした。形が見えてきたのが今年の夏くらい。これは、現実になるなと感じました。この時期やっと、辻尾さんが頭の中で構成している事が私にも、明確に分かりました。(ここで理解したなんて言ったら怒られそうですが、笑)それまでは、香りの吸い上げ以外の実験は、ちょっと何をさせられているのか分からない、そんな気持ちでした。

クロマトグラフィー

クロマトグラフィーとは、色素の親水性の違いによって、インクの色が分離する現象のことです。印刷された紙に水を染み込ませると、吸い上げとともに分離=絵柄が消えていきます。これをエッセンシャルオイルの入った液剤を水の代わりに吸い上げさせ、ディフューザーにしたのがaromatographyです。

難しいのは、エッセンシャルオイルは水に溶けないので、分離してしまい、先に水だけが吸い上げられてしまうので、早い段階で、香りが中々発生しないこと。これでは、ディフューザーとして買ったのに、ただ色彩の移ろいを楽しむだけのインテリアです。香るまでに時間がかかりすぎて、退屈してしまいます。単純にエタノールにエッセンシャルオイルを混ぜて、香りのある液体にすると、今度は紙との相性が悪く、液剤が上らないし、乳化剤と混ぜると、液剤が重くて途中で止まってしまう。

最高の希釈剤だと思った洗剤は、色がキレイに出なかったり、配合を変えたら変わるのか、他に何か特別な液剤はないのか、など、何パターン試せばいいの!みたいな状態を繰り返し、最後らへんはもう、私の液剤に対する不安が大きくなりすぎて24時間脳が休まらない、ずっと起きている状態でした。そして遂に完成したのが、今回皆様にお届けするaromatographyです。

美しい・・・

青ボトルの中に入っている液剤はたった15ミリ。そこにお水を指定のところまで入れ、良く振って混ぜ、箱に差し込んだらセット完了です。

こんな感じです。

ひっくり返すと、下から徐々に絵柄のインクが滲み、それを見つめる時間がとても、静かで儚いのです。忙しくてディフューザーを見つめる時間なんてないと思う皆様も、たまには、ゆっくり見て欲しいです。絵柄は消えてくのに、香りは広がり残っていくのってなんだか素敵だと思いませんか。これはただの置き型のディフューザーではなくて、体験なのです。それもとても癒される体験!

全部消えます。

香りのテーマは「森羅万象」13種類のエッセンシャルオイルをブレンドし地球や自然、宇宙などの美しさを感じるブレンドにしました。沢山の方に思いっ切り深呼吸してもらいたいです!!

色々な苦悩がありながら、完成したaromatography。私よりも私と組んだ辻尾さんは、もっと気苦労があったかと思いますが、これもまた良い思い出です。aromatographyがここからもっと沢山の人に届き、エッセンシャルオイルのディフューザーとして広まっていったら嬉しいし、そうなるようにまだまだ出来る事を頑張っていきたいなと思います。皆さんぜひ買ってください!宜しくお願いします♪

可愛い

ギフトにも喜ばれるので、沢山買ってくださいね!!

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