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アロマ講座の作り方〜アロマバスソルトづくり

日々アロマの資格を取得された方から、先生のようにアロマの活動をしたいですと言われます。「やってみてはいかがですか?」と背中を押すも、なかなか踏み出せない方が多いように思います。

私のようにとりあえずやってみる行動派の方もいれば、こうやってやりますという理論を知って、計画をたててやる計画派の方もいるかと思います。

今回のnoteでは、直近のアロマバスソルトづくり講座を例にして、普段は言語化してお伝えしてきて来なかった『アロマ講座をつくり方』をお伝えします。
アロマの勉強をはじめて15年、アロマやハーブの講座をしはじめて9年目とまだまだひよっこな私でございますが、お役に立てる部分があるといいなと思います。

出張講座時の様子

アロマ講座の目的

例とする講座は、生活の木パートナーショップ/AEAJ総合資格認定校・アロマとハーブの店マミー(マミーアロマテラピースクール)で毎月行っているアロマ講座で、1月の講座「温活・エプソムソルト×和精油でアロマ入浴剤づくり」です。

アロマ講座の目的として、アロマ講座の内容を「温活・エプソムソルト×和精油でアロマ入浴剤づくり」にした理由は、2点あります。

①アロマでできる温活習慣のご提案

②生活の木から新しく販売されたエプソムソルト商品の販促

①アロマでできる温活習慣のご提案については、
1年でもっとも寒さが厳しくなる季節に向けて、おうちでできる温活ケアとしてもっとも簡単なアロマバスソルトづくりを提案したかったためです。

②生活の木から新しく販売されたエプソムソルト商品の販促については、薬機法等の関係で露骨にこんな商品がでます、その効果は○○ですとはもちろん申し上げません。

そもそもエプソムソルトってなに?なぜ、どのようにいいの?
その魅力について知らなければ購入のしようもないため、美容や健康維持のための商品を購入する前提知識をお伝えしています。

講座の結果、こうなったらいいなというゴール(講座の目的)をしっかりと見据えれば、時間に限りある中でお伝えする講座内容をしぼるうえで役に立ちますし、目的が達成されれば参加する人数の多い少ないでメンタルが左右されることもありません。


今回の講座のゴールは、
一人でも多くの方にエプソムソルトについて正しい知識を身につけていただき、制作時および使用時にアロマの香りで癒されつつ、美容・健康維持できる入浴習慣をもっていただくこと、

また、実際に効果を感じられた方にエプソムソルト商品や使用した精油等をご購入いただくきっかけになること、です。

告知時の写真

講座内容の検討

次に、アロマバスソルトづくり講座をやっていくにあたって講座内容として考えられることを言語化してみます。

アロマバスソルトは、精油を無水エタノールや乳化剤などに溶かしたものをバスソルトに混ぜるだけでできる簡単なアロマクラフトです。

ユニットバスのおうちや沖縄など一部の地域を除いては、日本の家庭のほとんどにはお風呂があるため、参加者にとって使いやすいアロマクラフトです。
そのため、アロマの資格をとられたばかりの”はじめてのアロマ講座”に向いています。(わたしもはじめてのイベント出店ワークショップはバスソルト作りでした)

誰でもつくれるクラフトではありますが、知識と経験があればひと工夫もふた工夫も加えられます!

バスソルトは何を使用するのか

まず、ソルトはなにを使用するのか?という点について検討します。
ミネラル豊富なバスソルトのうち、死海の塩(デットシーソルト)もありますし、今回のようなエプソムソルトもあります。

講座の目的や予算に応じて、ソルトの種類や量を考えます。
透明な容器にみえるようにいれるだけで可愛いピンク岩塩もありますし、
色付けをを行ってもいいと思います。

→今回の講座では、エプソムソルトの魅力を伝えることが目的ですのでエプソムソルトを選択します。

効果が感じられる1人当たりの使用量やコスト、満足度なども考慮して、同じくお風呂に使用できる重曹やミルクパウダーを混ぜてみても面白いかもしれません。

講座で使用した精油たち

精油はなにを使用するか

次に、バスソルトに精油はなにを使用するか?を検討します。
シングル(ひとつの精油)なのか、ブレンドなのか、アロマの専門家としての腕の見せ所ですね。
ブレンドするにしても何種類入れるのか、
香りは、シトラス調なのか、フローラル調なのか、諸々検討していきます。

