ウルトラ浸出のパチュリの石鹸の話(その1)
ドーンと2袋届いたパチュリのドライハーブで「石鹸を作ってほしい」というご依頼をいただきまして。
「これだけあるならいろいろ実験できるかもしれない」
そう思ったいりあは、ご依頼人とやりとりをして
・パチュリの冷浸出油、精製水をパチュリのハーブティーに置き換えた石鹸(精油あり・精油なし)
・パチュリのウルトラ抽出石鹸 (精油あり)
の3種類にチャレンジすることになりました。
「冷浸出油、精製水をハーブティーに置き換えた石鹸」はいりあの石鹸でもおなじみの「ユーカリプタスラブ」や「カモミール石鹸」と同じ作り方。今回初チャレンジするのは「ウルトラ抽出」という方法。
「冷浸出油」は言葉からイメージできるように、ハーブをオリーブオイルなどに浸して数週間おいて有効成分をオイル内に抽出させる方法。そのオイルを使って石鹸を製作するのですね。
「ウルトラ抽出」というのは、正式な名称なのかどうか(笑) でも、手作り石鹸の世界では時々聞くことがある抽出方法で、少量のエタノールでハーブを湿らせてエタノールにハーブの有効成分を抽出させた後、オイルを加え、80℃ほどで加熱しながらエタノール成分を飛ばして有効成分をオイルに残していく・・・というもの。そうすると、冷浸出法より、濃く抽出できるという訳なのですね。
最後にハーブを漉してできあがり。
でも、この抽出液を使って石鹸を作るのはかなりリスクがあります。
石鹸は、油脂(酸性)と劇薬指定である苛性ソーダや苛性カリ(強アルカリ性)を反応(鹸化)させて作ります。その時にエタノール成分が残っていると、異常な早さで鹸化が進んで失敗することが多いのですよ。
激しい反応を起こさないようにするためにはどうしたらいいのか。あれやこれやネットで調べて、
・しっかり時間をかけてオイル内のエタノール成分を飛ばすこと
・低い温度で作ること(通常、いりあの石鹸は60℃前後で製作していますが、今回は40℃で製作)
・鹸化反応が早いオイル(米油など)を避けたレシピにする
ということで、今回のレシピはあまり冒険をせず、
・オリーブオイル(ウルトラ抽出用)、ココナッツオイル、パームオイル、スイートアーモンドオイル、マカダミアナッツオイル、過剰油脂(鹸化させずに石鹸内に残すオイル)としてシアバターをプラス。
香りはパチュリだけではバランスが悪いので、他にユーカリラディアータ、ティートゥリーをブレンドすることに。
鹸化率は90%、水分量はやや固めに出来上がるように油脂全体量500gの33%(165g)にしてみました。
さてさて、どんな石鹸に仕上がるか・・・。
そのお話はまた近いうちに。