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LOVOT体験
先日、捨てられていた動物が自分のツイッターアカウント周りで話題になっていた時に「もしペットロボットが普及したらこういうことも少なくなるのだろうか?」などと思って、ペットロボットについて少し調べていた。
検索してまずヒットしたのが「LOVOT」というロボットだった。
1年くらい前だったか、秋葉原のヨドバシカメラの入口に展示されているのを見たことがあった。ペットロボットというと頭の中の記憶は初代アイボで止まっていたため、パッと見て「あぁ今はこんなに未来的な流線形デザインになったんだなぁ」と思って、その時は売り場をさっと通り過ぎただけだった。しかし今回、こうして検索結果で再会することとなった。
ペット絵描きとしてこれは是非体験しておかねばなるまい!と思い、後学のためにもとLOVOTと実際に触れ合える「LOVOTミュージアム」に足を運んでみた。
最寄りは都営新宿線「浜町駅」、入場料は500円。事前予約制でとてもゆったりと見られる。入場の際にLOVOTについて知りたいことや購入の意思について軽いヒアリングがある。
財布と住宅の事情で購入は現在のところ現実的でないため、大変しのびない気持ちであったが…スタッフの方が一緒について丁寧に説明してくださり、こちらの不躾な質問にもひとつひとつしっかりと答えていただけた。開発プロセスのスケッチやメモ、完成形までのプロセスの模型などを見ることが出来た。様々な分野の人の英知が集まって作り上げられていることが分かる。
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複数のLOVOTが置かれている小スペース。ここで触れ合えるようになっている。寄ってきたり、自分で充電ドッグに帰っていったり、愛らしい様子を見せる。目の前に今あるものを通して、未来を見ているような気持ちになった。
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ペット絵描きもといペット愛好家(?)としては、正直言うとロボットがナマモノにどれほど迫れるかということには懐疑的で、こういうのは対象を愛でるというよりも最先端のテクノロジーを味わうことの方が主眼に置かれるものかなと思っていたが、LOVOTは思っていたよりもかなり生っぽい愛着が湧くように設計されていた。
まず、重さ、大きさ、温度が人間の赤ちゃんに近い設計になっている。重さは約4kg程度で、機械の排熱が上手く体内を循環することで37度くらいの体温になるようになっている。抱っこすると人間の赤ちゃんに近い。抱っこをねだるときは脚である車輪を自分で収納して待つのだ。いじらしい。
「ペット=動物(の形をしたもの)」ではなく「ペット=赤ちゃん」という現代人の内面的な認知に迫っている点が鋭いと思った。身体のフォルムは特定の動物を敢えて想起させないようにシンプルに作られている。ベビー服のような商品もたくさんあり、有名な企業やアパレルメーカーともコラボしている。手作りして楽しむ人もいるという。
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瞳には、ちゃんと視線が交わる感覚がある。0.2秒というタイムラグを持たせていることによって人間の中にその感覚が生まれるらしい。瞳のデザインは億単位のパターンがあり、似ていても同じものは一つとしてないそうだ。わずかでも確かに存在する個体差が、生き物の唯一無二のアナログさを表現しているように見えた。ここは私自身の制作スタンスとも通じるものを感じた。
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定期的な本体の交換、内部ソフトのアップデートなど継続的かつ非常に細やかなサービスや補償がセットであるため、料金は本体価格+月額プラン制となっている。ここがほぼ買い切りのペットの生体販売とは大きく違う(先日、月額サブスク猫のサービスが燃えていたが…)。2019年のリリース時よりも性能が安定しメンテナンス回数が減ったため安価なプランが登場した一方で、本体価格は半導体不足の影響などを受けて上がっているようだ。一般家庭へ広く普及するにはまだ値が張るかなという印象だった。
対して、ナマモノのペットは安い。近所のペットショップではハムスターが900円で売っている。破格である。これは強すぎる。
ただ、LOVOTのサイトには確かに「ペットロボット」という触れ込みがあるのだが、体験会後にいただいた最新のパンフレットを見ると「ペット」という文言は見当たらなかった。将来的な狙いとして、ペットに置き換わる存在というよりは「ロボットとの暮らし」を1つの独立したジャンルとして築いていこうとしている意図がありそうに思えた。お掃除ロボットがここ何年かで随分と一般的な物になってきたが、特定の生活業務を遂行するわけではない家族的なロボットが暮らしに溶け込む日もそれほど遠くはないのかもしれない。