「本と香りをめぐる対談集」Vol.9「アルマ 運命のペン」~文学アロマフェア~
2021/12/6(月)~12(日)文学アロマフェア~大切な誰かに贈る1冊の香り~@BOOKSHOPTRAVELLER
BOOKSHOP TRAVELLERは、約100人のひと箱店主たちが棚を借りてつくる下北沢の本屋。そこに集う個性豊かなひと箱店主たちと、“言葉×香りのアロマセラピー「読むアロマ」”のアロマ書房のコラボレーション企画のレポートnote「本と香りをめぐる対談集」を連載していきます。第九回目は総合出版社「朔北社」の松崎美奈子さんです。
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ひと箱店主:朔北社 松崎美奈子
【プロフィール】
絵本、児童書、一般書(海外文学、音楽、評論など )を出版している小さな総合出版社です。他の出版社とは一味違う個性豊かな本を出版しています。
【選書した本】
アルマ 運命のペン(ウィリアム・ベル著/岡本さゆり訳、朔北社)
【作品概要】
小さな港町で母親と暮らすアルマ。家の手伝いをしながら、本を読み、物語を書き、作家になる夢を追いかけている。ある日、町の一番古い屋敷に気難しいおばあさんと娘が引っ越してきた。二人との交流から、アルマの運命が大きく動き出す。―それは、すべて一本のペンから始まった。
「本と香りをめぐる対談集」Vol.9
アロマ書房:こんにちは。今回、「大切な誰かに贈る1冊」ということで『アルマ 運命のペン』を選ばれましたが、選書の理由を教えてください。
朔北社 松崎美奈子(以下、松崎):本をテーマにした、物語を選びたいと思い、この本にしました。主人公のアルマは、本が好きで、大好きな作家がいて、その人の書くような物語を自分も書きたくて、その夢に向き合っています。やりたいこと、好きなことがあるっていいな、それがあるだけでも人は前を向けるのかなと思います。
物語は、主人公のアルマと、町に引っ越してきた気難しいおばあさんのリリーさんとの交流から、一気に動き出し、謎のときの要素も加わって、頁をめくる手が止められなくなり、一気に読んでしまうでしょう。そして、アルマとリリーさんの年の離れた友情、「裏切り」と「許し」、そこから大切な何かを感じてもらえると思います。10代の子たちはもちろんのこと、大人にもぜひ手にとってもらいたいです。今、自分がいる場所で、自分らしく頑張ろうとそんな気持ちになってもらえたら、嬉しいです。
アロマ書房:あらすじを聞いているだけでさっそく引き込まれてしまいました!今回、本をテーマにした物語を選びたいと思われたのはなぜでしょう?また、「本」は松崎さんにとってどんな存在ですか?むずかしい質問ですが(笑)
松崎:本を介して人が出会えるブックショップトラベラーでの出会いから、この企画に参加することができたからです。
「本」は、私にとって、どんな存在か…難しい。でも、本を読むことが好きでよかったなと思います。いつからかは定かではないですが、出かけるときは必ず本を数冊持って出かけます。それがあれば、どこに行っても相棒がいて一人で寂しくない。辛いとき、ワクワクしたいとき、どんな時でもその気持ちに寄り添ってくれる相棒がいるって感覚でしょうか。
アロマ書房:「どんな時でも寄り添ってくれる相棒」・・・なんかジ~ンときます。この作品を読みたいな、と思うのはどんな時だと思われますか?
松崎:夢を追いかけている時、未来に希望がいっぱいでワクワクしているとき。そして、その真逆になるのですが、自分の今いる場所に悩んだり、苦しくなった時。
どんな時に読んでほしいか考えてしまうとこんな答えになりますが、実際は、ちょっとした謎解き要素もあるので、本を読みたいなと思ったときに気軽に手に取れる作品かなと思います。
アロマ書房:確かに。手にとったときが「その本との出会い」のタイミングでもありますよね。先ほどの選書の理由に戻るのですが、「アルマとリリーさんの友情、「裏切り」と「許し」、そこから大切な何かを感じてもらえると思います」の、「大切な何か」とはどんなことだと思われますか?またまたむずかしい質問ですみません(笑)
松崎:生きるということ、でしょうか。人と繋がる、人と関わるのは、難しい面もあり、苦手な人、上手くいかない人もたくさんいて、悩んでる人も多いでしょう。私もそうですし。
でも、同世代と上手くいかなくても、今いる場所で上手くいかなくても、ちょっとだけ周りに目を向けてみたら、アルマみたいに歳が離れていても、気の合う友だちができるかもしれない。そんなふうに思ってもらえたらなーと思います。
アロマ書房:多分、年齢や環境にかかわらず、同じ悩みをもっている方がたくさんいらっしゃると思います。登場人物の姿を通して、自分自身の気づきになるのは、読書の最大のギフトですよね。
では次に、香りを作る参考にさせていただきたいのですが、作品の世界観を色に例えるなら何色でしょうか?
