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ヒーロー
台風の季節がやってまいりました。去年の台風は凄かった。車が飛ばされ、屋根が飛ばされる大惨事が大阪を襲った。その時のお話です。
妹君の家が例の台風で被災して、妹君の住んでいる地区よりいち早くライフラインが復旧していた我が家(妹君の実家)に避難してきていた。もちろん、図体のデカい甥っ子どもも一緒だ。甥っ子どもが家に来ると一気ににぎやかになる。
あいつら(甥っ子ども)のオバアつまり、わたしのオカンは、いつもは甥っ子どもに舐められまくっているのだが、オカンが一躍ヒーローになるときが年に数回ある。
今日のその時です。
「ひと~つ、一人で作業をしてて」
「ふた~つ、不意に現れる」
「み~つ、未知の飛行物体」
「よ~つ、死神ばりの嫌われ者」
「ごっきーちゃん」ただいま参上!!
ぎやーーーー!!!
甥っ子どもの悲鳴が家中にとどろく。図体はデカいが、虫が全くダメな甥っ子ども。ゴキブリ一匹でただけで、空前絶後の大騒ぎである。ごっきーちゃんがオカンに近づいた刹那。
瞬殺。しかも素足で。
「ばあちゃんすげー」
「ばあちゃんつえー」
と、この時ばかりは、甥っ子どもにとっては、ライダーよりもマンよりも偉大なヒーローになるのだった。