晴れた平日の昼間にアンダーグラウンドが好きだと叫びたい

晴れた平日の昼間にアンダーグラウンドが好きだと叫びたい

カラオケでの「どんなアーティストが好きなの?」なんて質問が一番嫌い。
だいたい求められてる答えなんて知ってるから、「邦ロックが多いけど、カラオケで歌うのは倖田來未か浜崎あゆみかなぁ」なんて適当に返すのはもう台本通りのいつもの回答だけど、実際聞いたことなんてほとんどなくて、こんなカラオケの時に備えてそれっぽい曲を覚えてるだけ。

もちろん邦ロックは本当に好き。
けどそれはそれで。別にバンド名言ったところで名前知ってるくらいのレベルで、3つ目くらいになるとだいたいバンド名すら知らないからもうONE ok rockだって言っとくのが一番話が早くて楽。
でも好きなのは本当だから、うろ覚えで音痴な奴に歌われた日にはその数分がまるで数時間のように地獄に感じてる。笑って手を叩いてるけどね、いい子でしょ。

「じゃあ普段何聞くの?」って。
本当に聞きたいわけじゃないくせに定型文で聞くなよ別に義務じゃないから興味ないなら聞かなくていいよ、って思うけど一応アンダーグラウンドだって答えたら返ってくるのはだいたい椎名林檎。
もうここまではいつも一緒で何百回と繰り返してきたから別にオートモードでちょっと困り顔の笑顔くらいで対応するよ。

いや。批判したいわけじゃなくて、本当に大好きだよ。椎名林檎。
あのそこはかとないエロさとか細胞を直接揺らしてしまうような威力とか。
私が今まで培った語学力では決して表現してはいけないと思うようなあの魅力はきっと語ってはいけない。だからこれくらいでやめておこう。

ぼくのりりっくのぼうよみも好きだし、女王蜂も好きだし、それでも世界が続くならも好き。たぶん言ったってほとんどの人が分からないと思うけど。
文学的で哀しみがあってそれでもって綺麗で、簡単に希望なんて謳わない、口にしない。けれどもそこには間違いない強さと闘う意志がある。そんな感じ。

でもそれじゃ足りないんだ。まだ足りない。

電話にすら出られなくなった独りぼっちの部屋で流すのは。
外を歩く時にお守り替わりにイヤホンから大音量で流すのは。

そんな大好きなどのアーティストでもなく大森靖子なんだよ、どうしても。

そんなことこうして言ったって大半の人が「あぁそうなんだ、今度聞いてみるね」なんて言ってほとんど聞かないし、聞いたところで1曲そのイントロくらいなんとなく聞いておわるんだろうけど、それでも私にとってはこれが全てで、でもすべてではないって言いたくなるほど大事だから。

安易に何も分からない人に否定されたくないし、表面上何となくでどうこう評価されたくもないから、私の宝物は私の好きで満たしたいから、だから今までそんな定型文の質問に対するアンサーとしてこの名前を出したことはない、一度も。今後も出すつもりはない。

ずっと息苦しくて、どうやって息をするのが正解なのかなんてわからなくて、あぁ生まれる世界間違ったんだなぁって思ってて、それでもせっかくもらった命だから、悲しむ人が私にだって1人くらいいるはずだからって、ちゃんと迎合して生きてきたつもり。できてたかどうかはここでは問題じゃない。

本当は素直に生きたかったし、そのままをそのまま愛して表現してあげたかたけども、そんな勇気もなく、グレることもできなくて、真っ当に生きてきたよ、ある程度は。やらかしたことも傷つけたことも数えきれないくらいあるけど、それでも何とかできる範囲では。この世界のルールにのっとって。

ずっと羨ましかったよ。
生きたくないからで学校を休んでる不登校の人も、むしゃくしゃするからってすぐ人を殴って喧嘩してるヤンキーみたいなやつも、可愛いからって学校に化粧してくるような女も。
男の子だけど化粧して街を歩ける人も、カメラの前で自分の裸体を綺麗に魅せるAV女優も、人を傷つけても何も感じないサイコパスも、ほしいからって盗む窃盗犯も。
私からしたら全部全部羨ましくてかっこよく映るんだけど、そんなものには結局なる勇気がなくて、気づけば3年間毎日学校いって皆勤賞なんてとっちゃうような優等生だよ。もうそんないい子の道は外れてるけどさ、たぶん。

