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tonarinomayu
戦後に書き直された文学作品としての「君たちはどういきるか」 その②
前回の記事では、もう一つの「君たち」とでも呼ぶべき作品の存在が吉野の「作品について」で示唆されていると書きました。
今回は、その作品内容をみてゆきます。
(「星空何を教えたか ―あるおじさんの話したこと」吉野源三郎著)
お話は、<おじさん(ぼく)>が<純一>に送った手紙という体で展開します。手紙は<ぼく>の14歳のお正月のときの思い出話から始まります。
なんとなく不機嫌だった<ぼく>は<弟のアキラ>に八つ当たりするように意味もなく意地悪をし、それがきっかけに二人は大喧嘩をはじめてしまいます。
「弟はたんすにぶつかってころがったが、もうがまんができないというようすではねおき、目に涙をいっぱいにたたえて、猛犬のように組み付いてきた。」
ドタン、バタン、とやっているところに<おとうさん>が外から帰り、「さあ、もうおやめ! おやめ!」と二人を止めます。すると<弟のアキラ>は
「ぼくが手をゆるめたので弟は急いで飛び起き、急に気が弱くなってワーッと泣きながら、おとうさんにかじりついていった」
<弟>をいじめている現場をみられてしまった<ぼく>は、当然きびしいおこごとがくるものだと思ってちじこまってしまいました。
ところが<おとうさん>は
「おかあさんたちはまだだね。」
「じゃあ、ふたりともおなかがすいただろう。」
といっただけで、そのまま夕飯の支度をしてくれます。
<ぼく>はそんな<おとうさん>の様子から、<おとうさん>はおこってはいないのだと知るのでした。
夕飯が済んでその後、<おとうさん>は友人の長谷部さんのところに本を取りにゆくから、一緒にいかないかと<ぼく>を誘います。<ぼく>は「気にしなくていいよ」と呼びかけてくれたような気がしてそれが嬉しくて<おとうさん>についてゆきました。