オムライス 2
1泊2日の外泊は行きは楽しみだったが帰りは寂しく、病院に近づくにつれて現実に引き戻される感じがした。1泊2日の外泊あっという間で、1人で最上階の病棟から見るきれいな夜景は、私の目には遠いところに置き去りになっているような感じがした。その夜、また始まる不安いっぱいの入院生活を送るのだという思いを、ブログに書こうと思い開いた当日のページに、主人が代わりに更新していた。
「嫁さんの代わり、私が日記を書くことにします。外出許可が出たので朝10時に嫁さんを病院に迎えに行きました。検査についての詳細は聞いていませんが、一通りの事は終わったみたいですので、後は結果を待つだけですね。来週早々にはドクターからのカンファレンス内容について、インフォームドコンセントがあると思います。何とか、手術を回避できる方向にできれば良いのですが、此ればかりは・・・。
今回の外泊が多分、最後になる可能性があります。次回からは何かしらの治療が開始されるので、当分は外泊は出来ないと思いますが、これからは土日には病院に顔出して、何とかメンタルケアだけでも出来ればと考えています。子供達も、やはり母親の不在が言葉には出しませんが心細いのでしょうか、顔見るなり目をうるうるさせて出迎えていたようです。
普通なら、すぐに出来るお昼ご飯の用意も、今回は不自由な手で、一生懸命嫁さんが作ってくれました。最初は、疲れるから私がやると言ったのですが、折角帰ってきたから、まだ出来る時には何とか頑張って作りたいと言うので任せました。今回のオムライスは今までの中で最高に美味しいオムライスでした。頑張り屋の嫁さんに心から感謝しました。2日間は本当に短く感じましたが、楽しい時間が過ごせました。ありがとう。早く元気になって、又美味しいご飯を作ってくださいね。家族皆、心待ちにしていますよ。」
と言う文面だった。
いつも口下手で何も言わない彼が、そっと私に伝えてくれた優しさだと思うと、嬉しくてまた家に帰りたくて涙が溢れてきます。
人って、気持ちを伝えないと思っているだけだと相手に伝わらない。苦しい思いも悲しい思いも、嬉しい思いでさえ言葉や行動にして人に伝わるのだと、改めて感じる事が出来た。
あの時の彼のメッセージが今の私の、
「家族に作る料理は何よりのリハビリ」
に繋がって、お料理をする楽しみになっているように思う。
あの日以来、オムライスは我が家にとって最高のメニューになっている。
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