令和の米騒動から見える日本の未来への警鐘

今年の夏、スーパーの米売り場から商品が消える異常事態が起きました。この「令和の米騒動」は、単なる一時的な米不足ではなく、日本の将来に対する警鐘なのかもしれません。

ニュースとして、このコメ不足の中でコメの輸出力が過去最高になったというものがありました。
おそらくコメの輸出は今の米不足の直接的な原因ではないです。が、将来は国内に食料がいきわたっていないのに、輸出は大盛況みたいなことが普通に起こりうるんじゃないかと私は考えています。

え?同じ日本人が飢えているのに、農家が農作物を海外に売るなんてことが起こるの?

そう考えたくもなりますが、歴史を紐解くと、そういう「農家がる同朋国民への食糧供給の優先度を下げる」と言うことは普通に起きていました

アメリカ独立戦争のころの、南部の農家の例を挙げてみましょう。

アメリカ独立戦争直後の食料問題に見る教訓

アメリカ独立戦争直後、北部で食糧不足が起きました。南部には食料が豊富にあったものの、かつての敵国イギリスに高値で売られていました。北部が「なぜ同じアメリカ人に売らないのか」と問うと、南部は「イギリス人の方が高く買ってくれるからだ」と答えました。

さらに南部は、「そもそも同じアメリカと言うけどな、サウスカロライナの奴らは同胞だが、ニューヨークの奴らが同胞だなんて思ったことがない」とも言ったのです。

独立戦争で動員された兵士の大半は、「ミニットマン」と呼ばれる民兵でした。彼らは敵が自分たちの州に迫ると1分で動員されましたが、敵を撃退すると解散するのも1分ほど。他州に追撃してイギリス軍を追い払うことはしませんでした。

当時の普通のアメリカ人は、独立心や愛郷心はあっても、愛国心はありませんでした。だから、北部の人が飢えていても、より高値で買うイギリスに食料を売るという行動を取ったのです。

いや、そもそもです。愛国心ってなんでしたっけ?

ここで注目すべきは「地縁的な同胞意識や仲間意識の射程が著しく短いこと」です。
家の隣の爺さんが、「明日食べるものがない」と言っていたら分けてあげようかなと思う気持ちも起きるかもしれませんが、顔も見えない遠くの人に同じ心配できる人間の想像力は豊かではありません。

人間のその心理は距離の壁に弱く、顔が見えない遠くの人を同胞だと思っていない。そんなことがアメリカでも起きていました。

経済的な裏付けの重要性

偉大だったアメリカの政治家は、食料輸出の禁止や愛国心に訴えるのではなく、「北部がイギリスより金持ちになればいい」と考えました。

国債を発行して北部に工場を立て、北部の人々が南部の食料を買えるだけの所得を得られるようにしたのです。

これにより、南部の人々は北部の人々を同じアメリカの同胞だと認めるようになりました。地縁的な結合や愛国心は顔が見える範囲でしか機能しなかったのが、経済的な裏付けを得て何とか機能するようになったということです。

日本の危機と求められる打開策

今のところ食料が海外に流れるというのはそこまで深刻な問題ではないのかもしれません。ただ将来のことはわかりません。

日本の農家も、海外の人が提示する金額が同じ金額なら、
「日本人に売ってもいいかな?」と心理的に日本人を選択するかもしれません。
ですが、外国の富豪が3倍の価格を提示すれば、ほとんどの人は富豪に売るでしょう。

そこで愛国心や忠誠心に訴えても効果はほぼなく、一方価格統制や輸出規制をしても無駄でしょう。

日本の海岸線は約35,293kmもあり、地球一周分の長さに相当します。価格統制や輸出規制をしても、闇ルートに流れるだけです。島国こえー。

日本に米が渡るようにするには、外国に負けないだけの購買力を日本人が付けるしかありません。しかし、日本はどんどん貧しくなっています。

今は半導体等の海外の製品を買う時に日本人が「買い負け」してるけど、そのうち日本国内の産品なのに日本人が「買い負け」するようになる。

令和の米騒動は、そんな未来への足跡を感じさせる出来事だなぁと思いました。

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