”観ているぞ”
”watching you”
玄関の扉に張り紙が貼られている。どうせ誰かのイタズラだろう。靴を脱ぎ捨て、惣菜をレンジに投げ入れ、パソコンを起動する。
”watching you"
壁紙にデカデカと瞳が文字が表示される。ウィルスか?セキュリティソフトを走らせ、惣菜を取りに行く。
"watching you"
レンジを開くと、大きな瞳がこちらを覗いてくる。
”watching you"
パソコンが滝のようにログを吐き出す。
”watching you"
向かいのビルから覗いている!
"watching you"
何かが側にいる!
”watching you"
玄関の向こうに誰かがいる!
チャイムがなる。誰かがいる!
ノックが聞こえる。まだ諦めないのか!
扉が激しく揺れる。俺がいるのを知ってやがるな!
俺は…俺は…!
扉を開け放つ。誰もいない。
なんだ、気のせいじゃないか…
深呼吸する。その時はるか向こうの誰かと目があった気がした。
【続く】