価格決定戦略
利益を最大化する「価格決定戦略」(上田 隆穂 著)
1. 高価格帯の商品を買う心理としてのブランド価値構造
(例:シャンプー)
1 自己表現価値(例:身だしなみ)
2 情緒的価値(例:使用後の爽快感)
3 機能的価値(例:かゆみ防止)
4 基本価値(例:洗髪)
サービスドミナントロジック
経済活動のすべてをサービスと考えて、企業は顧客と一緒になって価値を作っていくという価値共創の視点でマーケティングを実施する考え方。(従来は、商品の価値が価格を決め、顧客はその対価を支払うというグッズドミナントロジック)。商品と顧客体験をセットで考えることで付加価値をもたらす。
価格の意味
1 その商品の品質を推し量る(品質のバロメーター)
2 価格自体に権威や名声を感じる(高価なものが買える自分が素敵だ)
1泊何万円もするホテルを格安料金で提供すると若者グループの客が増え、富裕層が減った。価格を戻すと、若者が減り従来の富裕層も戻らないという失敗事例。
時と場合によって、商品に払ってもよいと感じる価格が変わる
ブランドを選ぶ際に消費者がどの特徴をより強く意識するかで選ぶ結果が開変わる。
同じ商品でもオーケージョンが異なれば価格が変わる
・コンビニコーヒー 100〜150円
・スターバックス 300〜1000円
・喫茶店 300〜600円
・ホテルラウンジ 700〜3000円
「スポーツ飲料のオケージョン」
・家庭内で常用
・スポーツ後
・持ち歩いて飲む
・リフレッシュしたいときに飲む
・風邪を引いたとき
・ダイエットをしているとき
(→オケージョンによって、サイズや価格など注目する要素が変わる)
2. 商品のカテゴライゼーション戦略
A もやし商品(低価格)
B サプリメント商品(高価格)
C もやし×サプリメント:機能性野菜(サプリメント性質をもつもやし)
・新製品をどのカテゴリにいれるか
冷風機は、扇風機カテゴリか、エアコンカテゴリか。
(高価格の扇風機であり、低価格のエアコン)
・消費者はなぜ価格の高低を判断できるのか
1 内的参照価格(各消費者が判断するもの)
2 外的参照価格(メーカー小売価格など)
3 実売価格
3. 価値ベースの商品開発(顧客がロイヤル化しやすい商品)
価値を扱う学問「価値工学」
価値=機能(知覚便益)÷コスト(知覚ライフサイクルコスト)
7点の尺度などで以下の質問項目を測定する
・支出の痛みを図る4項目
1 どのくらい安くなっているかが気にかかる
2 価格の変化をまめにチェックする
3 どこでも買えるならディスカウントストアで買うほうがいい
4 バーゲンや特売があるときに購買する
・品質バロメーターを図る3項目
1 高い商品は品質がいいと思う
2 安物を買って後悔したくない
3 高い商品を買っておけば面倒がなくていい
・権威を感じるプレステージを図る3項目
1 他人に印象づけるために高い商品を買う
2 価格の高い商品を買うことで自分を印象づけることができる
3 他の人が私よりも高い商品を買っているか探ってみたくなる
上記の価格関与マップにより、現在の自社顧客の把握や将来的にブランド未確立層を狙うなどの方針策定に活用することができる。
・顧客対応型による価格戦略分類(テリス1986年)
1 製品カテゴリー特性による分類
2 製品ライフサイクルによる分類
(製品の導入期、成長期、成熟期、衰退期で分ける)
3 消費特性・企業目的による分類
「消費特性×企業目的によるプライシング」
・ブランド力を維持したまま低価格ライン拡張を行う方法
ブランドが成熟すると、単体ブランドよりもファミリーを増やすことで売上が増加する。しかし、新しく追加したブランドが本体のブランドを食ってしまう「共食い」や「本体ブランドの価値低下」がリスクとなる。
・エントリーブランドの重要性と役割
価格の高いブランドの顧客が減少しつつあるとき、新たな顧客を導きいれるためにエントリーブランドは重要となる。ロイヤル顧客になる道筋として機能する。
4. ダイナミック・プライシング
時と場合に応じて価格を変化させるダイナミックプライシング。需要や供給に合わせて価格を変動させ、需要を調整するもの。プラットフォームのデジタル化により価格の変更をしやすくなったことも背景。
企業メリット1: 需要調整による利益の最大化
企業メリット2 :稼働率を高め資源の効率化
消費者メリット1:閑散期の価格低下
チケットの不正転売の防止、食品ロス減少などにもつながる。
・ダイナミックプライシングの対極となるサブスクリプション
所有する必要が薄れており、使用経験重視の傾向にある。サブスクモデルは顧客との継続性があるため、関係が長くなればなるほど定期収益が入る仕組みとなる。
サブスクのポイントは、
・サービスドミナントロジックによりモノであってもサービス化を図ること
・関係性マーケティングを実施し、解約率を低下させること
・関連購買によるクロスセルを狙うこと
・しばらくは利益が出づらいが乗り切ること
・ターゲットを明確に決めておくこと
・適正な定額価格を把握すること
5. 価格の決め方
・コンジョイント分析
仮想イメージの製品などをいくつか並べて回答者に買いたい順に並べてもらう、または一対ずつ提示してどちらが買いたいか選択してもらう方法。
(要素の例として、色、価格、スタイルなど)
→ これにより消費者が重要視している要素がわかり、その中の水準も把握できる。
・PSM(Price Sensitive Meter)
以下の項目のアンケート調査により価格受容帯を導く