柏レイソル戦 ロティーナ監督の真髄
こんにちは、少し時間が経ってしまいましたが今回は2-1で勝利した第6節の柏レイソル戦について少し触れていきます。
ロティーナ監督の凄さはこれまでの実績・チーム作りを見れば明らかですが、こと試合に関しては
これに尽きるかと思われます。
こちらはセレッソサポのAkiさんによる昨年のセレッソとコンサドーレの試合のレビューです。ロティーナ監督がエスパルスに来る事が決まって僕が最初に見直した試合ですが、一度見た時は「右サイドの松田陸が変わったポジションを取っているな」くらいしか思いませんでしたが、このブログを読めばその理由と効果が詳しく書かれています。
この試合の場合は途中で形を変えて最初に挙げたコンサドーレの攻め手を消して弱い所を突いていますが、今シーズンのエスパルスでも開幕戦のアントラーズ戦では相手の中央へのルートを封鎖してサイドに限定させて守ったり、セレッソ戦では河井を最終ラインに落として片山を上がらせた形で攻める等、その片鱗を見せてくれています。(両チームが人につく守備の為、サンタナの後ろの右IHの後藤が得点やチャンスを得たのも偶然ではありません)
そしてこの柏戦ではまさにロティーナ監督の真髄が見えた試合になりました。ではその柏戦を振り返っていきましょう。
対柏戦の戦略
まずは両チームのフォーメーションです
※柏の古賀選手は4 クリスティアーノ選手は9の間違いです
ともに形としては442となります。ここでロティーナ監督がどのようなプランを持ってこの試合に臨んだかを考えるにあたって、まずは今シーズンの柏レイソルがどのようなチームか知る必要があります。
といっても実際にレイソルの試合を観る時間もないので、こちらの2つのブログ記事を参考にさせてもらいました。(人の借りてばっか…
今シーズンのレイソルはオルンガが前線にいた昨年とは違い、①後ろから繋ごうとしてくる ②サイド攻撃 ③ボールを失ったら前線からのプレスで即時奪還を狙ってくるチームであるという事です。
そしてこれはあくまでこの試合を見てですが、サイドへの持って行き方としてこの試合のレイソルは右サイドの古賀・そして左サイドの三丸を経由して攻撃を組み立てようとしていました。ここから右であればクリスティアーノに良い位置でボールを届け、左サイドからは三丸のクロスがレイソルの大きな武器だったと思われます。逆にいうと中央に関しては選手の質からも、ゲームを組み立てる事に関してはそこまで怖さが無かったのだと想像できます(江坂がいなかったからかは分かりませんが)。
先に出してしまいますが
試合後のインタビューで西澤が話しているように、ロティーナ監督はかなり三丸選手を気にしていた事が分かります。
このレイソルの特徴からロティーナ監督は
①②両SBの古賀・三丸を抑える事でレイソルのサイドからのルート(クロス)を封鎖して攻撃を中央からのルート及び最終ラインからのロングボールに絞らせる。
③こちらがボールを持ったら即時奪還を狙ってくるので最終ラインはボールを持たずに前線に長いボールを入れて、レイソルにショートカウンターをさせない。
というプランを立てて、レイソルの攻撃の選択肢をこちらが守り易いように絞らせたと思われます。実際に試合では
このように金子が古賀を、西澤が三丸をケアすることでサイドからの攻撃に対してかなり重きを置いた守備をしていました。これはどちらかといえばサイドに運ばれる事を許容していた今までの試合とは明らかに異なっています。
これによりレイソルはCBからのフィードと前線の選手が降りてきてボールを受けようとするプレーが増えます。そしてエスパルスはこれを狙います。
まずCBからのフィードですが、これは主にヴァウドと鈴木の高さ強さを発揮する2人が弾き返します(もしくは奪う)。これまで中央から動かないCBでしたが、この試合では特に鈴木(ヴァウドもですが)は相手FWについていくプレーを見せます。
前節の広島戦では主に竹内がスイッチとなってプレスが行われていました。その際にはCBも含めた各選手が相手を捕まえにいってボールを回収していましたが、この試合の場合は相手CBが長いボールを蹴ってくるように仕向けています。なので今までと違いレイソルが後ろでボールを持っている時はプレスのスイッチが入っている状態になっているので、CBが相手FWについて動いていて広い範囲を動いているという結果になっていると思われます。
相手FWがサイドに流れた際にもそこに長いボールが出てくれば鈴木がついていきます。結果中央が空く事になりますが、そこは最初から織り込み済みなので
混乱することなくこのようにボランチ(この場合は竹内)が埋めるようになっています。(図は面倒だったのでスクショ)
