その手に夢を、あるいは希望を
15時間前
発展途上惑星α11において文明が突如消失。霧らしきものが宇宙からの画像解析を遮断。
13時間前
惑星議会連合において本事案をカテゴリレッドに分類。α11に対する不干渉指定を一時解除。”探検家”による調査を可決。
10時間前
”探検家”サトウ・カイを調査員に指定。
3時間前
α11の衛星軌道上に到着。遠距離観測が完了次第調査を開始する。
15分前
大気組成等の検知完了。人類が十分に生存出来る範囲である。
3分前
大気圏突入準備完了
尚、本事案については現地民との干渉を最小限に抑えるため単独での調査とする。
俺がα11に到達したとき、いつもの如く嘔吐した。ドロップポッドでの降下ではいつもゲロを吐くから違う方法にしてくれ!と要望を出したものを奴ら、いつもの如く、これは改良型だから、それは整備が悪かったんだ、などと詭弁を並べやがる。(この前の調査の時もお前が整備したドロップポッドに乗ってゲロを吐いたのを覚えているぞ)
犬っころ…犬型支援ロボ、フロウは「痕跡を残すのはお辞め下さい」なんて糾弾してきやがるし、きっとあいつには血が通っていない。
フロウを蹴飛ばそうとするもするりと避けられ、悪態をつき改めて調査に取り組む。見渡す範囲に建造物らしきものは一切なし、つい15時間前までこの場所に文明が存在していたという事実が信じられない。
事前に(文明崩壊前に)観測されていた地形データと照合を行うも一切の合致なし。何ならここは山があるべき場所だ。着地の衝撃で粉々に砕けた地表の一部を採取し、(改良型の名に恥じず被害はそこまで大きくない、3年前の調査のときは着地の衝撃で連鎖的に星が一つ滅びた)フロウの分析を待つ間、周囲を警戒する。地平線上になにかの影を確認したその時、フロウからの呼びかけが耳に入った。
「この星の地表データー少々混ざりものがありますがー合致しました。太陽系第三惑星。地球と同質のものです。」
【続く】