松崎:窓から光が差し込んでいる中で見るブラウン
アロマ書房:作品の空気感を表すとしたらどんな言葉になるでしょう?
※ 選択方式でお答えしていただいています
松崎:あたたかい、やさしい、外交的、内向的
アロマ書房:最後にひと言あればお願いいたします!
松崎:どんな香りになるのか楽しみです!
アロマ書房:むずかしいご質問にも丁寧にお答えいただきありがとうございます!お話をうかがって、「自分らしさ」や「居場所」といったキーワードが思い浮かびました。そのへんを踏まえて香りをつくってみたいと思います。どうもありがとうございました!
以上のお話から、わたしが作った『アルマ 運命のペン』の香りがこちらです。
『アルマ 運命のペン』ブレンドについて
【ブレンドレシピ】
スペアミント マンダリン ローズウッド
ゼラニウム ベンゾイン シダーウッド
この作品はもちろん、「本」という存在そのものに通じる「どんな時でもその気持ちに寄り添ってくれる相棒」をテーマに香りを作りました。香りのテイストは、作品の空気感から「あたたかい、やさしい、外交的、内向的」。
ブレンドした香りをひとつずつ解説していきます。
スッとした抜け感は、スペアミント。視点を変え、違った景色を見せてくれる。
マンダリンは希望の光を。「実り」のシンボルは、ビタミンカラーで元気をくれる。喜びや達成感を受け取ることを思い出す。
気持ちをおだやかにするローズウッドは、ほのかにローズ様の心休まる香り。中心を定め、自分の軸を立てるのを助ける。
外側の世界と内側の世界にバランスと調和をもたらすゼラニウム。感受性や創造力を活性化する。
その香りを嗅ぐと、子供のころを思い出すベンゾイン。呼吸とともに深く染み入り、温めてくれる。「窓から光が差し込んでいる中で見るブラウン」に精油の色を重ねて。
古代より神さまに捧げる薫香として使われてきたシダーウッド。まっすぐに伸びる樹木の姿に自分を貫く強さを見る。
自分らしさと居場所と。そして外の世界とつながるということ。一生懸命生きる私たちに寄り添い、元気や気づきをくれるそんな1冊と香りになりました。
アルマ 運命のペンの香りの感想
アロマ書房:完成した香りを嗅いでみていかがでしたか?
松崎:素敵な香りが届いて、わぁ~と声を出してしまいました。いろいろな匂いを消してから、ゆっくり一人になって、『アルマ』のことを考えなら、楽しみました。
第一印象、パッと頭に浮かんだのは、ミステリアスで、ちょっと背伸びして大人の世界、その先の世界を覗いた気持ちでした。そのあと、だんだんと視界がひらけていくようなイメージ、丸くなって小さくてもやもやした自分の周りが輪が広がるように明るくなる、そんな気持ちになりました。
感想になっていますでしょうか?
上手く言葉にできていないかもしれないのですけど……
香りの説明を見ないで感じた印象だったのですが、そのあと説明のカードをみたらピタリと当てはまっていて、びっくりしました。
あと本とは全く関係なく、私のすごく好きな匂いでした。
さわやかな気持ち。手帳に貼ろう!って思ってます。ちょっと立ち止まりそうなときに、私を奮い立たせてくれると思います。
本当にありがとうございます。
アロマ書房:香りからのメッセージをたくさんたくさん受けとってくださってありがとうございます。そして、日々の暮らしのなかで使っていただけるのは、本当にうれしいです。どうもありがとうございました!
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「文学アロマフェア~大切な誰かに贈る1冊の香り~@BOOKSHOPTRAVELLER」開催詳細
開催期間:12月6日(月)~12月12日(日)
会場:BOOKSHOP TRAVELLER(〒155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目30−11北沢ビル3F)
営業時間:12時~19時
定休日:水・木
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