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スナックCANDY大阪の改装を担当しています

現在大阪に新しくできたスナックCandyの内装工事が進んでいます。


実は僕、今回艸の枕で大阪Candyの担当をやらせていただいています

今まで「設計」と言っても具体的に何をやれば建築ができていくのか全然想像できていなかったのですが、今回初めて建築(内装)ができるまでの一連に触れることができて、めちゃくちゃ勉強になっています!

今回はその活動報告的な記事です。



何をやっているのか

「大阪CANDY内装設計やってんの?すげー!!」とびっくりされた方もいるかもしれませんが、安心してください。今回は内装デザインをいちからやっているわけではありません。

只石さんが最初にイメージのスケッチを描いてくれました。

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(只石さんのスケッチ)


内装ができるまでの流れを、ざっくり以下のように分けたとしたら、

① イメージを画にする
② ①の寸法を決める
③ ②の作り方を考える
④ ③を作ってくれる人に伝える

今回只石さんが①をやって、僕は②〜④をやっているといった感じです。


今までの「設計」


自分は大学では建築学科に所属していたので、設計課題があったりして建築設計についてはいろいろと練習してました。

大学の設計課題では、建築を設計して、図面や模型、スケッチなどで表現してプレゼンします。これは、上の分類でいうところの①、②だけを一生懸命やっている感じです。
大学では③、④の実際に作る部分ってノータッチというか、ほとんど何も知らなくても卒業できちゃうんです。

なので、本来ならその後に③、④があることはなんとなく分かってはいるのですが、設計の本分は①、②の部分であって、③、④はそれのおまけ、サブ。みたいな錯覚を起こすんですよね。

①、②の部分を鍛えておけば、③、④はまあ自然にできるよね。くらいの感覚。
一般的にみんなが憧れる建築家の功績として目立つのも、建築、空間のデザイン。つまり①、②の部分であることが多いと思います。


でも当然、①、②だけができても建築ができることはなくて、どんなに頑張っても「素敵な空間を考えただけ」で終わってしまう。

建築、空間を作りたいと思ってる以上、③、④の部分は①、②と同じくらい、場合によっては①、②よりも重要になってくる部分なわけです。


そして今回大阪CANDYの担当で③、④にほぼ初めて触れてみたことで、建築作るのってめっちゃ大変じゃん!!ということに気付きました笑

③の「作り方を考える」という部分はまだ、DIYなどで多少馴染みがあったりはしますが、④の「作ってくれる方とのコミュニケーション」というのは本当に初めての経験。いろいろと気付きがありました。


建築って意外と手作り

建築ってでかいですよね。だから、考える時のスケールもでかいんです。「ここに壁を置いて」、「ここにドアを開けて」、みたいな。
現実には人間一人じゃできないようなスケールの操作を、平気で考えていくわけです。

なんとなく、実際作るにしてもその延長だと思っていました。
つまり、壁の作り方とかドアの作り方とかは「こう作ってくださいね〜」みたいななんらかの規格があって、それを組み合わせて作るもの。みたいな。
極端に言えば、①、②のデザインが終わればそれにパーツを当てはめていくだけでしょ。って感じです。


確かに、壁や天井やドアなどの作り方集みたいなのはあります。
(↓こんなの)

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でも、これはあくまでも一般的なやり方を集めた参考であって、ここの寸法や材料なんて設計者の手によっていくらでも変えられるんです


例えばDIYでテーブルを作ろうと思ってテーブルの作り方を調べたとします。作り方はいろいろ出てくるとは思うんですが、その作り方はあくまでも標準的な参考例。天板がちょうどいい高さに固定されて安定してさえいれば、テーブルの作り方なんて無限にあるわけですよね。

建築も正直それと変わらないスケールで手作りなんです。


要するに、「ここにドアを開けよう」と簡単に考えていたドアひとつをとっても、作り方が無限にある。人が通れるくらいの穴が板で塞がっていて、開け閉めできるようになってさえいればいいので。

