「雪の日の出来事」と二二六事件
二二六事件のおこった翌年の7月、「君たちはどう生きるか」は出版されています。それは青年将校たちが処刑されてからはおよそ1年後のことで、北一輝と西田税が処刑される1月まえでした。
出版当時に「雪の日の出来事」という章を読んだ人には、ほぼ同時に二二六事件を連想したに違いありません。
↓この記事ですでに述べているのですが、
「君たちはどう生きるか」完全読解、実在した「水谷くんのうちの大きな洋館」のモデル
「君たち」の「五、ナポレオンと四人の少年」に出てくる「水谷くんのうち」は、岩崎弥太郎邸を示しています。
当時の総裁は三代目の岩崎小彌太にうつっていたのですが、二二六事件の当時、情報を事前にキャッチしていた側近らから強く求められて、関西へと逃げていたようです。
こうした実際の動向を鑑みるに、吉野源三郎が岩崎弥太郎邸を物語に登場させたのにも、それなりの理由があることがわかります。
二二六事件に関しても、少なくとも吉野は真面目な考えで岩崎を名指ししていたのだし、岩崎にとっても笑って無視はできない程度、関西に逃げなければならない程度には真面目な問題だったことがわかります。
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