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サハラマラソン挑戦記vol.7

@marathondessables
2023.4.25
〜僕が走る理由①〜

【3rd stage】
■距離:34.4km 累積D+590m
★45位/4:19:49★

■3rd Stage start
◆この日の朝も @yama_messi_yuka のサハラ飯
グラノーラを食べた。サハラの朝は涼しい。
水も冷えて、グラノーラを戻すのにちょうど良い。

3rd Stageまでの結果、TOP50位に入っていると、明日の4th StageのOverNight Stageで後発組みとなる。
が、僕は前日100位overの結果、50位以内のことは考えないようにしていた。

それよりも今日は少しでも砂漠を楽しんで走ろう。
そう思ってスタートラインに立った。

僕は砂漠の深い砂地が苦手で嫌いだった。
踏み込んでも返ってこない、気持ちよく走れないことが苦痛で、レースそのものを諦めてしまっていた。

前日、少し視界が開けたものの、解決策は見つかっていなかった。
じゃあ、どうするか。
「嫌いなら走らなければいい」
嫌なもの苦手なことから逃げることにした。
というより、そうするしかなかった。

毎日レースがやってくる中で、苦手を克服するような時間はなかった。
僕は好きだから走りに来ていた。
それなのに嫌なことを頑張る必要はないと、嫌いと苦手を回避することで、心の平穏を保とうとした。

スタートしてすぐ、深い砂地はやってきた。

深い砂地では脱力し、ただただ足を進めた。
走れるところは走る。
メリハリがつくことで、気持ちが萎えることは無くなった。

楽しいと思って走れていると、自然と肩の力が抜けた。

■CP1 11.9km
この日から、GoProで尾藤さんのYouTube用の素材として、CPや風景を収めた。
2日目までは、色んなプレッシャーの中で持っていたけどほとんど撮る余裕はなかった。
ゴールシーンを撮ることに固執しすぎた結果、自分の結果も得られず、画も撮れず、踏んだり蹴ったりだった。

今、自分にできることは何か。
それは尾藤さんのYouTube用の素材集めだった。
ゴールシーンだけがレースの様子ではない。
どんなコース、どんな景色の中で走ってきたのか、それもYouTubeを通して伝えられたら、そう思った。

また、自分のメンタルコントロールのためにも、しんどくなったらGoProを回して、吐き出す。
景色を撮りつつ、自分も気持ちよく走れる。

そもそも自分はカメラを持って走ることの方が多かったし、最近ではそれが当たり前になっていた。
今回は尾藤さんのそばにいることができていないだけで、自分らしい走りはそこにあると気付けた気がした。

CP1を出てしばらくすると、前を歩くロシア人選手を見つけた。
そこは、水が干上がったような地面で、砂も無く走りやすいコースだった。
その中を僕より前を歩いているということは、昨日までの僕のように何かしらのトラブルに巻き込まれているのではないかと思った。

追いつき、声をかける。
話を聞くと、ハンガーノックのようだった。
恐らく序盤に飛ばしすぎて、何も口に入らず、ガス欠を起こしてしまったらしい。

僕も昨年の夏、韓国SEOUL100Kの60kmでハンガーノックを起こし、応援の韓国お姉様に胃薬をもらい、復活した経験があった。
それ以降、ロングレースでは必ず胃薬を飲みながら走るようにしていた。

ハンガーノックを起こした彼に胃薬を持っていることを伝え、与えた。

その後、彼が無事にゴールできたかはわからないが、彼は感謝をしてくれた。

彼と別れてから、涙が止まらなかった。
偽善かもしれない、自己満足かもしれないけど、この大会で初めて、誰かのために何かをしてあげられた。そう思えた瞬間だった。

彼の走りのために自分が役に立てたことが、心から嬉しかった。

■CP2 23.4km
CP2からは厳しいコースが続いた。
平坦だが、深い砂地が5km続き、その先には深い砂地の山が続いていた。

前後を走る選手と文句を言いあったり、動画を撮りあって尾藤さんのYouTubeチャンネルを宣伝したり、キツイながらも楽しく歩みを進めた。

山を超えて、下りに入ってもまだゴールは見えなかった。

■Finish
ゴールまで残り約3km
心が折れかかっていた。
そこに深い砂地の山から近くを走っていたフランス人男性と、ゴールまで一緒に行こうとお互いを励まし合い、走り続けた。

最後には彼と手を取り合いFinish🏁
充実したStage3を表すようなゴールだった。

ゴール後、上位選手が受ける必携品チェックがテントで行われており、そこに尾藤さんがいた。

前日受付と同様に、スタッフの求める必携品がわからず頭を悩ませていた彼女の助けに入り、無事にクリア。

「我ながらいいタイミングでゴールしたな」と、一度もゴールシーンを撮れていないくせに、得意気になってしまうほど、大会を楽しめていた自分がいた。

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