
夏なのでちょっとひんやり、ホラーな話。実話です。
暑い。暑い。夏は暑い。夏と言えば、稲川淳二。稲川淳二。と言えば怪談話。そこでちょっとひんやりとしたお話でも書いてみよう。ひんやりした話ねぇ。そうだ、我が家のギボアイコことオカンの話をしよう。
オカン曰く、「私には力の弱い下級の神様が憑いているんだよ」これが、オカンのプチ自慢である。「力が弱い」だとか「下級」だとか、散々な言われ方をされているが、とにかく「神様が憑いている」とオカンはことあるごとに言うのだ。
オカンの神様ファイル①
オカンが神のご加護に抱かれていると(勘違い(笑))初めて思ったのは、高校生の時だったらしい。オカンの通う高校はミッション系ならぬシャクソン系高校だった。普通の高校で言うところの林間学校が「お山参り」といって、高野山(言わずと知れた、空海が真言宗を開いたところ)で寝泊まりして修行をするという、学校行事があったそうな。
オカンが寺の廊下を歩いていると、一人のおじいさんが、オカンに声をかけてきた。そこまで聞くと、ただ女子高生にちょっかい出したいだけのエロジジイ、エロ坊主と思いきや、そのお寺の住職で阿闍梨クラスのとっても偉いお坊さんだったらしい。
そのエロ坊主、もとい、大阿闍梨様が言うには、
「あなたには、とてもいい仏様が憑いていらっしゃる。辛いときや困ったときはその仏様があなたを助けてくださる」
と言って、両手を合わせたそうな。
そんなことがあったもんだから、オカンは自称、「能力者」と思うようになったのだった。
子供の頃、旅行に行ったり、遊びに行ったときなど、急に私と妹に
「そっちはあかん!!!!霊がおる!!!!!」
などと、人目も気にせず、所かまわず、急に大声を上げるもんだから、幽霊やモノノケの類よりオカンの声の方が怖かった。
坊主も余計なことをしてくれたものだ。と、幼い頃、見たこともない大阿闍梨に逆恨みしたものだ。
オカンの神様ファイル②
オカンの脆弱な神様はオカン曰く私の命を4度助けてくれているそうな。一度目は私のお産の時大阪の小さな産婦人科で産む予定だったのだが、親父の転勤が急に決まって、和歌山県のど田舎に引っ越すことになったそうな。
引っ越し先の和歌山の田舎町には個人の産婦人科が一軒もなく、その代わり、アパートの隣には、どでかい国立病院があったらしい。そんなもんだから、やむを得ず?国立病院で私を生むことになったのだが、予定日より早々に出てくるわ。黄疸は出まくるわ、幽門狭窄で「こんなまずい乳が飲めるか!!!」と言わんばかりに乳は吐きだすわ。体重は1800キロ1600キロと下がっていくわ。で、てんやわんやだったらしい。
オカン曰く
「おとうちゃんの転勤がなかって、大阪の町医者であんた産んでたら確実に死んでたで。」
と言うのだった。つまり、オカンの神様が私を助けるために転勤を会社に命じてくださったのだ~。ということにオカンの中ではなっている。
オカンの神様ファイル③
生まれてすぐに神様にお世話になった私だが、次にオカン神のお世話になった(オカン曰くですよ、あくまでも、オカン曰く)のは、私が小学校1年生の時のことでございます。
不思議なことに、その日のことは40年近くたった今でも鮮明に覚えているのでございます。
その日は、春の陽気がさんさんと降り注ぐ気持ちの良い朝でした。地域のガキ大将が私の家に「〇〇!!(私の名前)あそぼうぜ!!!!」と誘いに来たわけです。
当時小学一年生の私は、ガキ大将システムの最下層に位置していました。遊びに行けば、つかいっぱしりのような役割なわけです。ガキ大将が、あーしろ、こうしろ、とミッションを矢継ぎ早にだしていくのをただひたすら必死にこなすのが、最下層の人間の生きる道なわけでございます。
そんな絶対的権力をもったガキ大将が遊びに誘いに来たわけです。よっぽどのことがない限り断ることなんてできない。ガキ大将システムが発動している時代ですから、当然、私は遊びに行こうとするわけです。
しかし、その日は突然オカンが
「今日は天気がいいので、おじいちゃんところに遊びに行こう!オー!!」
と腕を突き上げてカチドキさながらに叫んだわけです。
遊びに行く気満々だった私が少し難色を顔ににじませるとオカンのとどめの一言。
「帰りはスガキヤさんでご飯よ!!」
「!!!!!」
スガキヤと言えば、言わずと知れた愛知が生んだ名店。一口啜れば、口腔内パラダーーーイス。ラーメンの後には夢のソフトクリーム。子供たち憧れのラーメン屋さん。それが「ス・ガ・キ・ヤ」我が家ではスガキヤは決して呼び捨てにしない。そのおいしさに敬意を称してあえての「さん」付け。もう一度言おう。あんたスゴイよ、おいしいよ。大好きスガキヤさん!!!
そんな、ボンバーな一言をオカンに添えられてしまえば、そりゃ、あーもすーもないわけです。
ガキ大将の誘いを反故にしてすたこらさっさといざスガキヤさんへ。もとい、愛する祖父母のもとへ行くことになったわけです。
祖父母の家を訪ね、約束のスガキヤさんで舌鼓を打ち家路へと着いたわけです。
すると、どういうわけか村中が大騒ぎになっていた。異変に気付いたオカンが群衆へ聞き込み調査に出かけて行ったわけです。すると、近所の小学二年生のお友達が池でおぼれ死んだというのだ。その男の子は、私が所属するガキ大将チームカーストの下から2番目の位置にいる男の子だった。私がどうどうの最下層です。
オカンのかあちゃんネットワークで収集してきた情報によると、今朝私を迎えに来たガキ大将は最下層の私に断られ、二番手の男の子を遊びに誘いに行った。そして、池に遊びに行き、池に浮いているゴムボールを取って来いと命令されたとのことだった。そこで、二番手君はガキ大将に言われるがまま、ボールを取りに行った。そこで、池にはまりおぼれ死んだというのだ。
その池は以前からすり鉢池なので近づかないように。と高いフェンスが張られていたのだ。しかし、子供たちはそんなフェンスなんて何のそのでフェンスをよじ登って遊んでいた。
オカン曰く、あんた(私のこと)がガキ大将達と遊びに行っていたら、当然池のボールを取る係は、あんたがしていた。あのまま、遊びに行っていたら、死んでいたのは2年生のお友達ではなく、確実にあんたなのだよ。あの時私はあんたを遊びに行かせなかったのは私の神様のおかげなのだよ。だからあんたは、神様のおかげで今生きているのだ~。ということになっている。
これが、オカンの言う4回神様に助けられたという2回目である。
こんな感じの九死に一生エピソードが後2つある・・・・長い!!!
すでに文章が長くなってしまっているので、今日はここまで!!
また機会があればということで。ちょっとひんやりしましたか?(笑)
バイナラ。