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オカンの珍遊記
オカン 「ワイン飲んでん」
私 「は?」
オカン 「せやから大変やってん」
私 「何が?」
オカン 「マレーシア」
私 「そんなん行とったん。いつのまに」
オカン 「今の間に」
私 「こんなコロナ騒ぎのバイオハザード状態でそんなんよーいったな。日本人入国禁止令出てへんかったんかいな」
オカン 「せやろ。がんばったやろ」
私 「よー頑張った。頑張った」
オカン 「違うねん。ワインや」
私 「せやからなんやねん。」
オカン 「ワイン飲んでん。飛行機で」
私 「チャレンジャーやな」
オカンは決してお酒が強い方ではない。気圧の加減で酔いやすい飛行機でお酒を飲むなんてチャレンジ以外の何物でもない。
オカン 「ほなな、なんや体があつー(熱く)なってな。いややわ~。コップ一杯で酔っぱらったわ。と思ててん、ほんでなマレーシアついてな、空港で熱は空されてん。こんなご時世やから。ほれ。」
オカンのお話の熱もヒートアップしていく。
オカン 「いやー。日本は甘いわ。あっちは凄いで。空港や観光地、ホテル。行くとこ、行くとこ、全部でいちいち熱、測らされるねん。あんなちっちゃいくにやろ。せやから、コロナ潰しで気合はいってんねん。絶対入れへんぞー的な確固たる信念みたいなもん感じたわお母ちゃん。」
オカンは何故か他国のセキュリティーに感服し通しだった。それに、ちっちゃい国って・・・。日本と比較して1割ぐらい小さいだけでたいそう面積は変わらない。オカンの中では東南味の国は何となく「ちっちゃいくに」カテゴリーに入っているのだ。シンガポールもインドネシアも全部「ちっちゃいくに」なのだ。しかし、ここでオカンの話の腰を折ると機嫌を損ねる恐れがあるのであせてのスルー。
私 「ほんで、いつワインが出てくんねん」
オカン 「せや、ワインや。マレーシア着いてな空港で熱測らされてん。ほな、38度あんねん。びっくりしたわ。体なんでもないねんで。あっちの体温計おかしいわほんまに。」
とちょっとご立腹のご様子
オカン 「ほんでな、こんなご時世やろ別室に連れて行かれてん。こりゃ初めての強制送還やな。日本に送り返されるんや~。って思っててん」
オカンはそこで一呼吸溜めて
オカン 「熱も一回測ったらな36.8度やってん。絶対ワインで体に熱こもってただけやん。それか体温計がバカチョンやったかどっちかやねん。それからな、30分おきに熱測ってんけどな、どんどん下がっていって最終的には35.8度まで下がってん。」
どんな体温なんだ。もはや恒温動物とは思えない。
オカン 「ほんで3時間遅れでやっとマレーシアに入れてん。もー。マレーシアに入る前から大冒険やったわ」
と、みやげ話の枕が終わり、いよいよタブレットを用いて写真を見ながらの旅行談義がスタートするのだった。
みやげ話の写真はいきなり動画から開始した。
動画は
オカン 「もうあかん。ものすごーしんどいわ」
から始まった。
このマグマ大使のような仏像の横の階段がめちゃくちゃ大変だったそうな。(笑)
こんな自粛ムードたっぷりの中での海外旅行。しかも寺巡り。勇気凛々。愛と勇気がお友達かあんたは。と、ひそかに突っ込んでおきました。(笑)