皮膚にやさしい精油を使うということは、大前提です。
「皮膚刺激がある精油」は一切使えないという意味ではなくて、参加者の属性に応じてリスクがどの程度あるか、という思考をするようにお願いしたいです。

例えば、ユーカリは一般的には皮膚刺激があるのでバスソルトには使わないという方もいらっしゃるかと思いますが、わたしはラベンダーとユーカリの優しくすっきりした香りが好きなのでお風呂に(トリートメントにも)使用することがあります。
その際は、皮膚にやさしいラベンダーと一緒に使うことや、ユーカリの中でも比較的マイルドなラディアータ種を使用し、リスクを下げています。

皮膚刺激以外にも注意が必要なのは、柑橘系精油とメントールの含まれるミント系精油です。

柑橘系精油は、多くの方に好まれる香りの精油ですが、香りの分子がちいさく、ピリピリと皮膚刺激を感じる方がけっこういらっしゃいます。
ゆず湯に入るとピリピリするという感覚ですね。
そのため、人気の香りではあるのでご用意はしつつも、そういったことがわかっている方には避けられるように、柑橘系精油以外の精油も必ずご用意しています。

メントールの含まれるミント系精油(ペパーミントやハッカ)は、皮膚表面に冷感を感じる作用がありますので、特に冬は入浴後寒くなってしまうので避けます。これらはそもそも皮膚刺激もある精油たちですが、真夏のお風呂に使用すると体は温まるのに涼しく感じてとても気持ち良いです。
安全な濃度を守って、大人の方が使用する場合には良しとする時もあります。

もちろんアレルギーや持病がある方には禁忌となる精油は制作時にとり除きます。アロマテラピーをしていて初めて知ったのですが、一見するとお元気ですが、てんかんをお持ちで薬を服用されている方が意外と多いということです。

お風呂に安全に使える精油たちの中から、参加される方の属性がわかればそれに応じた精油選びが大切です。

例えば、アロマに慣れたアロマ好きの方が参加されるような講座の場合は、はじめて嗅ぐ精油!というような新鮮な体験ができる珍しい精油をご提案することもあります。

反対に、普段はアロマを使用されていない一般の方が来場されるようなワークショップでは、オレンジやレモンのように食習慣ある精油が受け入れやすいのでご準備します。

年齢層も対象があればあわせます。
高齢の方が対象の場合は、ひのきやゆずなど日本の香りの中から昔からお風呂と結びつきが強い精油を。

お子さまは低学年~中学年の方はスイートオレンジが一番人気なので必ず用意するようにしています。
反対にラベンダーやローズマリーなどのハーブ系は複雑な香りがダメなようでお子さま方に臭いと言われることが多いです笑
(大人でも香りを言語化するのは難しいのですが、まだ言語的に表現されることが難しいお子さまが、香りに対して感じられた違和感はだいたい「臭い」と表現されることが多いです)

嗅覚はその方の感じ方や好みによる部分がとても大きいですが、そういった差異が出てくるのは中学年以降だなと感じています。

親御さまが画家やハンドメイド作家などで、平素から芸術に触れていらっしゃるお子さま方はやはり感性も育っているようで、中にはカモミールローマンのように複雑な香りを好む子もいました。

ちなみに、AEAJの調査によりますと、AEAJ会員(多くはアロマの有資格者)が沐浴法によく使用されている精油は、ラベンダー、ゼラニウム、スイートオレンジ、ローズマリー、フランキンセンスだそうです。

→今回の講座は、AEAJ総合資格認定校でもある会場にて、月替わりで行われているアロマ講座です。

マミーにいらっしゃる方々は、アロマテラピーインストラクターなど資格を取得された方がその後何年も毎月いらっしゃってくださっている場合もあれば、これからアロマを学んでみたいという方も、勉強や仕事ではなく生活を豊かにするという手段でアロマを楽しんでいらっしゃる方もいらっしゃいます。男女比は99%ぐらいが女性なので、女性が好まれること、使用されることを前提としています。

女性向けではあるものの、月の講座には受け入れやすい香り、かつ新しい発見もあったら!という矛盾するようなニーズがあります。

今回は受け入れやすいという点では、日本人にとって安心感の和精油を使用していること、ゆずやバラに似た香りのゼラニウムのように嗅ぎなれた香りが選択肢があること、

新しい発見を与えるという点では、マミーでも取り扱いはないが、和精油としてひのきやゆずのように人気がでるのではないかと講師が注目している「トドマツ(北海道モミ)」精油を使用しました。

