女性特有の悩みや疾患緩和に活用したいアロマテラピー
前回の「西洋医学とアロマテラピー」に続く第二弾となります。今回のテーマは、女性特有の悩みや疾患に対して、アロマテラピーがどのように役立つか、そして女性が抱える問題の背後にはどのような背景があるのかについてです。今回も昭和大学病院の病院長であり、呼吸器アレルギー内科教授の相良博典先生にお話を伺いました。
Mika : 先生、第二弾もどうぞよろしくお願いします。
相良先生 : よろしくお願いします。
Mika : アロマテラピーといえば、多くの女性が利用しているイメージがあります。これは、アロマテラピーが女性ホルモンのバランスを整え、副交感神経を優位にする効果が証明されているからだと考えられます。
相良先生 : 女性の疾患には、PMS(生理前症候群)、不妊症、更年期障害、子宮がんや乳がんなどがあります。さらに、過激なダイエットによる摂食障害や自律神経失調症の症状を訴える女性も増えています。これらの要因は様々で、その一つにストレスが挙げられます。また、ライフサイクルの影響も大きいです。
Mika : 私の周りにも、乳がんや子宮がんの方が増えています。遺伝が大きな要因の一つだと思っていました。
相良先生 : 原因が遺伝によるものもありますが、女性特有の疾患においてはホルモンのバランスが非常に重要です。そして、精神的なストレスがホルモンバランスの悪化に繋がることも多いです。そこで、アロマテラピーを活用することで、様々な因子の一つを取り除くことがポイントになります。
Mika : ストレスフリーになれば、脳も正常に機能し、バランスが崩れることもなさそうですよね。身体は、免疫系、自立神経系、内分泌系によって、健康に保たれているわけですが、脳がストレスによりダメージを受けると、視床下部から全身への指令が伝わらなくなってしまう。でも、今の日本で暮らしていると、ストレスを溜めないのは難しいと思います。満員電車や、人混み、仕事や子育てなど、自分のペースで休むのも難しいですよね。何がストレスになっているか無自覚で、気付かないうちに、病気になっていそうです。
相良:そうですね。今は、生活のリズムを整えることすら難しいので、アロマでストレスを軽減させることによって、前向きな思考になり、人生の方向性を変えていく、というのが良いのだと思います。特に現代は、スマホばかりみんな見ているでしょう。情報社会だから、バランスを崩してしまう人が増えたよね。病気が多い、というか、病気を作ってしまう女性が多い、そんな気もします。
Mika : 移動中やふとした瞬間にスマホを見てしまいます。便利ではありますが、眼精疲労や肩凝りにも悩まされています。見たくない情報も流れてきますし、怖いニュースを見ると不安になりますよね。
相良先生 : 情報を選べるようになるといいですよね。本来は、誰かと「会話」することが悩みの解決策としてありますが、最近はコロナや忙しさ、話せない内容もあって難しいことが多いです。そういった時に、香りを使って自分を癒したり気分転換するのが良いでしょう。特に現代の女性は美意識が高いですが、内面を育てることを忘れがちです。これも女性の疾患が増える一因かもしれません。
Mika : 「外見よりも内面を育てる」というテーマは、女性にとって永遠の課題ですね。誰しも美しくなりたいと思うのですが、それがどのように女性の疾患に関与しているのか、教えていただけますか?
