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(1)「DV一切ない」96.7%だが、自由記述には「突き飛ばした」「蹴った」「物を投げた」「怒号」… 【TBS報道特集が取り上げる「実子誘拐被害調査報告書」とは?】

TBS報道特集が、来週8月24日は「子供の連れ去り」と告知しています。
報道特集(JNN / TBSテレビ)

告知動画などによると、報道特集では、NPO法人「キミト」による「実子誘拐被害調査報告書」も取り上げるようです。
この記事では、「実子誘拐被害調査報告書」について、読み解いてみました。
その2はこちら)


TBS報道特集

調査そのものへの疑問

まず、調査の実施条件から確認しましょう。
「実子誘拐被害者」という、一般の調査では出現率が低そうな集団ですが、調査報告書には、調査対象「日本国内の同意なき子ども連れ去りをされた親」、調査方法「WEBアンケート」と記載されているだけで、どのような方法でリクルーティング、スクリーニングされたものか不明です。
また、各設問は単一回答か複数回答か明記されていない等、設問設計・集計方法に疑問点が散見されます。

2024年「実子誘拐被害調査報告書」(特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト)
P1


無職の妻が1歳以下の子どもを連れて別居している?!

では、「実子誘拐」とされる事案の実態はどのようなものなのか。
まず、いくつかの設問の回答1位を見てみましょう。

回答者  :男性(92.34%)
相手の職業:無職(26.27%)
子の年齢 :生後0か月~1歳の男児(回答者75名)

(クロス集計しないと正確なことは言えませんが)全体傾向としては、「無職の妻が1歳以下の子どもを連れて別居している」事案が多いことが推測されます。
日本社会において、子育てが大変な時期に経済的基盤もない中で、女性が子連れで家を出るとは、どのような背景があるのか、TBS報道特集にはしっかり取材していただきたいところです。
設問21(当時の夫婦関係)についての自由記述には、「産後鬱」「育児ノイローゼ」「産後に始まった被害妄想」などのワードが散見されます。

また、本調査では、「まだ出産前の胎児」についても「実子誘拐」としている点も注目されます。

2024年「実子誘拐被害調査報告書」(特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト)P27より表の一部を抜粋


「DV一切ない」96.7%だが、自由記述には「突き飛ばした」「蹴った」「物を投げた」「怒号」…

次に設問22「あなたは相手に対してDVをしていましたか?」を見てみます。圧倒的多数97.7%(439人)が「上記のようなことは一切ない」と回答しています。

2024年「実子誘拐被害調査報告書」(特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト)P35

一方で、自由記述を読んでいくと、「突き飛ばした」「蹴った」「物を投げた」「怒号」ほか、以下のような回答が見られます。

  • 報復的に身体的暴力を過去一度はしたことがあり相手が病院にいってはいない

  • 突進してこられた際に柔道の投げ技で反撃したことが一度あります。揉み合いにはなったがDVなどはない

  • 喧嘩の時に頬にビンタした

  • 一度だけ突き飛ばしたことがある

  • 一度蹴ったことがある

  • 喧嘩の際の暴言があった。物を投げるはあったが、直接叩いたり蹴ったりはしていない。喧嘩後の無視したりはした。

  • 喧嘩の時に語尾が強くなったり、「お前は?」と言った感じで強い物言いにはなっていたが、その程度で暴言が酷いと警察に相談してDV防止措置をとられた。

  • 口頭で良くキツク怒鳴っていた。実子誘拐後、PTSDになったと言っているが本当かどうかはわからない。

  • ケンカの時に追い詰めた

  • 喧嘩になった際に怒号をあげた


「共同親権が必要」約9割だが、妻を否定するワードの数々

最後に、設問40「あなたは「実子誘拐」をなくすにはどういう社会になる必要があると思いますか?」を見てみます。

回答者の約9割(449人)が、離婚後共同親権の導入を求める選択肢(国は「単独親権」から「共同親権」に切り替え、子どもが両方の親から守られ育まれる権利を認め保障すべきだ)を選んでいました。

一方で、設問22「任意のアンケート調査」から、上位10の回答を見てみると、元配偶者を否定するワードが並んでおり、このような相手と「共同養育」する意思があるのか、大いに疑問があります。

  • 被害者意識が強い

  • すぐ他人のせいにする

  • 実家依存

  • 小さな嘘をつく傾向がある

  • わがまま

  • あなたに精神的DVをしたことがある

  • 感情の起伏が激しい

  • 承認欲求が強い

  • 自分に子どもがなついていると嫉妬する

  • 裏切る

別居した側から見れば、自分をこのように評価している相手と同居して子育てすることは困難だったとも推測されます。
(調査報告書に本設問についての説明がないため詳細不明だが、相手方について当てはまるものを複数回答する設問と推測。
他の設問の自由記述でも相手方を否定する回答が多数書き込まれています)

2024年「実子誘拐被害調査報告書」(特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト)
P137より表の一部を抜粋

8月24日の番組を制作しているMBSは、3月にもキミトの「実子誘拐被害調査報告書」を取り上げています。

TBS報道特集は、このような「調査報告書」をどのように取り上げるつもりなのか、TBSの対応が注目されます。


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