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『ニッツ・アイランド』を観た

映画館でニッツ・アイランドを観てきたので感想を書いておく。

ニッツ・アイランドはゾンビで溢れた世界でサヴァイブするオンライン・ゲーム『DayZ』の仮想空間で匿名のユーザーたちが交流しているコミュニティにフランスの映画クルーが潜入したドキュメンタリー映画。

まずリアルに存在するゲームである。

映画の中で登場人物の一人が「このゲームは2012年にリリースされ、それから8年以上遊んでいる」みたいな話をしていたが、確かに2012年の4gamerのニュース記事に取り上げられている。リアルバーチャルドキュメンタリー映画である。

ドキュメンタリー映画としてこのゲームが合ってるなと思った点としては、ゲーム内の通話でプレイヤーが話すとそれに合わせてアバターの口が動くギミックが入っている点である。口が動かないと登場する人の誰がどの声で話しているか見た目からまったく分からなかったと思う。

マイクラなどではMODなどでゲーム内通話はできるもののアバターの口の動きなどは変えられないのでさすがに映画のシーンとして絵面が耐えられなさそうである。

2012年リリースとはいえそこそこリアルに絵作りされているゲームのためかアバター顔のアップシーンや景色のシーンだけでもそれなりに映画として観ていられる気がした。

ただこの映画で描かれていたゲーム内コミュニティにどっぷり浸かるという概念自体はさほど新しいものではないと思った。

例えば日本だと2000年発売のファンタシースターオンラインなどを皮切りにしたコンシューマ機でのオンラインゲームから始まり、マビノギみたいなMMO RPG内で生活するみたいな社会現象としては2005年頃あたりから既に存在しており、今ではゲーム界隈でもそれなりにひと昔前の話として聞く機会が多い。

できればもう20年くらい早くこの映画は撮られていてもいいかもなぁと思いつつ映画に求められる絵作りやそもそも解像度という点で2012年リリースのネットゲームが限界なのかもなぁとも思った。

またふと思ったのが、この手のドキュメンタリー映画を撮るべき次のタイミングとしては、AI NPC を用いた広大なフィールドで遊べる MMO ゲームのヒット作が出てきた時期かもしれないということ。

まだ2024年現在ではみんなが遊んでいるような大ヒット AI NPC MMO ゲームは存在しないが、きっと1〜3年後には出てくるはずと予想している。

ちなみに今日ちょうどニュースとして出ていたお絵描きクイズでAIを騙すゲームもいい感じの落としどころに AI 使ったゲームとなっていそうで面白そうだった。ちなみに発売は2025年らしい。

この映画で描いていたゲーム内コミュニティの形だとどこまで行ってもゲームをプレイしている「人々」の面白さに尽きてしまうとも思った。

映画の登場人物の最後の方のセリフで「何年も同じゲーム内で共同生活しているとどうしても「人」としての内面を隠すことはできない。素が出ざる得ない」と話していたが、それは別にゲームに限らずその人がライフワークとして長時間かけて取り組んでいることはどんなに隠そうとしても取り繕うことは難しいということかもしれない。

あと映画の最後の方で登場人物が「このゲームを900時間以上プレイしていて自分は廃人ゲーマーだ」みたいな発言があったが、ゲームの時間数はあえて言わない方が良かったのではないかと思った。この手の話は上には上がいて900時間というプレイ時間を聞いて醒める人も居そうだから。

おわり

個人的には映画として描こうとしていたメッセージ的にはいまいちだったが、映画のというかゲームの絵や背景を流れるBGMは癒やされる感じで良かった。


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