相良:鏡を見て、スマホの中の人や周りと比べたりすると、キリがなくて、ストレス状態になると思うんだよね。もっと細くとか、もっと可愛くとか。ただでさえ、日々の毎日で大変なのに、女性は美に対して敏感だから、もっとバランスを崩してしまう。一瞬で手に入る美しさより、長い目で自分と向き合い、受け入れていくのが大事。今の自分に対し、自信を持つこと。それを引き出してくれるのが、アロマを取り入れたバランスの取れた生活なんじゃないのかなと思う。
Mika : ただ、昨今のルッキズム文化には、日本の文化や日本人男性の価値観にも原因がある気がします。ヨーロッパでは、古い建築物や、年を重ねた女性に魅力を感じますが、日本の男性は可愛くて、若々しい子の方が好きじゃないですか。(笑)
相良:・・・そんなことないでしょう。日本の男性を代表して言いますが(笑) 多くの女性が、そうやって負荷をかけているものを取っていかないと、と思うんだよね。美意識があって、そこに対し努力をしているのはいいことだけど、時間軸を早めないこと。一瞬で手にした美しさに、内面が備わってないと、結局同じことの繰り返しだから、もっともっとって苦しくなる。それが現代の女性を追い詰めている原因だと思う。
Mika : アンチエイジングも大事ですが、年齢を重ねることを楽しむ「エッジウェル」という考え方も素敵ですよね。子育てや日々の家事、筋トレなど、日々の小さな目標を続けることで、楽しみながら年を重ねることができると思います。自分の役割を再認識し、それに向けて努力や勉強をすること、現在の自分に自信を持つためにも、恒常性を一定に保ち、ヘルシーな身体作りが大切です。早急な結果を求めるのではなく、長期的な視点で内面と外見の両方にアプローチできるアロマテラピーは、現代の女性にぴったりだと思います。私のサロンには、私よりも年齢が上の更年期世代の方も多くいらっしゃいます。そのような方に対して、アロマはどのような働きがありますか?
相良:更年期を遅らせることは難しいけど、更年期をどう捉えるかを変えることは出来るよね。「更年期になっちゃった」ではなく、更年期である事を受け入れ「更年期だけど、どうやって快適に乗り越えようか」の様に、捉え方を変えていく。また、出ている様々な症状を軽くしてくれるような、アロマの使い方があるんじゃないかと思います。
Mika:例えば、エストロゲンの分泌を促進する精油や、リラックス効果のあるラベンダー、ゼラニウムやクラリセージ、リフレッシュにレモンやミントなどがよく利用されます。また、ストレスの軽減や睡眠の質向上にも役立つので、上手く取り入れて欲しいなと思います。
相良:おすすめの使い方はあるの?
Mika : 更年期に限らず、すべての女性に自宅でのアロマトリートメントをおすすめします。発生学的に、脳と皮膚は同じ外胚葉から発生しているため、皮膚を撫でることは脳をマッサージするのと同じくらい、癒し効果があると言われています。
植物油に精油を数滴加えるだけで、化粧水前に顔に塗布したり、身体を優しくマッサージすることで、疲れた部分をケアできます。
精油は分子が小さいので、アロマトリートメントをすると、成分が毛細血管にまで入り、全身を巡ります。私の生徒さんで、セラピストをしている方は、お客様をトリートメントすることで、彼女自身にも精油の成分が浸透し、徐々に美しくなっているので、見ていて嬉しいです。また、トリートメントしながら、香りも楽しめるので、癒し効果も抜群です。香りの分子は脳に伝わり、瞬時に気分を切り替えたり、リラックスできたりするため、嫌な気持ちを引きずることが少なくなります。バスソルトも、身体と心の両方を癒してくれるので、おすすめです。
相良:いろんな使い方があるんだね。アロマで細胞を活性化して、内面から綺麗になっていき、ストレスを減らして、考え方も前向きにしていく、そうやって続けていくことが心も体も健康にしていくんだよね。
Mika:ストレスが溜まると、呼吸が浅くなり、肩にも力が入ってしまうので、香りを嗅いで、深呼吸を促し、副交感神経を優位にするだけでもだいぶリラックスできますよね。意識して取り入れて欲しいなと思います。生理不順や、更年期をはじめ様々な女性特有の疾患にならないよう、未然に防ぐのと同時に、毎日コツコツアロマテラピーが広がっていったら嬉しいです。本日も貴重なお話、有難うございました。
相良:有難う。今年も皆さん頑張りました。良いお年をお迎えください。
皆さん、「女性特有の悩みや疾患緩和に活用したいアロマテラピー」はいかがでしたか。香りの力を上手く使って、毎日心地よく過ごしましょう。Aromatiseでは、各種レッスンや、視覚対策講座を開催しております。詳細はHPまたは、インスタグラムをご覧ください。