実際に不妊治療をしてみて感じたこと
なんとなく大変だとは聞いていた不妊治療。いまいち何が大変なのかピンと来ていなかったのですが、実際に受けてみて私が感じたことを書き留めておこうと思います。
※私が受けたのは排卵誘発剤を用いたタイミング法でした。人工授精や体外受精に進まれている方からしたら、それくらいで大変とか言うな!と思われてしまう内容かもしれませんが、一感想としてご覧いただけたら幸いです。
(1)自分ではコントロールできない予定
排卵誘発治療と言われて薬を飲むくらいだろうと軽く考えていた私。実際には服薬後、ホルモン数値や卵胞の大きさを見てもらうために、週に何度も通院しなければなりませんでした。通院の日程は、歯医者のようにこちらの都合で決められるのではなく、全て卵子の成長具合によって指定されるため、これがかなりストレスでした。
私の働いていた会社は、フレックスや在宅勤務など比較的融通の利く職場ではありましたが、営業職という職種柄、1~2週前にはお客様とのアポが決まっていることが多く、直前に何度もリスケをお願いすることは信用問題的にも仕事の進捗管理的にも、難しいなぁと感じていました。
(2) 先の見えない不安からくる消極的な気持ち
治療をしたからと言って必ずしも結果が出るとは限らないこと、先々の予定が見通せないことが不妊治療の一番の大変なことなのかなと思いました。
私は友人と旅行に行くのが大好きで、よく2~3か月先の予定を立てたりしていたのですが、「もしかしたらこの時期には妊娠して旅行に行けなくなるかも…」などと思い、なんとなくやんわり遠方への遊びの誘いは断るようになりました。
事情を知らない友人たちからしてみたら、突然人づきあいが悪くなった嫌な奴だったと思います。今考えたら、妊娠したらしたでその時は事情を話してキャンセルすればいいだけの話なのですが、当時はそれだけ深刻に考え、ふさぎ込んでいたのだと思います。(しかし、そういう時に限って妊娠せず、やっぱりあの時一緒に旅行に行っておけばよかった…と後悔するのです…。)
また、プライベートだけではなく、仕事も消極的になっていました。それまでは割と「どんな仕事も頑張ります!」と前向きだったのに、「今このプロジェクトに入ってしまったら、途中で妊娠して迷惑をかけるかも…」「せっかく不妊治療を頑張っても、また仕事のストレスでホルモンバランスが崩れて治療がうまくいかなくなるかも…」などの考えがよぎり、翌期以降の計画目標が全く書けなくなってしまいました。
「仕事なんて適当にやればいいじゃん」とよく先輩からは言われていましたが、やるからには一生懸命やりたかった私には仕事と治療を両立させることは無理だなと感じていました。
(3) 身体的負担
タイミング法だったので、身体的な苦痛はほぼなかったのですが、私の場合、服用していた薬(レトロゾール)との相性がいまいちだったのか、発熱や頭痛、倦怠感の副作用がありました。※レトロゾールは一般的に副作用がほぼない薬と言われています。
普段分泌していないホルモンを無理やり薬でコントロールしているため、何かしら体に変化があるのは仕方ないこととわかっていても、毎回この副反応が出るのは大変だなぁと思いました。
(4)世間の理解不足/追いついていない会社制度
不妊治療を始めたことをきっかけに、これまでと同じ働き方はできないと思った私はその旨を男性上司へ相談しに行きました。しかし、お子さんはいても不妊治療を経験していない方にとってはいまいちピンとこない内容だったのか、「不妊治療って何がそんな大変なの?薬飲んだら治る病気じゃないの?」「治療しながらでも両立して働けばいいのでは」と何度も説得を受けました。
その場では「なるべく配慮する」とは言っていただけたものの、営業という仕事内容的には大きく変わる見込みが薄かったこと、また治療への解像度の低い人たちの下で働き続けることは精神的にも厳しいと感じ、結局退職を決めました。
最終的に、同じ治療経験者の総務の女性の方には「治療しながら仕事って現実的に難しいよね」と理解はしてもらえましたが、世間一般的にはまだまだ不妊治療って理解されてない事なんだなぁと痛感しました。
昨今、少子化対策で妊娠してからの制度は徐々に整ってきてはいますが、妊娠する前段階の会社の制度や理解はまだまだ少ないのが現状です。(産休・育休もまずは妊娠しないことには使えない制度ですからね…)
だからこそ、みなさん有給を使ってうまくやりくりされているのだと思いますが、もうすこし治療している人たちにも優しい世の中であってほしいと願うばかりです。