見出し画像

日記

お昼に有楽町の映画館でヴァンゼー会議(邦題:ヒトラーのための虐殺会議)を観てきた。感想としては、じぶんもこの会議の参加者と同じ立場だったらかなり近い言動を取るんじゃないかと素直に思った(現代の価値観でこの作品の登場人物たちの言動を判断するのはフェアではないだろうと)。

気になったポイントとしては、一見すると信条を持ってユダヤ人虐殺に対して部分的に異議を呈したように描かれていた2人(ヴィルヘルム・シュトゥッカートとフリードリヒ・ヴィルヘルム・クリツィンガー)もその実会議で一番ユダヤ人虐殺を強固に推進しようとしていたオットー・ホーフマンと何ら変わりがないということ。

作中で一番慈悲深そうに描かれていたフリードリヒ・ヴィルヘルム・クリツィンガーの意見が結果的にタイパ・コスパに優れたアウシュビッツ強制収容所のガス室による大量虐殺をアシストしたようにも見えて、地獄への道は善意によって舗装されている感があった。

あと全然関係ない話だが、じぶんが小学生くらいのときに読んだ数学放浪記という本の著者がハンガリー生まれのユダヤ人で、著者の親or祖父世代で収容所に送られたというエピソードが書かれていたことを思い出した。昔好きで読んでいた本だったので、ヴァンゼー会議の作中でハンガリーだけがドイツへのユダヤ人引き渡しを拒否したという描写を観て少しだけホッとした(もし引き渡されてたら自分が子供のときに好きだった本が消えていたかもしれないなぁと思って)。

帰ってきてランニングしながら「カエサルの休日」というポッドキャストのバビ・ヤール回第0-3夜を全部聴いた。こちらはウクライナのバビ・ヤール大虐殺を当時の証言を元に極力事実ベースで語ろうとしている回で、映画ヴァンゼー会議の補足として良いコンテンツだった。また、大虐殺のような現代の我々のものさしで到底測りきれない「経験」を俯瞰者視点でさも分かったかのように要約することの危険性についても最後の方で言及されている点も良かった。ヴァンゼー会議観た人にぜひオススメしたい。

わかりえないことはわかりえないままで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?