16年間も学校というところに一生懸命通って分かったことは、そうやって自己主張を自分のいいようにするやつはいっつもみんなの注目の的で、少しいいことするだけで評価されるのに、普段押し殺していい子やってる人間は少し何かわがままいっただけで軽蔑の目を向けられるということ。

大人になって分かったことは、いろいろあるけど何もないふりして笑ってるやつが正義で、青信号でもみんなが渡らないならそっちが正解で、周りと強調性があるいわゆる都合のいいやつばかり求められて、それ以外は徹底的に排除され、結局周り周りなんて言ってるくせに皆自分のことばっかりってこと。

小さなころから人様に迷惑かけるなって、周りからいい子に見られるようにって育てられたけど、それがこの世の中の絶対正義なんだったら、きっとこんなこと世界に発信してるこんな奴は呼吸してるだけで害毒でしかないから精一杯息を止めるよ。貴重な酸素奪ってごめんね。あぁ誰に謝ればいいのかな、誰がルールですか、誰が裁判官ですか。罪があるなら名前を付けて。これが罪ならお願いだから正当な手順で裁いてよ。

こんなドロドロは綺麗な文学的表現にして綺麗に表現すれば綺麗に昇華してあげれればきっとこんな世界でも受け入れてもらえるなんて思ってたけど、結局そんな風にしたって文学的なふりだとか偽善とか言われるんだったらわざわざ変換する必要ないよね。
受け入れられたくて、普通に近いメイクしたり、ゆるふわな男うけする服買ってみたり、都合のいい自分演じてみたり、いろんな嘘を試してみたけど結局それでも相手の都合でしか必要とされなくて、別に代替に利く存在にしかなれないんだったらもはやそれに何の意味があるんだろう。

そんなこと思ったからこんな風にもはや散文にもほどがあるし、きっと世の中の70%くらいが嫌いで、29%は興味ないだろうけどこうしてただぶちまけてるんだよ、そのままで。
たくさん人とビルが並ぶ街中で首輪つけて自分の好きな服だけ着て大好きな音楽を爆音で聴きながら歩いてみたいけどそんな勇気はないから、こんな世界の隅っこでぽつんとこんなことを書いてみたりするんだ。
もしかしたら同じように暗い部屋で一人スマホを見つめる人に、いい子の嘘に疲れた人に届くかもしれないし、まぁ届いたところで何もできる力なんてこの言葉には何もないんだけど。

ずっと救われてるから。
歌も歌詞もブログもⅯⅭも全部全部魂の叫びみたいな、大森靖子に。
こんな世界で誰も信じれなくなった日に、会う人すべてが怖くなった時に、ただそんなドロドロすらも可愛くて最低で最高だと叫んでくれたその声を抱きしめて、あと1日だけ生きてみようかなって思えたから。

簡単になんでも名前を付けて避けて生きていけばいいよ。
批判するならすればいいし嫌えばいいよ。
自分が可愛いのは皆一緒だから。
その狭い自分だけの世界で、自分に都合のいい奴だけ愛して、それを愛だと勘違いして、勘違いしたまま死んでいけばいいと思うよ、そうして生きていけるならきっとそれが1番幸せなのかもしれないから。

でもそんなのつまらない。
ただ美しいものも、ドロドロでどうしようもないものも、全部美しいって抱きしめて、あと1日だけ、1秒だけ、もう少し生きてみようって思ってくれて、自分がその背負い込んだ重さに押しつぶされて死ぬんだったらそれもそれで本望なのかもしれないなんて思ってしまう私はもはや害毒でしかないんだろうけどそれならもうそれでいい。

なんてきっと全部本当ではなくて少しは嘘できれいごとだけど。
それでもただそんな地下の薄暗いところに隠してしかこの世界に存在できないものも愛してるって叫びたいんだよ。
夜中じゃなくてこんな明るい晴れた平日の真昼間に。

でもきっとそんなぐちゃぐちゃの忌み嫌われる美しさを大衆が美しいなんて言い出したら、またそれが常識になって、別の異端が生まれるんだろうから、そんな世界なんていらない気もするけど。

ただ愛したいだけなんです。
奥底のどうしようもない叫びを。
もう大人なんだからなんて言って隠したその自己中心的などうしようもない弱さを。
それを美しさだと叫びたいんです。
ただそれだけなんです。





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