ロメリア戦記が出来るまで~その06 偶然を生かせ~
はい、需要があるかどうかわからない第六弾です。
今回は偶然をうまく生かしていく方法です。
私は小説を書いている時、よく筆が滑ります。
そして余計なことを書き、意図しない表現や設定を追加してしまうのです。
もちろんすぐに修正すればいいのですが、私はこの手の筆の滑りを、できるだけ生かすことにしています。
例えばロメリア戦記では、ガリオスの必殺技「全力でぶん殴る」があります。
(改めて書くと、みもふたもない必殺技だ)
この技が生まれたのはロメリア戦記の一巻で、ガリオスがアンリ王子と戦った後の事でした。
二人が戦った後をギャミが歩くのですが、そこで激しい戦いの為地形が一変しており、大きな穴が開いていた。と書いてしまったのです。
よく考えもせずに書いたのですが、すぐに筆が止まりました。
何故なら地形が一変していたということは、地形を変えるほどの威力を持つ何かが起きたわけであり、それを行ったのはガリオスかアンリ王子のどちらかとなる。
そしてアンリ王子はこの後活躍のシーンがなく、この技を披露することは出来ない。そうなるとこの破壊を行ったのは、ガリオスと言うことにしなければならない。
しかしこれは困りました。何せロメリアの仲間で最も強いアルやレイは、当時は岩や大木をぶった切る程度の力しか持っていませんでした。
地面に大穴をあけて、地形を一変させるような奴と戦っても全く勝てそうにない。
これ勝てんのか? 作者の私もちょっと頭を抱えました。
もちろんまだ発表前でしたから、すぐにこの一文を消してしまえばいいだけなのですが、私はこの筆の滑りを生かすことにしました。
何故なら意図しない設定と言うことは、意図していないがゆえに読者にとっても予想外となります。そして小説には驚きが必要であり、こういった筆の滑りは驚きの宝庫となりえるのです。
こうして、ガリオスの必殺技「全力でぶん殴る」が生まれました。しかしこの設定を生かしたことは大成功だったと思っています。
全力でぶん殴ったら、それが一番強い。
これはガリオスと言うキャラクターを、これでもかと言うほど体現しています。なにせ一撃で地形を変化させるほど強いので、嘘も言わないし小細工もしない。全て真正面から挑み、完膚なきまでに打ち砕く。敵に策や必殺技があったら、それらを全て受けきったうえで倒す。
脳筋ここに極まれり。と言ったキャラクターが生まれました。
そんなガリオスの根幹をなす必殺技は、私の筆の滑りから端を発していたのです。
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