NFTの作家さんが「海外」を目指すのに必要な5つのこと その3 補足
こんにちは。
2023年5月24-25日のリスボンNFTイベントで、日本アンバサダーを務めます楠です。
2回にわけて「海外」に進出したい作家さんの心得?を書いてみました。
正攻法なんてないのですが、現代美術のアーティストがアメリカやフランスで評価されるポイントを振り返って、考えたものです。
復習すると
①自分の作品を言葉にしよう
②社交的になってコレクターと交流しよう
③市場調査をしよう
④英語を味方にしよう
⑤海外を知ろう
でした。
今回は、補足をしてみたいと思います。
【NFT作家さん、どこまで自分でやる?】
本当はアーティストは制作活動に専念して欲しい。
だから私は、プロデュースをする仕事につきたいと思ってきました。
彼らはただただ、作品を作っていればいい。
そして、プロデュース側の人間が、彼らの作品を欲しい人に売る。
これがスタンダードなアートのビジネスモデルです。
今NFTでは、アーティストとコレクターが直接売買できるようになりました。
素晴らしいことだと思います!
だから、自分でできる人はぜひ、直接コレクターさんにお迎えしてもらってください!
でも、できないなら、今後きっと出てくるであろう仲介者にアウトソーシングするのも、悪くないと思いますよ。
手数料をとるだけの仕事は、仲介者であるギャラリーはするはずですから(ちゃんとやってくれるかどうかは、ご自身で吟味してくださいね)。
【マーケットプレイスもぴったりのものを選ぼう】
今、Openseaには玉石混交の作品がごまんとあって、好きな作品を探し当てることができなくなってきました。
それに代わるさまざまな特徴をもったマーケットプレイスも出てきましたよね。
必ずしもOpenseaがよい、という時期ではなくなってきたので、埋もれてしまわないよう自分のスタイルにあうマーケットプレイスを選ぶのもいいかもしれません。
マーケットプレイスは、今後、どれがどんな特徴があるかをリサーチしてシェアしたいと思います。
それまでお待ちくださいー!
【自分のアート性を磨け!】
ちなみに、今はツールもたくさんあるので、なんとなくアートっぽい作品は誰にでも作れます。
これが玉石混交の「石」が多い理由だと私は思います。
例えば「ピカソっぽい作品」と「ピカソの作品」の違いを考えた時、何が違うでしょうか?
それが正解ではないのはわかっていますが、少なくともピカソは完璧なデッサン力、空間把握の能力、絵画のさまざまなメディウムの使い方などの基礎ができた上での、「崩し」や「否定」としてあのような作品ができているんですよね。
ただデッサンが狂っている(絵が描けない)人とは違うんです。
うーん、絵が描けなくても有名なアーティストはいっぱいいるので、この書き方はやっぱり違うなぁ。
でも、絵の描けないアーティストも、描けるアーティストも、究極は「アート性」の有無だと私は思います。
が、これを説明するのが難しいので、せめて「絵」なら絵心を持とう!ということです。
NFTは始まったばかり。
今後きっといろいろなものが整って、自然淘汰が行われると思います。
誰でも最初は「石」ですから「ヘタウマが私のスタイル」と頑固な自己満足アーティストにならずに、今のうちに磨いておきましょう。
かたちを上手に描くという技術だけじゃなくて、かたち遊び、色遊び、空間把握、それを動かすスピード、しなやかな動きなど、いっぱい磨けるところはあるでしょう。
【何を伝えたくて作品を作るのか?】
技術は本当はどうでもよくて(もともとあるに越したことはないのですが、絶対条件ではありません)、やっぱり「何を伝えたいか」ということだと思います。
それはただの作家の熱いパッションのことを言っているのではなくて、鑑賞者の感情を揺さぶるようなメッセージ性ですね。
アーティストが政治的な問題を題材にして、炎上することが日本でよくありますが、アートは政治じゃないので、アーティストに抗議が殺到するのもどうかなーと思うんです。
アートって時代の先端で問題提起をする役割もあるので、センセーショナルになりがちですが、作品を見て私たちが「そんな問題があるんだ、気がつかなかった」と考えるきっかけになればいいんですよね。
ショックだった、悲しくなった、怒りがこみ上げてくる、真剣に考えなくては!などなど、影響を与えることができるものでもあります。
だから、必ずしも美しかったり、上手だったりする必要はないんです。
表現方法はどうであれ、鑑賞者の感情を揺さぶるようなメッセージ性が作品にあると「強いな」「いいな」と私は評価しています。
「描くのが好きだから」というのも作家になる動機としてはとても素敵だと思うのですが、それだけでは鑑賞者に影響は与えられません。
作品を通して伝えたいメッセージが届くような作品、作れたら素晴らしいと思います!
【世界で認められるアーティストをリサーチしよう!】
最後に、1990年代の終わりの村上隆さんが世界で評価されたころのお話を。
彼は東京藝大初の日本画博士号を持っているほど、ものすごい画力の持ち主です。
経歴で言えば、世界一の「日本画家」ですね。
でも、彼の初期の作品は現代美術でした。
日本の現代美術界でもちょっとは話題になったけど、まだまだこんなもんじゃないと思ってらしたのでしょう。
彼には世界を見る目がありました。
日本の小さなアート界からひとっ飛びに世界(アメリカ)のアート界にひとりで乗り込んで(ギャラリーの後ろ盾もあったと思いますが)、あちらでまっさきに評価を得た人。
まさに、時代を読んで、勝ち筋を見つけ、そこに賭けて、世界に躍り出た人です。
彼のおかげで、日本の現代美術業界が変わりました。
日本の現代美術史が変わりました。
世界が日本のアニメ文化を「芸術」だと認めました。
私はその時代の変化を身近に感じていたので、この話をするとフランス人たちは興奮するんですよ!
だからMurakamiはすごいんだ!って。
村上さんのように世界で認められている日本人アーティストは何人もいます。
日本人のNFT作家さんも、世界で認められる人が出てくるのは当然です。
今なら、村上さんはもちろん、新星Galversの草野絵美さんもそうですね。
彼らは、私が挙げた①から⑤まですべてできている人です。
でも、彼らの努力は並大抵ではないですよ!
こういう先陣をきったアーティストの作品、ことば、行動をぜひぜひリサーチしてみてください。
きっとヒントがあると思いますよ✨
私はアーティストじゃなくてプロデュース側でいたい人間ですが、日本の作家さんがフランスで活躍できるように、クリアしなくてはいけない課題でいっぱいです。
でも、フランスで日本人が注目されることを少しでも応援できたらいいなーと思っています🔥
一緒に頑張りましょう!!
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