なぜ単品ではなく、ブレンドなのかという点については、しっかり香りを香らせたいから、奥深い香りにしたいから、アロマスクールでの講座ということもあるので(自分でネットを見てつくったとは違って)いいものが作れたという満足感を与えたい、というところから来ています。

ただ、アロマの勉強をされていない方や、生活を豊かにするためお楽しみでいらっしゃる方にとって、一からブレンドしてくださいというのは難しく、いい香りに仕上げられなければおうちで使用された際ガッカリされてしまいます。

そのため、今回は例として講師が2種類のブレンドを準備し、どちらかを選んでいただきそのブレンドレシピでつくっていただくことで必ずいい香りのバスソルトを持って帰れるようになるようにしました。

今回は、エプソムソルトの効果をより感じていただくために、入浴→質の良い睡眠→疲労回復となることを目指し、安眠につながるようにセドロールという香り成分を活用したウッディな香りの和精油ブレンドとしました。

・シトラスウッディの香り:ゆず、ホーリーフ、青森ひば
・フローラルウッディの香り:ゼラニウム、ホーリーフ、トドマツ(北海道モミ)

ここでは割愛しますが、講座時に配布するレジュメには滴数も含めて書いています。
そうすることでまた作って入りたいという方がいらっしゃれば、エプソムソルトや必要な精油をマミーでご購入いただくきっかけになり、お店の売上に貢献できることになります。

キャンドルなど使用する精油の量が著しく多い講座でなければ、材料の精油はゆとりをもって用意しているので、アロマブレンドデザイナーの資格をお持ちなど、自分で判断することが可能な方に関しては自由にレシピを変えてつくっていただいています。

今回はアロマブレンドデザイナー資格をお持ちの参加者の多くが、トドマツ精油の香りに魅了され、自分でレシピをアレンジされてアロマバスソルトを制作されました。

精油を安全に使用するための手段

また、精油を安全に使用するための手段としてなにを使うか?も色々考えられます。
精油は水には溶けにくい性質をもっているため、そのままお風呂にたらしてもお湯の表面にぷかぷか浮いてしまい溶けません。

また以前はバスソルトに精油をたらしてバスソルトをつくっていたときもありましたが、AEAJの実験によりその状態でおふろに入ると皮膚への刺激になってしまう場合があることがわかりました。
AEAJ(公益社団法人日本アロマ環境協会)は、2020年より沐浴法の方法を変更し、無水エタノールに精油を溶かし、それをバスソルトと混ぜてつくるように変わりました。

そのため、AEAJ総合資格認定校であるマミーでつくるアロマバスソルトは、生徒さん、卒業生に正しい知識を提供するため、AEAJの方法になるべくそうようにしています。
状況に応じて、保湿成分にもなる植物油(ホホバオイルなど)に精油を溶かしてバスソルトと混ぜたり、精油メーカーさんが独自に製造・発売されている乳化剤を使用するなどしてもおつくりいただけます。

クロモジチンキ

→今回の講座はウッディな香り、しかも質の良い睡眠につながるような和精油を使用するバスソルトづくりということで、コスト等を考えずアロマ好きとして使用したいと浮かんだ精油は、実は「黒文字(クロモジ)」でした。

しかし、クロモジ精油はそもそも採油率が低く希少な精油。
現在化粧品材料や香料としても大人気で高騰しています。
そのため、毎月開催される月替わり講座の参加費(だいたいいつも3千円程度)で材料として使用することは難しかったです。

なにか工夫してクロモジが使えないか知恵をしぼったところ、香りは精油ほどしなくても、クロモジのもつ鎮静作用や安心感は、無水エタノールにクロモジを浸出させることで少し期待できるのではと考えました。

アロマテラピーでは「精油を用いて」ということが大前提となってきますが、歴史を振り返り、精油が効率的に蒸留される以前は、芳香植物を油に漬けたり(浸出による香油やアンフルラージュ)、アルコールにつけたり(薬酒、チンキ剤)して使用されてきました。

その知識を応用して、精油をお風呂に安全に使用するための無水エタノールを、クロモジの成分が一定程度含有されたチンキ剤にしてはどうかと思いました。

※チンキ剤:目的に応じて無水エタノールやウォッカ、キッチンリカーなどのアルコールに芳香植物を2週間ほどつけて、植物のもつ水溶性・油性成分を抽出したもの

材料以外で追加で必要なもの

アロマバスソルトの材料からすれば以上ですが、安全性や香りの満足度だけでなく、オシャレなデザイン性やつくりやすさ、使いやすさなどを考えると、追加で他になにが必要か?も考えます。

