【NEON ACADEMY DAY2 レポート】堤瑛里子さんと学ぶ「脳内編集力を高め制作物に活かす秘訣」とは?
2024年2月7日、「日本をもっとネアカに」を信条に活動する制作会社NEON GREEN Inc.が提供する、クリエイティブディレクター養成講座 ・NEON ACADEMYが開校しました。
今回は、2月21日に行われた第2回の講義の様子をレポートします。
前回のレポートはこちら↓
今回は、コピーライター・クリエイティブデザイナーの堤瑛里子さんをお迎えし、クリエイティブディレクターに必要なポジティブな思考の広げ方や、実際の制作現場での言葉の使い方を学ぶ実践的な内容になりました。
前回のチームミーティングの感想を共有
アイスブレイクで場の雰囲気が温まったあと、前回の課題で出された各チームでのミーティングの感想を全体で共有しました。
どんなミーティングだったのでしょうか。各チームから1人ずつ発表しました。
1回目のミーティングでは足りないくらい、各チーム内でボリュームある時間になったようです。
今後もチームメンバー同士の仲を深めつつ、ともに切磋琢磨していってもらいたいですね。
脳内編集力を高めていこう
今回の講義のキーである「脳内編集力」とは何でしょうか。まずは、塾長のALLYさんの話から講義が始まりました。
Languages change the future.
ECCのCMで大谷翔平選手が伝えている言葉を引用し、言葉には未来を変えていける力があると言います。
アイデアの力で社会や企業の活動に変化を起こす専門家であるクリエイティブディレクター。
だからこそ、今までの人生経験をベースにした思考ではなく、頭に浮かんでくる言葉を、意識的にポジティブでより研ぎ澄まされたものに変換していく必要があります。
そうした言葉の精度を上げていくことをここでは「脳内編集力を高めていく」と定義していました。
脳内編集力を高め、脳内に良い言葉を増やしていくことで、新しいアイデアを生み出せたり、周りにも良い影響を与えていけると言います。
では、脳内編集力をどうやって高めていけばよいのでしょうか。
それは、仕事だけではなくプライベートや商品・サービスを体験した時など、人生に起こる全てのことから、ポジティブな脳の使い方「ポジティブ変換」を意識していくそうです。
ポジティブな言葉に変換する習慣をつけよう
ポジティブ変換を実践できるシーンは、常に自分の周りに溢れています。
それは、人との関わり、旅先、クリエイティブ制作シーンなどです。
例えば
話が長い → 親切で丁寧
ルールにうるさい → リスク管理ができる
日本語が通じない施設 → 本格的な旅を味わえる
肌寒そう→透け感のある春らしいコーデ
というように、日常で起こる全てのことをいい形でまとめることが大切だと学びました。
そして、日常でポジティブ変換ができるようになってくると、仕事で必要な制作現場においてすぐに引き出すことができるということ。
ALLYさんから、ポジティブな言葉を増やす秘訣6つ(否定語を使わない、第三者視点から考える、過去や未来の視点で考えるなど)を教えていただき、今日から役に立つ内容でした。
堤瑛里子さん登壇:制作物の事例と仕事への向き合い方
ここで本日の特別講師である、コピーライター・クリエイティブデザイナーの堤瑛里子さんにバトンタッチ。
コスメや美容分野のコピーライターとして女性商材が得意な堤さんから、実際の企画の中でどのようにポジティブ変換をしたのか聞きました。
ここでは、2021年の女性のフェムテック製品開発会社のサイトのリブランディングをした事例が紹介されました。
堤さん:
まだフェムケアが浸透してなかった頃だったので、女性の生きづらさ(ネガティブ要素)をどう解消していくのかと考えた時に「知識があれば解決できる」というのが起点(ポジティブ変換)になってコピーを考えました。
日常の中にクリエイティブイノベーションがあると思う。どうとらえ方を変えるかによって企画を広げていけると思います。
ALLYさん:
コピーライターとして、ディレクターとしてはもちろん、企画としてどう取り扱うかということに取り組むということですね。
堤さん:
それもありますし、「最も個人的なことは最もクリエイティブなことだ」という言葉があります。
それは、2020年のアカデミー賞授賞式で、韓国ポンジュノ監督が紹介したことで話題となった、マーティン・スコセッシ監督の言葉なのですが…
いかに日常にあるものを見つめて、敏感になって自分なりの解釈をしていくかというところで、アウトプットの脳みそは鍛えられていくと思います。
日常的にどうやってポジティブ変換を取り入れていくかという具体的な取り組みとしては、「売りたいと思うものを好きになる努力」だと堤さんは語ります。
商品のリサーチを重ねる、使ってみる、そしてファンになることだそうです。
反対に共感できない仕事は受けない、嘘をつかないコピーを作ることを大切にしている堤さん。
日常的にアウトプットをし、実際の制作現場で活かしていく一連の取り組みを教えていただきました。
制作物に落とし込むテクニックとは?
ここでは、参加者がより具体的に、自分の企画を作るシーンを体験するワークが行われました。
お題は「ダイバーシティと聞いて思い浮かぶものは?」でした。
今、実際に企画を作るとなったときにどれくらい言葉を広げられるか、自分にはどんな思考パターンがあるかを考える良い時間になりました。
参加者は、実際に同じ画面の中にダイバーシティと聞いて連想する言葉を書き込んでいきました。
多様性、平和、平等、カラフルといった一言で表せるものから、日本に浸透しずらい、自分の色を大事にする、当たり前のアップデートといった概念的な言葉も出てきました。
その中で参加者の1人である、さわーさんのイメージが興味深いものでした。
さわーさん:
「靴」ブレイディみかこさんのダイバーシティを取り扱った本で「色々な人がいる中で相手の靴を履いて相手の立場になって考えること」という話が出てきて私の中の多様性にそれがずっとある。
「紛争」色んな人がいるから争いも起きるよねって相反することも書きました。
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参加者のみなさんも頭を悩ませながら色々なイメージが出てきて楽しい時間になりましたが、一方で言葉を考えるのは難しいと思った方も多かったでしょう。
そこで、言語化をするときのテクニックとして6つのおすすめの方法を教えていただきました。
特に
・主観に偏らないように他者の視点を入れてみる
・興味がない分野でも得意ジャンルとの組み合わせで提案する
というテクニックなど目から鱗が落ちるようなものばかり。
また、手書きでブレインストーミングをしたALLYさんのノートを見たり、一旦書き散らして絵を描くことやメモをまとめたりするという堤さんのヒントも参考になり興味深い時間でした。
堤さんからの参加者へのメッセージ
ディレクターとクリエイターではフローが違って、相互的なスキルになると思うんですが、何をするにせよ「伝える」ことにおいて言葉は非常に有効な手段だと思います。
インプットを続けてスキルアップしていくと、ディレクターとしての判断力がついてくると思うので、みなさんがんばってください!
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最後は、参加者全員でネアカなイメージとして参加者同士で考えた「バタフライのポーズ」で記念撮影。
堤さんの言葉を思い出して、今後もインプットとアウトプットを磨いてネアカディレクターとしての判断力を磨いていきましょう!
次回の講義は、3月6日です。次回のレポートもお楽しみに!
執筆/川地優衣