今までドアなんて、引き戸か開き戸か。とか、表面の素材は木か金属か。とかしか考えたことありませんでした。

が、実際作るとなると、
ドアの板の素材は?とか、塗装はする?とか、何で塗装する?とか、枠の素材は?とか、枠の幅は?とか、枠が見えないような納まりにする?とか蝶番の種類は?とかドアノブの品番は?とかその他もろもろまじで死ぬほど決めることがあります
(ドアに枠があることなんてつい最近まで意識したことなかった😂)


そしてそんな手作りをするために使う既製品のパーツも死ぬほど存在します。例えば、ドアの蝶番や取手などの金物を扱っているあるメーカーのカタログは4000ページくらいありました笑。

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(こんなのが延々と載っている)

こういうものも、一通りどんなものがあるのか知っていないと、選択肢が狭い状態で設計することになります。「こういう部品があるから、それを使ってこういう作りにしよう」といった、③から②へのフィードバックの幅が狭くなっちゃうわけです。


そんなわけで、大学の建築学科を卒業して建築設計を学んできたつもりでしたが、自分は建築の作り方について本当に何も知らない状態ということが分かりました。
知らなきゃいけないことがめちゃくちゃあるということを思い知らされました😂



コミュニケーションツールとしての図面

現場で作ってくれる方に「こう作ってください」というのを伝えるために図面を描くんですが、
この図面も、思ってたより手作りなんだな〜と感じました。


今までは、「実務の図面は決まった描き方のフォーマットがあって、それに従って描けば完成。」みたいなイメージを勝手に持っていました。

でも当たり前ですが、図面って結局人が読むものなので読む人のことを考えて、わかりやすく、伝わるように描き方を工夫しなきゃいけないんですよね。思ってたよりフォーマットが緩くて、描く人の個性や上手い下手が出る物なんです。

だから図面で伝えるのが下手くそでコミュニケーションミスが起きてしまったら、いとも簡単に思ってたのと違うものができてしまう可能性があります。しかも建築なんて一度作ってしまったら、相当なコストをかけないと作り直すことなんてできない。

つまり、いくら素晴らしい建築を考えることができても、図面で伝えるのが下手だったらそれを作れないかもしれないっていうことです。
上手い図面、伝わる図面の描き方っていうのがかなり大事。ということが分かりました。



そして、図面で全てを伝えられるわけではないということも感じました。


現場では図面通りにいかないことが結構多いです。特に今回は既存物件の内装工事。図面で壁は直線で描いていますが、実際はもっと凸凹していて、真っ直ぐなものを貼っても隙間ができちゃうよ〜みたいなことが起こります。

そのことが予想できていれば、図面に壁の仕上げを描いておくだけじゃなくて「もし難しそうならこうしてください。」とか、「隙間できてもいいのでやっちゃってください。」とかいうことを伝えておくことができます。

また、塗装の感じだったりも塗料の品番を図面に描くだけじゃなくて、参考画像を共有してこんな感じに塗ってください。と説明したり
複雑で図面じゃわかりにくいなーという時は、いろんな面から見た図面をたくさん描くよりも、スケッチを描いて説明したほうが早いこともあります


只石さんはこういった図面外のコミュニケーションをかなり取っていて、そのコミュニケーションの密度も空間の完成度の高さにつながっているのだと思います。

図面ってあくまでもコミュニケーションツールの一つであって、思い通りのものを作ってもらうには図面以外の選択肢も使って積極的にコミュニケーションを取っていかないといけないんだな。ということを感じました。


何が分かってないのかが分かった

今回大阪CANDYの担当を通して分かったのは、今の自分はたとえ空間デザインをできたとしても、その作り方や作ってもらう上でのコミュニケーションの取り方が全然分かっていない状態だということ。

ありがたいことに只石さんや現場の職人さんがいろいろ教えてくださり、絶賛修行中です。今までアンテナを全然張っていなかった領域だったので、急ピッチで学んでいきます!

完成した大阪CANDYでみなさんと呑めるのを楽しみに頑張ります💪


最後まで読んでくださりありがとうございました!



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