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漫画『ハニーレモンソーダ』を侮るな。
白状すると。1巻だけ試し読みで
「よくあるおもしれー女」系の少女マンガだと認識してしまい、それ以上触れる気がしなかった。
だが、今季のアニメ放送をきっかけにちゃんと読み始め、21話まで来たところで
「羽花ちゃんは、ただのおもしれー女じゃないんだよ!」という言葉が、
遠いあの日から飛んできてぶっ刺さった。
友人とお薦めの漫画情報を交換したあの日だ。
わたしが『少年のアビス』を
友人は『ハニーレモンソーダ』を
薦めあった日。
…どちらも高校生主人公の葛藤が描かれているのに、あまりに輝きが違いすぎて面白いな。
友人よ、やっと今ハニレモを読んでるよ。
主人公、羽花ちゃん
すぐ落ち込んで泣いちゃう。フラフラして、すぐヒーローに頼る。ちょこっとやった何かが有力グループに気に入られて、高校生活ハッピーるんるんになっちゃう。
OK、少女マンガあるあるね!と読んだ。
だけど、読み進めていくと
そうじゃないんだと気づかされる。
羽花ちゃんが、行きたくない高校の受験会場にわざわざ行ってから入試を放棄したのは、単に何も言えなかったからだけじゃない。
「答案を白紙で出す」ことが、彼女なりの意思確認で、決意表明だったからだと思う。
20話くらいまで読むとはっきりしてくる。いや、彼女は最初からはっきりそう言っている。
わたしが青年漫画で考察厨に茹で上がったせいで、言葉通り信じて受け取れなかっただけだ。あまりにも素直に読めてなくて、自分が情けなくなった。
羽花ちゃんは、友達にも「羽花ちゃんって意外と好奇心旺盛だよね」と言われるようになるくらい、行動力がハンパない子だとわかってくる。
ノリがわからないと苦労しながらも真っ直ぐに取り組んで、スレたことも言わないで、自分らしく突っ走れる子。
自分でいじめっ子を克服していける子。
勇気の爆発力がすごい。
いや、いやいや!
それはそうとして、クラスメイト全員が好意的に接してくれるとか、春爛漫の花畑のように優し過ぎるんよ。リアリティがないよ。言うて少女マンガ、りぼんだな〜。
とは思わなくもないのだが、
よくよく思い返してみれば、クラスは元から菩薩のような集まりという訳でもなく、
距離を取られているような描写もあった。
羽花ちゃんが勇気を出して変わったら、「らしさ」が受け入れられて、それが周りにも伝染して、クラス全体が変わっていったんじゃないか。
優しい世界、信じてみたくなってしまう。
すごいよ、羽花ちゃんは。
ヒーロー、三浦界
アラサーのわたくし、高校生に殴られました。
誰も悪くない
だったらどっちも守るしかない
そうなの?(鱗ポロリ)
アラサー的には大人がうるさいって思っちゃった。誰も悪くないって言えるのすごいよ。
あるある要素でいえば、彼は生まれ育ちで困難や失敗した過去を抱えているのでしょうね。
それか親友への反発。
そしてその一言で、また主人公を導くのだ。
コーチングの鬼だな。すげぇよ。
青春に殴られる20-21話
かつて、わたしは理性じゃなく感情で「助けて」って友達に言ってきただろうか。
落ち込みきったら浮上できる。
理解してもらえなかったら怖い。
そんな風に、始めから一緒に戦おうとしてもらって来なかった気がする。
だけど、羽花ちゃんはそういう恐怖も乗り越えて、その居場所を掴んだ。
めまぐるしく成長している。
友達のみんなも、読者もいつの間にか応援したくなっている。
大人になったら、「一緒に戦うよ」も
言いにくくなっていく。
家族の問題だから。
自分で乗り越えることだから。
と言って、敢えて突き放す。
厳しいけどそれが優しさでもあるから。
だけど、周りのみんなも
難しいこと考えずに助けに走っていけちゃう。
高校生がキラキラしてるのって、
そういうことか。なんか良いもの見ちゃったな。
って思う回だった。
『ハニーレモンソーダ』は、
安心して読める、気持ちのいい漫画だった。
言うて、まだ序盤で今後の展開何も知らないのだけど。楽しみだな〜。