ちなみにこの試合の2点目のスタートは、レイソルがヘディングで大きめのボールを前線に送ったところをFWについて前に出てきた鈴木が競ってこぼれたところを河井が金子に繋いだところから始まっています。相手最終ラインからのフィードではないですが、長にボールに対しての狙いが得点に繋がったと言ってもよいと思います。
そして長いボールではなく中央を使ってくる場合ですが、こちらはサイドを金子と西澤が見てる分、河井と竹内が相手の状況を見ながら守備を行います。先に書いたようにレイソルはサイドより中央からのルートに難を抱えているのでここでは相手のミスが多くなります。前半14分には中央に斜めに入れたパスがズレて竹内がカット。そして一度カルリーニョスに当てて前線へボールを送ります
この場面では最後のサンタナへのパスは通りませんでしたが、図を見て貰えば分かるように、エスパルスは今回2トップでこの2人が相手CBとボランチを見るような形を取っているので、ここでボールを奪えればレイソルの剥き出しになった2CBと同数で勝負する事ができます。
ここからの得点は生まれませんでしたが、サイドを封鎖して相手を中央からのルートに絞らせた事から繋げる攻撃としてこれはチームの狙いだった事は間違いないでしょう。
また最終ラインではボールを繋がずロングボールを前線に出していた事についてですが、天候やピッチ状態を考慮した事も考えられますが、あの強風では特に風下の前半ではロングボールを蹴ってボールが戻ってきてしまうのでグラウンダーのパスの方が確実な事、レイソルのパス回しを見る限り、そこまで不安定なピッチコンディションでは無かったように見える(水でボールは転がると思いますが)事から、やはりまずはレイソルのやり方である即時奪還からのショートカウンターを無効化したかったのが一番の狙いだったと思います。
試合をコントロールするとは
この試合、このように相手の強みであるサイドを封鎖して攻撃の選択肢を減らし、こちらが守り易いように設定をして更にそれを攻撃に繋げるというロティーナ監督のサッカーが展開されていました。これは一見するとレイソル対策が嵌った試合に思えますが、驚くべきは落ち着いた(悪く言うとつまらない)試合展開を望むと思っていたロティーナ監督がこのボールが行ったり来たりするような試合の形を選んだという事です。
まだエスパルスのボール保持が上手くいってない為、相手にボールを持たれた結果トランジション(攻守の切り替え)の回数は試合毎に差があります。鹿島戦などはかなりトランジション回数は多いのですが、あの試合ではエスパルスも後ろから繋いでいく意思を見せていたので、狙ってその結果になったわけではないでしょう。
実際にセレッソ時代も2018年の東京Vでもトランジションの回数はリーグワースト1位2位を記録してます。しかしこの試合では監督自らこの状態を作り出しています。それでもエスパルスは間違いなく試合をコントロールしていたと言えると思います。つまり監督にとって試合をコントロールするという事は最初に書いたように
相手の攻め筋を減らしてこちらが守れるようにして、こちらが攻め易い(相手の弱い所を突く)ようにすることができている状態になっている事になります。
そしてそれを試合で選手に実行させる事ができるのがロティーナ監督の真髄と言えるでしょう。
付け加えますが、この試合でもブロックを作った時のゾーンでの守備、ボールを持って攻めた時の選手が配置(レーン)を意識した動きという基本は変わっていませんでした。後半も何回かありましたが、クロスを上げた際のPA内でマイナスの位置に1人は入ってくる、また逆サイドのSBが中に絞ってボールを回収しやすくする及びカウンターに備えているといった約束事も変わってはいませんでした。
逆に先日の仙台戦では相手のCBにもプレスにいっていましたし(ちゃんと見てないので間違ってたらゴメンなさい)、この仙台戦やレイソル戦翌日の水戸戦ではしれっと偽SBやっていたりします。
つまりプレッシングや偽SBやハーフスペースを攻略といった事はあくまで戦術であって、ロティーナ監督にとってはあくまで道具に過ぎないという事です。(道具大事だけどね)
という事でエスパルスの試合を見る時は相手がどんなチームか知っていると監督が何を狙ってくるか分かるかもしれないので、相手チームの予習をすると試合を何倍も楽しく観れると思います。ただ僕もですが、当然そんな時間は無いし見ても相手チームの事は分からないというのもあると思いますので、そんな場合は上にも載せましたが、エスパルスの対戦相手のプレビューをしてくれるブログもありますし(宣伝)、
相手の事を知らなくても、当日の試合でチームが相手のどこを防ごうとしてどこを攻めようとしているか、いつもと違う所はどこかを少し気にしてみると、ロティーナ監督が何をしようとしているか見えてきて更に今シーズンが面白くなると思います。(ちなみに僕は何回も見直して更に他の人から意見を聞かないと分かってこないですけどね)
ではだいぶ長くなってしまいましたが、今回はこの辺で