アロマクラフトのワークショップ活動に慣れていない方が一発でわかるのがこの部分。
使用期限をつたえるものの日付を書いておくラベルがなかったり、
制作に必要な器具が足りなかったり、
参加者が制作物を持ち帰ることを想定しておらず、作り終わってからどうやって持って帰っていただこうかと焦る場面も。

→今回の講座では、
・エプソムソルトをいれる容器(150g入るサイズでダイソーで購入)
・クロモジチンキと精油を混ぜるときに使用するプラスティックビーカー(通常マミーにあるため用意はしませんが、他の場所での出張講座時は持参する)
・エプソムソルトと精油たち、飾りのハーブなどを混ぜるのに使うビニール袋
・香りを選んでもらうためアロマブレンドの少量サンプルとそれをつけてお渡しするムエット(試香紙)
・バスソルト使用時にハーブがばらけて掃除が大変にならないよう一回分をいれて繰り返し使うためのオーガンジー袋
・何をつくったかと日付を書いて貼るラベルなどを用意しています。

デザイン性では飾りとしてハーブ(ローズとカレンデュラ)とドライのゆず皮をご用意。
自分で乾燥させて用意することもありますが、なるべく新鮮な食品のものを、ハーブ専門店や100円ショップ、製菓店などで購入していますので普段からアンテナ広くチェックしています。

今回はエプソムソルトの良さを感じていただきたかったので色付けは行いませんでした。
しかし、一般の方向けのイベントワークショップなどでは見をひくことも必要なので、食紅なのか、ハーブなのか、化粧品の着色料なのか、その時の目的に応じて選んで使用しています。


バスソルトの材料に関しては、ソルトも、精油も、無水エタノールも、保湿成分も、飾りも、色付けも、容器まですべてにこだわりを持ち、なんでもかんでもぜいたくにすれば最高!と思われるかもしれませんが、

もしアロマの活動をお仕事や副業として継続して行っていかれる場合は、講座の目的にしぼってどこかで線引きするのが必要かと思います。

一つの講座をやるだけでこれだけの内容を頭の中で考えたうえで、材料を仕入れてサンプルをつくり→講座内容を修正→写真を撮り、魅力伝わる適切なコピーを考えて告知→講座の準備を行っていきます。

ただ、アロマクラフトの作り方を知っていることと、
それを参加される方々のために適切な形に整えサービスとして提供することはまた別次元です。
講座やワークショップは材料費がかかるため、利益として手元に残る部分も多くないです。

アロマワークショップ材料


ここまでの長文を読んでくださった方ならご理解いただけるかと思いますが、立ち話として生徒さんからいただく「ワークショップをやりたいがどうしたらいいかわからない」という質問に対して、こんなに重いことをお伝えできません。笑
きっと皆さん「私には無理!」と思われるから…。

そのため、一歩ずつやってみればいいんじゃないですか?という適当な印象を受けるであろうことしかお伝え出来ずに申し訳なく思っていました。

コンサルティングをやってほしいというお声もありますが、上記のことをお伝えしたうえで、その方の講座の目的に応じて的確なアドバイスをしたいと思っているので、ご自身でまずは考えてやってみていただきたいです。
それでも難しそうな場合は、アロマコンサルティングという形で、その方の必ずお役にたてるようお手伝いいたします!

わたしはこの流れを半ば無意識に、月に何回も、毎月、もう何年も行ってきました。
そのため、この記事を機会に言語化してお伝えできまして、本当に良かったです。

アロマ講師っていうのは甘くないんだなと厳しい印象だけを植え付け、夢を打ち砕いてしまったらごめんなさい。

私にはこれが天職だと思っていて、アロマ講座中は、特にアロマのブレンドについてお伝えしているときは誰よりも楽しんでいます!

人間としてもアロマ講師としても未熟で、伸びしろだらけでございますので、この記事もまたアップデートする日が来るかと思います。

引き続き、天然アロマの香りで関わるひとを笑顔にすべく、精進してまいりますので、よろしくお願いします。

アロマブレンドデザイナー / アロマ講師 かたみ まき

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かたみ まき / アロマブレンドデザイナー
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