不妊症#15 採卵周期のストレスコントロール
採卵周期に入り、通院頻度が増えたのと同時に、所要時間も明らかに伸びてしまった。
んで、まーたこの日も缶詰になってしまった。
3時間半…。いっけなーい、遅刻遅刻!午後から仕事なのに、明らかに間に合わない時間だ。
卵巣過剰刺激症候群予防のため運動しないようにと言われても、走らずにはいられないわ…。
腹が減っては戦ができぬ。
コンビニのパンを引っ掴んで、ポイント付与の権利もかなぐり捨てて会計し、駅のホームで貪り食う。いつも食事はどう頑張っても30分かかるのに、今日は3分で終了した。
乗り換えの隙に上司には電話しておき、事務所に駆け込んだ。汗だくの全力だったが、10分遅刻。
理由も聞かず優しく微笑むだけでいてくれる上司。本当にありがたいやら申し訳ないやら。※#14の女上司とは別の人
仕事の前に、他部署の冷蔵庫で注射薬を保管させてもらい、半日だけ働いたら、注射薬を忘れずに取り出し、冷やしながら持って帰る。
自分が労働者なのか、患者なのか、この時間何の人なのか、よくわからなくなってきた。
ストレスを溜めないようにね、とか
栄養たくさんとってね、とか
簡単に言うけどよぉ…もはや治療自体が仕事との両立を前提としていないと思うんだ。難しいよぉ。
注射と内服で管理するタスク増えて。チームの人に迷惑かけて。休んだ分の仕事は残業不可避だけど自業自得だし。時間管理も難しい。周囲の理解を求めた分、成果を出さなきゃとプレッシャーもある。
自己肯定感だださがりで、電車で妊婦さんが座っているのを見るだけで、いちいち卑屈になる。わたしも腹でカエルの卵みたいなん一杯育てていて、お腹が張ってるのは一緒なのになぁ。
そして、自己嫌悪。「病気の自分」に酔って、他人を蔑ろにする自分にはなりたくない。
炎天下、冷蔵保存の自己注射薬を無事に持ち帰るために、ドライアイスが欲しいがために買った副産物の、スイカバー。うま。
食べ終わったら、
頭も冷えてやっと落ち着いてきた。
愚痴は尽きないが、悪いことばかりでもない。
卵は順調に育ってきている。
お腹は張るけど、ベルトの穴が一つ外側になったくらい。腹痛予防でノロノロ歩くのは、妊婦の予行演習と思えば。メンタルは思ったより健康。
病院にお世話になることにも慣れたものだ。
婦人科はスカートで行けば、内診室を半裸で歩かなくて済むことがバッチリわかったし、今後の子宮がん検診も怖くない。
在宅自己注射はすごく簡単に作られていて、針を刺すのも2日目には慣れてしまった。将来糖尿病の注射するとなっても、さらっとやれそうな気がする。
経験はどこかで肥やしになるはず。
はてさて、体外受精編開幕じゃ。
気合いで松明を掲げ続ける、上手くいかない心の痛みは、まだない。ええじゃないか!
医師のベルトコンベアーに乗せられながら、
日差しを浴びて、未来に希望を見ながら、
まずは行けるところまで行こう。